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981018付けテキスト


谷川史子「各駅停車」/集英社/1992/10/20

収録作品メモ−−−−−−−−−−
『各駅停車』■りぼんオリジナル・平成4年春の号から初夏の号に掲載
『両手でも足りない』■平成4年・りぼん2月号別冊ふろくに掲載


各駅停車、は全3話。
これがもう。イイ。イイぞ・・・・
秋冬だし、日差しは低いし、海だし、電車だし、保健室だし。
舞台は鎌倉。最近鎌倉に縁がある・・
というか鎌倉ネタを続けざまに読んでしまう事だよ。
七里ヶ浜駅、というのが実在するかどうかは知らないが・・・

各キャラがもうひたすらイイんだ。泣けるよその「良さ」に。
読者としてのレベル(対谷川)が上がっただけなのかも知れないけど
とにかくその息づかいが感じられる造形にはただただ惚れ惚れしてしまう。
特に女子。
男子の造形はその分甘いけど(少女漫画なんだから必要ないかと言えば・・・)。

特に藤沢まみこの造形には参った。切ないんだよーもーひたすら。
p45-46の、「さみしい平穏」みたいな空気がたまらなく良い。
そういう演出をすべき所で、ちゃんとその効果を発揮する演出がなされている。
あー。イイなぁ・・・

舞台効果を最大に生かしているのが第三話で、
地元観光のシーンなんかも実にオイシイ感じ。こういう一歩引いたような
乾いた(でもやさしい)目線が好きだ。谷川史子の良さたる所。


で、例の続編の元たる「両手でもたりない」は実にこー、少女漫画。
そんな奴ぁいねえ的な恋愛に鈍い女の子、その幼なじみの眼鏡少年、そして
その女の子にせまるアクティブ野郎。
これはちょっと文法通り過ぎて、ファンでなきゃ「それっきり」になりそうな
(別冊ふろくならなおさら)内容ですね・・・ちょっと甘みが強い感じ。
それもまた良し。


あー、もう「イイ」としか言えないっすよ。完全に壊れてます。


鎌倉にいかなきゃ・・・・この漫画をより楽しむために・・・・とか思う
@@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
(98/10/05)

