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注:テキストと絵とは何の関係もありません。



以前BSで放映された手塚アニメ特集のビデオが出てきたので

「ある街角の物語」
を(恥ずかしながら生まれて初めて)見た。

小学生の頃、教科書に載せられた手塚治虫の文章でその存在だけは
知っていたけど、もっと可愛らしい小品のイメージがあった。

・・・だから、ここまで完成された中編だとは驚きだった。
ロシアのアニメを意識した演技、画面演出。そのデザインセンスもまた。

ポスター達の一コマ漫画的なおかしみが素晴らしく、その持つ
デザイン性とあいまって、「若い感性」が遺憾なく発揮された見事な傑作。
「詩情溢れる」とはまさにこれをいう。

爆撃で舞い上がったポスターが空中で燃えながらダンスを踊るシーンでは
正直本気で泣けた。この魂の清浄さよ!!

画面に焼き込まれた「魂」の質が違う。若さと、情熱と、戦争体験と・・・
ラストの、白い瓦礫と青空の奇妙な開放感。単純に明るいエンディングではないが
一つの時代が完膚無きまでに破壊された、この「終末」観の、妙な心地よさ。
日本人にこれだけの作品を作る力があったとは。


「ジャンピング」も久々に見た。最後に見たのは多分高校生の頃だ。
矢っ張りとんでもない作品。しかし今見るとこの展開の無軌道さは
ノートの端に描かれたパラパラマンガの様でもある。

ところで、スコップと一緒に転がっているくまのぬいぐるみは、
「ある街角の物語」のくまでは!

これも今回初めて気づいたけど、ラストの地獄の鬼が一瞬涙を流す。
あれは一体?
@@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
(990214)

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