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980125付けテキスト


ひかわきょうこ「彼方から 8」/白泉社/1998/01/10

7巻から一年と3カ月。漸く8巻である。
前巻で終わってもおかしくない様な展開だったので、
まさかまだ連載が続いていたとは・・・なんて。

インターミッションたる「祭の日」をはさんで、第4章がいよいよ開始。

「「天上鬼」として生まれた男は
「目覚め」として現れた女を愛したか」

これの意味するところは・・・・

天上鬼たるイザークを「目覚めさせる」役割を背負うノリコ。
「目覚め」とは何か?イザークは、天上鬼になってしまうと我を忘れる。
或いは、目覚めることによって破壊神と化すのだろうか?

p73あたりの、何かが動き出した何かが起ころうとしている・・という雰囲気は
良く出ていて好き。ていうかジーナここしか出てないしさ・・・
ああ・・・たった二コマだけ・・・ジーナ・・・

うーん・・・特に深い思い入れがないので・・・
イザークもノリコも今一つ感情移入が出来ないんだよう・・・

まぁ取り合えず、次巻・・・
@@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@


成田美名子「NATURAL 5」/白泉社/1998/01/10 第5巻。 「いい旅夢気分」、いい感じで終わった。 取材の反映がママで、ちょっと辟易ものだったのだけど、それも 後の展開に綺麗に繋がっているのでOK。 この旅に関しては、大沢のキャラが立ってて、大沢ファンとしてはいい感じだ。 やっぱああいう「趣味人」でありたいよね。 ああいう風でありたい、と。 成田美名子の漫画はいつも読者であるワタシに何かを背負わせる。 今巻も色々な提起があって、それを抱えてしばらく生きていく私。 例えばp133の台詞。 「人間て生まれてしばらくは誕生を背にして進んでる感じでいるだろ  でも「向きを変える日」が来るもんでさ  終わりを想定して残り時間をカウントダウンするようになる  死の側から見ると−  何が大切かはっきりわかってくるんだ」 気がつけばもう未来は茫漠たるものではない。 死は確実に道程の先に待っている。 そういうのを感じる様になり、感じていながら、「何が大切か」を 見極められないのはどうしてなのか>自分、とか そういう宿題をかかえてまた生きていくワタシ。 年がまだしも近いだけ有って、西門の言葉・行動には考えさせられる事もある。 所詮漫画の中の登場人物だし、あんなに格好良くは成れないと言うのは もとより百も承知だが、それでも成田美名子的美感というのは ワタシの志向をそちらへと向ける。こうありたい、と思わせる。 価値観というのは歳とともに変化して行くから、いつかは決別する日も 来るのだろうけど、ここ五年くらいは、その気配もない訳で・・・ ・・・今巻でも、西門の「ダテじゃない」ギアの使い方(ビーパル的というよりは C.W.ニコル的ホーキンスの使い方、田舎道のための四駆、ホントに漁する為の ダイバーウォッチ、いなかっぺ大将ルックのふろしきetc・・)とか、 大沢の趣味人性とか、いちいちの台詞回しとか・・・そういう所の「美感」には 相変わらず何かしら影響されそうで・・・ 特に西門的「田舎男の立ち位置」。矢っ張り基本は質実剛健(違うか)。 あれはでも素材がさー(・・・)。 少年漫画に「ラブ☆」が必須だというのはワタシの最近の意見ですが この「NATURAL」では久々に日本のラブコメ的「ラブ☆」が 見える。いやこれは少女漫画なんですけども。 サイファやアレクの頃のライトで「見せない」ソレとは違い、 彩紀さんや部長、リコや堂本の行動やなんかはかなり「ラブ☆」。 いい感じなんだ・・ ・・・多分これ以降もそんなに量は描かれないであろうリコ(理子)氏の話も 見てみたいものだと思う。彼女か主人公だった頃の話(脱走組の)を 本誌で読んだときの「開放感」は、今も肌に残っている。 「私らしく」生きることの難しさ、そもそも「わたし」の確立を行えないでいる このワタシ・・・あああ・・・ リコやちかちゃんの話(とくにちかちゃん)はもっと見たいなぁ・・・ ・・・えーと。 そういう話じゃなかった、そう、リコの言動はかなり作者寄りというか、 作者の「好き」を演じる代弁者的位置と、創作上のキャラクターとしての位置が 微妙に絡んでて、実にいいキャラだ、と。