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980307付けテキスト


唐沢なをき「電脳なをさん」/アスキー/1996/10/16

すいません今頃買ってます。

EYE−COMはこのページのみ読んでいた私ですが、
久々に読み返すと矢っ張り濃い。
くもとちゅうりっぷが出てきたときはどうなることかと。
まさに「誰が解るっちゅうねん!」と皆が皆突っ込んだという。
(俺しか解らんだろうなぁコレ、というのを皆が感じている−というのは
 この手の手法が成功している事を意味する)

強烈だったのがアップル学園。今読むとショックは薄いが、当時
朝日読者は皆かなりの衝撃を受けていた。
何せその持つ「面白無さ」が完璧に再現されていたからだ。
間の外し方、キャラの使い方、見事に再現していた。
・・・ああ、ええと昔「サミット学園」ていうのがありましてね・・・
え?言わずもがな?


赤色エレジー、猟奇王、日野マンガetc、好き放題やってるみたいだが
良いのか。まんまだぞ。権利関係は?

マッキントッシュあらしの歯が伸びるネタが好き。
伸びすぎてそっかえってるの。無茶苦茶だ。

マシンの使い道は概ね「えっち」。
CD−ROM閲覧から始まり、インターネットに突入し・・・
ひたすらソレである。これ読んで
「そうかパソコン買えば家に居ながらにして陰部が!」とか
思った人も多いのではないか。
拙者は思ったぞ。あとフルカラーツール手に入れたら必ず
首すげ替えヌードを作るぞ!とか。まだ作ってないけど。
あれ難しいんだぜ。階調とか合わせるの凄い大変だと思う。

・・・・えーと。
連載初期(’94当時)はバージョンアップ/メモリ増設地獄に陥った
MAC信者をDOS者が嘲笑するという構図があったわけですが、
今はどうなんですかね。
実際の話、もうパソ増設ネタでは笑えないでそ。当たり前すぎて。
寧ろ今は完全に「滅びて行くマックと、運命を共にするマック信者」て
構図で描かれてる感じ。自嘲的?

まぁ然し週刊化しても衰えを知らぬこのシリーズ。
そろそろ次の単行本が出ても良いのでは・・・


スーパーリアルマウスネタの時、たまたま近くに居た
ネズミ嫌いの友人に読ませたら、殆ど卒倒しかけていたのを思い出した
@@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
(970306)