谷川史子「花いちもんめ」/集英社/1989/10/18 収録作品メモ−−−−−−−−−− 『花いちもんめ』 『ちはやぶるおくのおそみち』 『祭・長月』 『きみの夏にとびたい』 『早春(はる)に降る雪』 「愛はどうだ!」から始まった 谷川作品逆行の旅の終着点(まだ未読作有るけど)、作者最初の単行本。 巻末の「告白物語」が実にこう、「若さ」に溢れてて、 そのへん感慨深いものがある。 で。矢張りイイですね、一番最初の単行本てのは。 どの漫画家も、それぞれにイイ。 特にこの単行本は、絵柄の揺れが大きくて、それがまたイイ。 デビュー作、2作目、3作目辺りまでは「いかにも」なレベル (一生懸命でホホエマシイ)なのが、4作目「早春に降る雪」(1989)では もう完全に今のレベル(絵柄は違うけど)になっているという。 巧い・・・・何というか・・・安定度が高い。 その「巧さ」を感じさせずに、その画面の向こうにある作品世界/キャラクターに 読者を連れていく、というこのレベルの高さは最早今の作品と比べても 見劣りしない。視点(カメラ)の位置とか、緩急のリズムとか・・・実にイイ。 ・・・まぁ然しデビュー作を越える傑作は無い、というのは 普遍的法則じゃ無いですよね、特に少女漫画界では・・・というか。 この単行本の中では、例えば「祭・長月」なんかは当時の作者の置かれている 状況などがモロに反映されている様で、荒れた画面がそれはそれで味わい深い 訳だけれども、これは流石にちょっと。 そう言うわけで、矢張りワタクシ的には「早春に降る雪」を推します。 光/影の使い方、喫茶店の空気、夕焼け、星空、等々。 谷川記号がちりばめられたこの作品。 9年前の作品ながら、古さを全く感じさせない作りがその普遍性を物語る・・・ ・・・然し何故少女漫画家のヒトタチはその初期作品で 方言ば使うトデすか。それに、何故そういうのは初期作品のみで 姿を消してしまうトデすか。 少女漫画界にはそういうしきたりでも有るんですかね・・・ やっぱアレですか、「母国語で思考せよ」? @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (98/10/15)
いがらしみきお「ぼのぼの 16」/竹書房/1998/10/17 「趣味とは」 「歩くという事」 「好きの位置」 「不良とは」 「繰り返し見る夢の景色」 等々、抽象的なテーマが分散している割には結構好きな感じの巻。 冒頭のシマリス姉弟の対決はドライブ感が有って燃える。 兎に角シマリスの動きが笑えて笑えて。 彼の一人遊びギャグ(「しまった!やり直してしまった!」とか 「いけない こんなことしてる場合じゃない」とか)は、こう 一人芝居をやってる自分を客観的に見て笑う自分、みたいな視点を シマリスは持っている事を感じさせる・・・ 出色だったのは矢っ張り崖崩れの下りでしょうかね。 クズリのオヤジの、「見かけによらずスゴイ人」ぶりも堪能できたし。 あとアライグマの、オヤジのケガ描写(P60)が痛くて笑えた・・・ あと新登場のペンギンくんもちょっと注目。 喋らないキャラが遂に!世界観は!?とか思って よくよく考えたら彼は鳥だ。 そういえば鳥や虫は基本的に喋らない・・・ この作品世界では、どうも哺乳類だけが会話を交わせる見たい。 大体、このペンギンくんは、喋ると魅力半減かも知れない。 「くえー」がイイですよね。ワカメ貼ってみたり。 安心して、爆笑しながら読める、キャラの立った・・・・ 何にせよ、安定した4コマ。 しかしそろそろまた大きい「物語」の一つも欲しい、と思うのですが。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (98/10/16)
谷川史子「くじら日和」/集英社/1993/5/19 「”あきらめない気持ち”というのが、このお話のテーマだったからです」 成る程・・・ 93年作品。 この作品は、基本的に主人公の一人称で物語が展開するので− この主人公たる「女の子」に感情移入できなかったワタシとしては・・・・ 実はイマイチな作品なのだった。 他の短編の類が「物語」を第三者的なスタンスから描く事が多いこの作者、 こういう長編になると、多少毛色の変わった作品になってしまう様で・・ ・・・いや、あくまで個人的に「そう思う」ってだけの話で 何の根拠もないわけですが。 ・・・キャラが弱い、ってのは確かに有るでしょうね。 シチュエーション萌えな作風・・だからこそ短編が生きるわけで・・・ あ、でも小町ちゃんはキャラ立ってましたけど。そのへんも進歩してるのか。 ま、然し今の所は−あくまで個人的な印象ですが−谷川史子は 元気・短編・そして冬、にこそその魅力があるのでは・・・とか思うのでした。 言いたいことはそれだけか? ・・はい。 ちょっと弱気な @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (98/10/16)
