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990806付


デジモン21話

「コロモン東京大激突!」



前回のラストで「現実」世界へと帰ってきた太一とコロモン。

狂った様に(ホントにそんな感じ)作画がイイ。
お台場の、手間数をかけた徹底的にリアルな描写。
これにより、あのデジタル世界の「薄っぺらさ」との対比が強烈になる。

「ねぇ!?ボクこわい!?ねえ!?」
背景も、動きも、光の加減も「いつも」のとはもう全く違う。
何か背筋がゾッとする。演出側がここまで意識的に画面作りをしている
作品は(今現在)他に無いのでは。


全体を包むボレロ。実写を意識したカメラワーク、パース。
デジモン世界との対比、という演出意図をきちんと支える作画/背景の確かさ。
或いはパワー配分の見事さというべきか。


久々に我が家に帰ってきて(ドアを開ける時の一瞬のためらいがまた巧い)
冷蔵庫あけてコーラ飲んで・・・
「おいしいの!?ねえ!ちょーだいちょーだいちょーだいちょーだいちょーだい」


「1999年8月1日はオレ達が・・・」放映時との見事なシンクロ。
(フジ本放映時は同年同月同日)今はまだ、彼等がキャンプに出かけた
その当日なのだ。


そこへ風邪で家にいた妹、ヒカリ登場。荒木香恵・・・・!!

「だって・・・・コロモンは、コロモンでしょ?」
コロモンを見ても驚かないヒカリ。デジモンの世界が「現実」に
既に流出してきていることを匂わせる。

アルプス一万尺するコロモンとヒカリの作画がイイ!
このシーンでの、どことなく上滑りする会話は、意図的に
兄(右)妹(左)で音を左右にふられていて
よりその「上滑り」感覚を強調している。
録音にまで演出の指先が伸びているという良い例だ。


「どっちが本当なんだ?どっちが夢?どっちも本当?」

「戦い」の途中で意図せず家に帰ってきてしまい、何となく気が抜けて
TVとクーラーにスイッチを入れて「いいなぁ・・・」とか言ってる
この中途半端な雰囲気。あまりに見事。


・・・だが、今や太一はデジモン世界の、この世界への影響を見ることが
出来てしまう。TVで報じられる異常気象の映像の、至る所にデジモンの影が。
(ヒカリは以前から見えていたらしい)そこへデジモン世界からの通信が入る。

オレ達だけこんなことしてていいのか・・・・?
太一の迷いにハッとなるヒカリ。すがるような顔で

「・・・お兄、ちゃん・・・・スイカ、食べる・・・・?」

はあああ!この精密な演出を見よ!!荒木香恵の演技の冴えもさりながら
「はっ」(このままでは、兄が知らない世界に帰っていってしまう!と
本能的に察知した)とするタイミングの取りようたるや。

「・・・二人ともずっとここにいて・・・」
「・・・・・」


「夏休みなんだよ!?まだ夏休みなんだ!!」そもそも帰り方も解らないし、
このまま安楽に行こうと思いこみかけた太一。
だが、周りの「現実」がそれを許さない。

次々に現れては消えるデジモン達。風邪を引いて不安になっている
ヒカリを置いて飛び出す太一、盛り上がるボレロ!!


「地震なんかじゃない、デジモンは普通の人には見えないんだ!」
横断歩道の向こうに立っているオーガモン。
「こんな街中にオーガモンが・・・このままじゃ・・・!」
信号が青に変わると同時に襲いかかるオーガモン。このカット割りの巧さ!!


必死で戦うコロモン。枚数使ったアクションが心地良い。
「コロモン!」「コロモン進化〜!」
進化したアグモンが信号機の上に着地するときの、リアルな重量感にしびれる。


デジタル世界へと去っていこうとするアグモン。「アグモン待て!オレも・・!」
ついて行こうとする太一の手を握るヒカリ。背中で語る兄と、額で聞く妹。

「必ず戻る。やっぱあいつにはオレがついてないと・・・
 風邪、はやくなおせよ・・」

あのヒカリの不安そうな姿!


ここにナレーション
「だが、やがて彼女もデジタルワールドに・・・」

えええ!?そうなの!?と、
もうこっちの予想を上回る引きでもって、つづく。


・ラスト見返してて思ったんだけど、単に兄妹愛ってだけじゃなくて
ここには性的な隠喩が有るような気がしてならない。
おねしょと下着の下りなどの挿話や、全編通してのパジャマのヒカリの姿等。
ラストの手の描写の執拗さなんかは、ただごとではないぞ。


30分で10回位背筋がゾクゾクした。いや、お見事。まいりました。
も1回見よう・・・

STAFF
脚本:吉田玲子
演出:細田 守
作監:信実節子
美術:清水哲弘
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