横山えいじ「ルンナ姫放浪記」/早川書房/1998/01/31 購入当時、某書店で平積みだった。 横山えいじの単行本が平積み、なんてなかなか見られるものではないぞ。 彼のイラストが−というのも最近見ないし。ミルキーピアの頃は 結構新刊毎に平積みだったが・・・ さて。 「SFマガジン」1990/8〜1998/2月号に掲載された表題作他、 ミステリマガジンに載った「ホームズ君」2本も収録。 8年間連載して単行本一冊。何せ月2枚、年24枚である。 「マンプラ」といい「大雑貨」といい、全くこの人の単行本てのは 恐ろしい時間密度。 相変わらず画面の完成度は高い。 特に装丁の美しさは流石だ。当たり前だけど。 どれくらい完成度が高いかというと、この単行本の表紙は NO.174の一コマをそのまま使って彩色しているだけなのだが、 つまり漫画中のコマがそのまま表紙に使えるという・・・ ・・・・・手抜き? でもこれだけ拡大しても遜色無いってのは凄い。 ネタ的にはドクター・アダチクリニックネタとおかしらネタ というかロト星人ネタが好き。一見さらっとギャグで落とすネタも、 読み込めばSF。現実の諸現象を「SF変換」して見せてくれる こういうSFショートショート作家も今は少ない・・・ 例えばNO.45、通販(・・・通販ネタは多い。SFで然も宇宙を放浪してるのに。 作者は昼型生活者で有名なので、屹度日本文化センターとかのアレを 良く見ているのだろう。テレコンネタも有った様だけど)でルンナ姫が手に入れた 「私の恥ずかしいあの写真」には、何だかよく解らない物体が逆さ?に 吊されているというものが写っている。同様に入手したビデオも・・・ もしかしたら凄い恥ずかしい写真なのかも・・・とか 有名なAV女優では・・?とか言っているところに伝吉が 「めずらしい魚がはいったんですけど・・・」と その物体を持って来るというオチ。 ・・・・このマインドこそが「SF変換」なのだッ。 変換元には通販以外に時事ネタも結構有って (NO.62ウォーリー、NO.70埋蔵金、NO.71鉄人、NO.81ランダムドット、 NO.97モーフィングカレー、NO.99バーコードバトラー以下その他諸々・・・)、 時間が経つとアレなのも・・・それはそれで良いのだ。SFだし。 最初から立ってるキャラばっかりで(何せススム君とオズマ先生は レギュラーキャラだし、ゾンビは横山マンガの基本だし。ルンナ姫は横山マンガの 強い女性キャラの代表だし・・・)凄く良い。特にルンナ姫一行は 完全にキャラ分けが出来ていて、読んでいて気持ち良いのだった。 いや何が良いってあの姫の性格よ。通販ものに目が無くて、 コレクション癖があって、王族だから征服欲も強い。 何があっても反省だけはしない。常に王道を行く・・・好きだ・・・・ オズマ先生/おかしら(最後までその正体は謎だったが・・・)も好き。 このキャラを見ると我々は直ぐにキャプテン・パープル音頭を歌ってしまう訳だが (何キャプテンパープルを知らないだと?嘘。知らないのが普通なんですが) ロト星人に喰われないオチはあり得ないという・・・ あのゴシック調描き文字の「がうがうぎゃるるるるるるる」が好きで。 時空を越えて存在し続ける謎のロボット・ススム君も怪しくて良い。 NO.123や184なんかを見ていると、彼は宇宙そのものの支配者かもしれない (かつては惑星破壊兵器だったり新聞記者だったり未来都市の マザーコンピュータだったりもした)。少なくとも一行の運命は 割と彼の気まぐれに寄っているのだった。 NO.113の片倉陽二的のんきさと、あじま的似非壮大さを見てると、 ああこれぞショートSFだ〜とか思うのだ。 横山えいじはまごうことなき「SF」だと思う・・・。 これで1600円は安い。一家に一冊、おすすめの一品です。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (970307)
大運動会。23話「復活の日」 ・・・・面白い面白すぎる。 二度三度と続く大転回。 戦闘型宇宙人の敵や会議場(エリア51)に 点滴ぶら下げて乱入してくる半病人や嘗ての敵達の再集結や・・・ 弱いところを狙いきって捻られているのは解ってるんだが、 解ってて面白がってしまうのは狙われた俺の魂・・・。 その道に通暁した秋山にはヲタクの魂を屈服させるなど 赤子の手を捻るより簡単と言うことか!あー捻られてる〜ああああ〜 然しどんなネタよりも「走ってる」シーンが一番気持ち良いってな 全く凄い作品だぜ。ジェシーとの賭陸上のシーンの気持ちよさ・・・ がはあああああああああああああッ!!気持ちよすぎる〜。 ヒネた見方をする余裕が無かった。もう素直に降参。 やっぱオモシロイわコレ。 ・・・て昔プリサミの頃も言ってた様な>拙者。 兎に角面白い。好きだ、このセンス。 秋山シリーズは確実に進歩している・・・・・ あ、もちろんSFだから燃えるって所は有るわけですが @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (970307)
