971019付けテキスト
山口貴由「銃声の子守歌」/秋田書店/1997/9/30

山口貴由作品集。


収録作品は
「覚悟のススメ・絶頂天狗剣の巻」
「覚悟のススメ・強化外骨格・雫の巻」
「首をはねろ!」
「みな殺しのアモール」
「十五歳の覚悟」

どの作品も作者特有の感性の暴走が思いきり楽しめて良。特に語感。
押さえるところ無く自由に暴走している感が有る。
「ショットガンを撃ちまくります。だけど暴力マンガなんて言わせない!」
「堀江罪子とギロチンお悶もハッピートーク」がまた濃くて。
この人の作家性ってのは絵も大きいけど、この台詞回しなんだよな・・
でも、自作に対してキャラの口を借りてとは言えツッコミを入れている辺り、
この「オカシサ」を自覚的にやって居るであろう事がうかがえる。


然しなぁ・・・「もっと奥」。このノリ。

笑って良いのか感動して良いのかその辺のラインが・・・
取り合えず零がかなり天然ボケ状態で(勿論覚悟もだが)妙にオカシイ。
「あと一時間足らずで聖夜だ!堀江はどうしているかな!」とか。
「俺の声 どこまで届いたろう」「月面までは間違いなく!」んなわけあるか、
みたいな。

雹に交際の報告をしに行く覚悟がまたイカス。
然し雹に父上が居るって事は、父上も雹の英霊の一人になったのか?
鬼太郎のちゃんちゃんこを思い出す・・・。


で、割とお気に入りなのが「みな殺しのアモール」。
兎に角、ショットガンを乱射するときの音が「死死死!!」と書いて、
ルビが「デスデスデス!」なのにはヤラレタ。
この「音」の使い方が凄いよな・・・例えば時計の音ひとつ取っても
「ちくちく」だし。

野比春菜の眼鏡っ娘造形が完成度高し。ここにも堀江美都子の残像が見える
(ラストのギターはまさに其れだろう。さすらいの太陽というか。)

「覚悟」以来この人の作品久々に読んだのだけど、やっぱ凄いわこの人。
覚悟で燃え尽きてしまって、後は無いんじゃないかとか言ってたのだけど
強烈な個性は尽きること無し。次回作とかはどうなってるんだろう・・・

いざとゆう時はカチッと芯が・・・
@@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
(1997/10/19)

唐沢なをき「YAPOOS」/アスキー/1997/10/22 やっと出た。 殆ど幻の単行本企画だった訳で。 タイトルのヤプーってのは、簡単に言うと人間椅子というか。家畜人ですな。 表題作は基本的に、ここから転じて世の中の物全てを「人間」が演じてしまう 「だけ」の漫画である。でも無論そればっかじゃない。 只、矢張り「テーマ」を持った時点で以前の4コマとは違ってて 実際の所、今一つの部分もある。というよりは昔の其れが面白すぎたのだが。 ホントに「金春」で何千回笑ったかという。 ・・・ネタ的には矢張り「プルンプルンしている」マンとまるむしネタが好き。 まるむし、が特に好き。あの「オチ」であるべき4コマ目でああいう落とし方を やれてしまうあたり・・・・ 正統四コマじゃないけどオチが綺麗で感動したのがP49。 あれはかなり落語系オチレベルが高い。作り込みの上手さ。 然しこの単行本、今現在最も話題を呼んでいるのは、その内容ではなく 表紙の”半透明でプルンプルンしている”マンが、本のコシマキ(帯)と 或いは隣の本と融合してしまっている!というアレ。 私、実は購入当初えらく感動したものでした。単行本の表紙を使い、 あまつさえ書店の迷惑も顧みない反則気味の技を使ってまでして笑いを取るとは! というのも、作中で”半透明でプルンプルンしている”マンが、ゴミとかを 吸着してしまうテのネタが多かったからなのですが−−− ・・・実は印刷屋のミスだったという(唐沢よしこ談)。 すげぇがっかり。 何かしばらく置いておくとちゃんと乾くらしい、ちッ・・・ 因みに回収、交換が行われるらしいです。いや勿論交換しないし>自分。 ていうかからまんファンで、本屋の「くっついてます」という張り紙を見て 感動しない者が有ろうか。 なをさんも「電脳」が週間化(まさかまだ続くとは)でますます忙しそう。 読者としては楽しみな限りですが。他の作品が描けなくなるんじゃ無いかという 危惧が無いではないです。最近のアスキー無茶が見え隠れするからなぁ・・・ 因みに、ずっと読んでると口から糊状の物が @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (1997/10/19)
ふくやまけいこ「妖精の秘密」/大都社/1997/10/2 徳間単行本(主に「へのへの」)との重複多し。 でも僕は「ライム」を持っていないからな・・・・ 持ってない人も持ってる人も買って損無しだとは思うですが。 どの作品も珠玉の傑作揃い。二冊持っていたって罰は当たるまいよ。 ただ、作者本人がそう言う性格だからなのか、それとも 出版社側がいい加減だからなのか、結局こうして単行本に再録される作品は この人の場合決して多くはない。単発のイラスト等にも名作が多い中、 もう少し原稿管理をして欲しい・・・と思うファンは私だけではないはず。 同人誌とかも含め・・・ 「電撃PC」のトビラの、あのイラストを見た人なら頷いても頂けよう。 ここまで「ヲの魂」を善良に描ける人はそうは居ない。いやもう、その イラストの為だけに買っても良いくらい(でも買わなかった・・のは内容が あんまりアレだったからだが)で、この人のイラストはそれだけで価値有る物なのだ。 是非とも単行本収録を望む者である。 で、未読作品の中で一番好きなのは巻頭の「ヒカリノクニノユメ」で 如何にもリュウ時代の作風で感動したのだった。このころの絵柄が好きで・・・ あと「映画館に続く道」も好き。こういう作品を描ける時期ってのは、多分短い。 迷わず躊躇わず、斯う言うのを真っ直ぐに描ける事それ自体が素晴らしい。 良い意味での「素人臭さ」が、この頃の絵やネームには有って、それが たまらなく染みるのだ。 だから未だに、「ゼリービーンズ」がいっとう好き。 ・・所で前から思ってるんですが・・・巻末解説漫画の自画像(猫とか)の 目の部分の描き方は朝倉世界一の影響を受けていると思うのですがどうですか。 いやどうでも良いと言えばどうでも良いんですが。 ではまた。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (1997/10/19)
とり・みき「遠くへいきたい 2」/河出書房新社/1997/9/19 これでしばらく次巻は出まい。 「できるだけゆっくりお読み下さい。」 1巻に比べるとネタのダイレクトさは薄れたものの、傑作の傑作度合い(変な形容) は格段に高い。オチのヒトコマ乃至2コマの緊張感が尋常ではない。 因みに私の選ぶ傑作は P20 P33 P61 P78 P81 の5作。 但しこれは人それぞれ異論のあるところであろう。 例によって解説は不能。 この技の前に、最早読んで爆笑すること以外に何が出来よう。 ・・・現在気になっているのは、この連載が始まって以来レギュラーになっている オジサン約4名の呼称である。嘗てのとり漫画からのキャラは皆呼称が有るわけで、 そのへんどうなっているのか・・・ 誰かご存じの方いらっしゃいましたらご一報下さい。 それでは。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (1997/10/19)

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