森岡浩之「星界の戦旗 II−守るべきもの−」/早川書房/1998/8/31 今頃感想書いてる奴。 なんかねえ。感想書きにくくて。 いや、面白かったんですよ。面白かった。例の戦闘シーンもちゃんと有るし。 読んでる間はもう殆ど転がり回りながら読んでしまったりしたのよ 特に「アブリアルの涙」の下り(スポールとの対話がもう!)なんかはさ。 読んでいる間のドライブ感覚は矢張りとんでもなく強い。 活字面からその作品世界へ入る速度が他の小説の100倍位速いと言う。 ・・・・でも、それだけ、なんですよね・・・・ こう、言葉にして取り上げるようなものがもう無い・・ 結局「設定萌え」だったのかなぁ・・・ イヤ・・・違う。 結局ラフィールに萌えられなかったというのが この「ハズレ」感の最大の原因だと。 ラフィールが、ねえ。なんかすげー「女の子」なのよ。 ヤじゃん。それ。ラフィールはあの喋り同様の「王女様」(女王様じゃ無くて) だから萌えたわけでさーって別に王女様フェチじゃないですけど。 いやグラドリエル姫とか好きですけどね。 ・・・女の子、として「崩れる」のが早すぎる・・・人としての成熟? でも、基本的にアーヴってのはもっとこう・・・特にアブリアルなら・・・ スポールさんとかネフェー/ネレースとか「いかにも」という キャラの一人であって欲しいわけですよ。うう・・・ 然もそれに追い打ちをかける様なあの扉の絵!赤井!手抜いてんじゃねえ的。 こんなんラフィールじゃねえ!!!!はあはあはあ。 オマケに、あのアニメのキャラデザ見た?がうああああ。 SF大会の星界企画では誰も「そのこと」に触れなかったが、 後で「・・・でもあのキャラデザはなぁ・・・」とか言う声が。 あ、でも主題曲は凄く良い。交響詩的雰囲気で、実に良い・・・。 しかし、だがしかし! ああああ。もっと、もっとこう・・・溢れる気品というか・・・ 不器用さというか・・・ラフィールの 「人としてはバランスイマイチだけど、でも愛らしい/美しい」 的な魅力は、もうここには見られない・・・・ って結局俺様王女様フェチなのか。ナウシカとかに刷り込まれた? あ、でも面白かったんですよ。無茶苦茶面白かったからこそ 悪いところしか印象に残らないって事も有るです。 「ここがこうだから面白かった」っていうのは、結局批評する目で 客観的に読んでるからで、それすら出来なかったってのが正直なところ・・ @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (98/10/17)
ゆうきまさみ「じゃじゃ馬グルーミンUP! 16」/小学館/1998/10/15 フルモデルチェンジした今年度版ひづめちゃんに 心動かされつつの16巻。 板東騎手が格好良い。表情なんかが結構作り込んであって、 これは結構中心枠に噛んでくるキャラかも、という印象。 今巻のメインテーマはそりゃ何と言ってもあぶみさんの縁談な訳ですが ケンさんって「そう」だったのか・・・という驚きは読者にもある。 伏線無いんだもん、いや、有ったのか? 猪口繁行氏も「いいひと」そうだし、難しいのでは・・・・うーん・・・・ 気になる。サンデーの方でもまだハッキリしないあたり・・・まだ引っ張るのか、 或いは・・・ どうしてもキャラ関係のまとめに入ってる感じがしてならない。 終わりが見えてきたのかも。ヒコの行く末が見えた辺りでエンド? 一時期に比べるとちょっとダレ気味かもなーとか思うけど 牧場が潰れたりしてる描写はさすがゆうきまさみ。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (98/10/17)
かれかの3話。 ああプレイバックから幸せ。 右下のデフォルメされた適当な動きのキャラ、という画面や 「はじめてのトキメキ」とかいうフレーズに過剰反応する嫌な俺。 で、「彼氏の事情」。 こいつコレがあるから「寝た」後でもまた暗いんだよな。LaLa見てると。 どうもこれが永遠のパターンみたいで。 あー、冒頭のお互いのお宅訪問の下りがもう最高。あーもー巧い。 もちろんその対比としての哀しみも。 記憶はその人を永遠に縛ったりする・・・ 「鉄とコンクリート、そして雨の風景・・」 テーマは仮面。人はそれぞれの役割を演じることで生きていくのだ。 だから「ほんとうの自分」が居る、という押さえがたい感触な訳で。 で、だ。 ラストのハジセンだけ残すという、もうこれ以上無い位スバラシイ(・・・) 演出は庵野脚本由来か、或いは今石コンテ/安藤演出由来か? いやもうワタシはもう膝を打って喜んだね。だってこんな演出!! アニメ誌によれば庵野脚本は非常に細かく指定されており、そのまま 絵にしただけでコンテが切れてしまうそうだが・・・果たして。 「相手の欠点も知ってて、それでも好きっていうことよ」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− それを意識する瞬間と、 それを言葉にする喜びと、 それを告白する決心と、 それが成長する姿を、 まじめに描こうと思います。 