Arthur C. Clark "THE CITY AND THE STARS"       /1956 アーサー・C・クラーク「都市と星」山高昭・訳/早川文庫SF/1977/12/15 読み終えてみるとこのタイトルの付け方は絶妙。 「地球の長い夕暮れの中に横たわる不滅の都市ダイアスパー」と、 そのバックに広がる(かつては人間の庭だった)星の世界。 この長編の元となった「銀河帝国の崩壊」を読んだのは高一の時だった −ので、すっかり忘れていた訳であるが、まぁ何となく覚えていた印象というのが 現在の環境にしがみつく老人達と、その世界を出ていく少年・・という。 まぁだいたい間違ってなかった訳か。読んでいる内に段々思い出してきたりして。 もう今更ネタバレも無いだろう(発表から40年以上だ)てんで、話のさわりと この作品の一番美味しかったところ(と拙者が感じたところ)を− 遙かな未来。 砂漠の中に一つの都市が有った。 コンピュータの<記憶バンク>に基づいて形成される、絶対に摩滅しない 魔法の様な完全都市ダイアスパー。 「銀河帝国が崩壊し、侵略者達が星の世界に引き揚げてから」 十億年以上、人間はこの都市の中に自らを閉じこめ、生きながらえてきた。 人も物も、都市を構成する物は全て<記憶バンク>が記憶から再生し、 人々は繰り返し生まれては、数百年を生きて、また記憶バンクの中へ還っていく。 全く変化しない、黄昏の都市。 だが、主人公アルヴィンは違った。彼は他の者達と違い 過去生を持たない久しぶりの「子供」であった。 都市にコントロールされない、勇気と野心、冒険心を持った彼は 過去にもその様にして誕生した「ユニーク」と呼ばれる存在と同様に 都市の外を目指す。 封印されていた過去の交通機関(リニア地下鉄)を発見し、それを利用して 新たな世界を目指すのであった。 続く。 えーと。話としてはホンのさわり程度ですが、このへんで。 (然しクラークって「今はもう使われなくなった交通網(地下鉄)」とか  好きだよな。多分。「太陽系最後の日」とか・・・) で、この小説を不朽の名作としているのがこの物語の背景にある 未来史な訳ですが、これが語られ出すのが全347頁中322頁からという。 もうホントにラスト間際で一気に語られてしまう此の未来史は、こう− 漸く冥王星域まで進出した人類は、地球外知性によって多くの知識を授けられる。 彼らはこの知識を元に銀河を旅し、さらに多くの偉大な知性に接触、 多大なショックを受けた彼等は太陽系に戻ると、遺伝子と精神の研究に力を注ぎ 自分たちを進化のぎりぎりにまで押し進めた。 進化した人類は、広大なこの銀河で、偉大な精神達と肩を並べて活躍する様になる。 そして、彼等が次に目指したのは、肉体に縛られない「純粋な知性」の 創造であった。銀河系の全種族の協力の下、100万年を要して 生み出されたのは然し、「狂った精神」と呼ばれる フランケンシュタインの怪物であった。 その存在により、その後たった千年の間に銀河帝国は大打撃を受け 星さえ光を失ってしまう。 だが銀河帝国はこの「狂った精神」を「黒い太陽」と呼ばれる 人工の天体に封じ込め、その後もう一度「純粋知性」を創造。 その完成を見届けた頃、彼等は別の空間に住む新たな何らかの存在に引かれて この銀河を後にする。銀河を「純粋知性」に引き渡して・・・・ そして、残された僅かな人々、狂信的且つ保守的な人々は、 自らを都市に閉じこめ、後の10億年を静かに過ごしてきたのだった・・・ この、最後の、銀河帝国の民が嘗ての住処を後にして別の空間へと 去っていくシーンの美しさ、壮大さは圧巻。 銀河系の軸に沿って、巨大な球状星団が無限の彼方へと 加速すると、後に残された銀河の太陽達は、その加速にエネルギーを与えて 一瞬で暗くなっていく・・・・あああ。いいなぁ。絵が良い。 でもイカスのってこのたかだか20頁だけなんだよなぁ。 後は割と蛇足というか。「人間が描けてない」のはいつものこととしても。 うーん。キャラ萌え要素の皆無な作品ってのは辛いかも・・・ 然しこの作品のプロット、特にこの未来史部分が 後に如何にパクられているかという。あーアレもコレも元ネタはコレだったのね。 発表されてから40年、この作品に出会う前にこの作品から派生した 2次3次生産物に出会いすぎたのかも・・・あんまり衝撃は無かったですね。 未来都市ダイアスパーの描写も、今見ると萩尾望都的だし。 まぁ長編ならではの迫力と無茶な構成が時代かなぁと。 ではまた。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (980307)

まにら。


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