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1934年、魯迅から贈られた詩


   無題  万家墨面没藁莱  敢有歌吟動地哀  心事浩茫連広宇  于無声処聴驚雷
   無題  万家 墨面して藁莱(こうらい)に没す、  敢て歌吟の地を動して哀む有らん  心事 浩茫として広宇(こうう)に連なり、  声無き処に于(お)いて驚雷を聴く。
 一九四三年五月三十日、上海来遊の新居格氏に書いて贈ったもの。  戦争のために、無数の人家は廃墟と化して雑草の中に埋没し、  人々は苦痛のために面に墨を塗ったように黒く痩せてしまった。  しかも反動政府は一向にそうした人民の苦しみを哀んでくれようともせぬ  (昔、周の穆王は大風雪の中で『黄竹歌』を作って人民の凍飢を悼んだというのに)。  私は無限に遠いかなたに思いをはせて、人民の声なき声に耳を傾ける。  今にきっとその声なきところから、大地を動かす大雷音が聞こえてくるであろう。 (岩波書店「魯迅選集 第十二巻」 訳者・松枝茂夫 p233)


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