もちろんアニメなので、現実離れしている人物や展開もありますが、 でもカッコ悪い現実のぼくもいまいちパッとしない本当のキミも、 それで心がいっぱいになる瞬間を、想像ではなく、体験して下さい。 この作品が、みなさんのそういう体験へのきっかけになればいいなと思います。 みさなんも「それ」を探す旅にでかけてみませんか。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (アニメージュ 98/10 P27) 「このばんぐみをみつつ、あなたもげんじつのいいことをさがしてみてください。」 (同P175) 佐藤てんちょのこの言葉を見たときは「大きなお世話やっちうねん!!」とか 思ってた訳ですが・・・・今となっては「成る程」という気分。 制作側全体が一気に「そういうモード」に入らなければこれは出来ないよ。 で、見てる方も「そういう」気分になっちゃったりさ・・・ チャットで「人を好きになること」を語り合ってみたりして。 うあー、ハメられてる〜という。 でもそれに乗せられてる気持ちよさってのも有るわけで。 ・・音響もイイっすね。実に。BGMの回し方、声優の使い方・・・ 音だけでも十分ラブコメな雰囲気が味わえるという。 あと。シビビン飛びが懐かしい。 やはり笹川/小山文化は受け継がれるべきである。 アンチ庵野物者から電話。 「でさー、原作にもあの電柱とか出てくるわけ?」 良いけど。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (98/10/17)
竹本泉「乙女アトラス 2」/学習研究社/1998/10/26 すこーん。 「すこーんって終わっちゃったなーと思って・・・・」(P128) フム。そんな感じ。 いや、まぁ別にこの世界設定自体はいわば竹本泉の「未来史」な訳で。 のんのんじーから続く「コピーされた地球」のある宇宙、ってのには これからもお目にかかることがあるに違いない。火星人の航法コンピュータとか。 いやー、やぱし火星人はこうでなくちゃね。るー。 然しこの作品に出てきた火星人は今まで出てきた中では最も流暢に喋ってますね・・ さて、作者自身も語っていることだけど、確かにこりゃ 「ヨーロッパの田舎の農村の娘さんのような体形」だわね。 骨格からしてそんな感じ。「さより」の頃から(つまり肌を意図的に 露出しだした頃から)太り出しては居たんですよね・・・ 思うにこの手の体形が作者の思う「色っぽい」体形なのであろう、と。 例えば「テキパキ・ワーキン・ラブ」のナオミやヒカルは 全然「そういう」体形じゃないけど、作者に言わせれば「色っぽくない・・・」 という事になるらしい。作者の「色っぽい」は結局パルプSFの表紙の 女性達の如きグラマラスなのだろう・・。 個人的には、ラブコメしそうで出来ないもどかしさ、キャラ萌えしにくい 体形など、イマイチな要素は多いんです。ああ、これで「物語」としての 展開がちゃんとのぞめていれば・・・・古き良きSF、クラークとかの・・ そういう世界を竹本泉の絵で楽しめたかも知れない・・・・ 次世代竹本SFの根幹になり得たかもしれないシリーズだった・・・ 兎に角コミックノーラ休刊、では仕方ないやな。 読者たる我々は、ただ再びこの作品世界にまみえることを 期待するしかないではないか −−−とカサカサが言っているわ。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (98/10/17)
シナリオ:日下秀憲 まんが:真斗「ポケットモンスターSPECIAL 3」/小学館/1998/06/25 相変わらず高密度な物語展開と愛らしい絵柄で実にいい感じ。 「良質」な感じがする。 一冊にクライマックスが何本も!! でもこういうの読むと何か疲れてしまうワタシは既にオヤジ・・・ 対ミュウツー戦すら2話で終えてしまうあたり・・・或いは次への伏線かな? えーと。取り合えずトキワの森の女の子萌えということでひとつ。 いやー、表情も仕草もむちゃくちゃツボです。あー。 結局「絵の快楽」ですねこの漫画に関しては。 例えば・・・ブルーの肩。あの肩の描き方がもう・・・ 実にこう、イイ・・・ で、ポケモンリーグのラストで早速次回作への「引き」が張って有って・・・ 何次回作は2年後!?とするとブルーなんか結構・・・いやいや。 考えたらこの単行本でひとまずの話に決着は着いているわけで・・・ となると次回作はオリジナルシリーズ?或いは次世代「ポケモン」への布石? 何!?新キャラ登場?こりゃー「小学四年生」立ち読みしなきゃな・・・ プリンの歌声がもうかないみかのアレでしか聞こえない @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (98/10/17)

・・・この「気づく」展開って止めようと思ってるんですけど、またやってしまいました。


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