もすこし「本筋」に絡んできて 欲しいなァと思っているので、西門とのリンクあたりから出演密度が増えてきてて 結構嬉しいのだった。 ・・・堂本の「運命は一晩で変えられる」という話を聞いて、 「勇気がわいてきた」と答える西門だが、其の台詞はミゲールの 死のヴィジョンを払拭するためのものであろう。 あのヴィジョンは最終的に何をもたらすのか・・・ 思わせぶりな伏線が張られ始めたのは丁度作者が 「ラストを決めた」と発言した辺りからだから・・・ラストに向かっての ものなんだろうなぁ・・屹度・・・ さて次巻はどういう展開になるのか・・・本誌読んでないんですよね・・ @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
ゆうきまさみ「じゃじゃ馬グルーミンUP!13」/小学館/1997/02/15 13巻。遂に来たかの告白編だ。ゆうきまさみまんが史上初(多分)。 しかし巧い。巧いよなぁ・・・・ 何処でこういう「ドラマ」を見つけてくるのか・・・ 駿平のドキドキがもうこっちの鼓動まで早くしてしまう。 ああ、ジンセイに置いて、有るよな、ああいう状況は。 勢いで言っちゃうか、ゴマカスか・・・・そんで逃げた奴は一生後悔するのだ。 ああいっそ駿平の様に玉砕した方がナンボかマシだった・・・・って誰の話ですか。 えーと、つまりアレですね、結局話さなければ伝わらないよ、と。 たづなちゃんの好意が駿平には全く届いていなかった様に(心の何処かでは 気づいていても、見ない・見えない、のだ)、案外に「伝わらない」「気づかない」 のだよね。ああっ。ああああああああッ。 で、ちゃんとそこへ至るまでにたづなちゃんの「潔癖さ」が薄れて 一種の、厚かましさ、一人良がりラブラブ世話女房モードが展開されて、 読者たるワタシなどは「ああ、「違う」な・・・」と 「ふっきる」事が出来るという(・・・・)。 ・・・然し駿平は果たして「いい男」なのかどうか。 何も持ってはいない。だが全ては「人間性」なのだし・・・ 埼玉の、夏の終わりの、夕陽の公園でひっくり返って空を見上げて 「どーでもいー」とか言ってるなんてなもー、ああああああああ。 そこへシルエットで現れるひびき。良いなぁ。イイ。魂を揺さぶるねどうも。 切ないな・・・ああ俺には「これ」もまた過ぎ去りにし過去なのかッ。うう。 作者のセイシュンも斯くあったのではないか、と想像させるが・・・ そのへんもまた「はてしない」で語られるときも有るかも知れないですね・・・ あー、然しホントにおもしれえなぁ・・・没入してしまった・・・ @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
吾妻ひでお「幕の内デスマッチ!!」/マガジンハウス/1997/12/18 うう。あじま〜。 これ白泉社版買えなくてさ・・・・当時某CBとかで結構評価されてて 「おお、あじま健在じゃん!」とか思ってたらそれっきりになっちゃったという その「失踪」以前の最後の作品なのではないかしら・・・・ ノリはやっぱり良いよな・・・ 今の隠居SF漫画(それはそれで良いんだけど)とは全然違う・・・・ でも、ノリだけ。魂が無いね。とか偉そうなことを言ってみる。 理系ギャグ作家だってのは(例によって)とり・みきのインタビューでも 明らかになっていたが、そういうのは、どうしても 「繰り返し」に陥ってしまうのだろう。全て「いつか見た」パターンなのだ。 それが辛い。或いは初読なら・・・ ギャグマンガなのだけれど・・・・何というか・・・ これは失踪もするわな、という一種の虚無感が有る。 おたくの主人公が美少女フィギュアを作っているところから話は始まり、 「作られた」美少女達をモノにしようとしては「うやむや」に飲み込まれていく・・ 非常に「病んだ」作品。発表媒体がいくらコミコミだったとは言え・・・ いやもう、この主人公駅弁君の台詞や態度を笑い飛ばせるか、胸をえぐられるか さあ貴方はどっち?的。拙者は勿論・・・・ そして全ての作品のオチに漂う空虚感・・・・ 不思議な作品だ・・・・ということにしておこう。 でも矢っ張りあじま少女は凄いよ。記号としての完成度は非常に高い・・・ 最近久々に「ふたりと5人」読み返したら、やっぱり、巧かった・・・ (むしろ後期の太めなそれよりも、初期のスレンダーなデザインの方が・・・) @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
いがらしみきお「ぼのぼの 15」/竹書房/1998/01/01 今巻は特に「何の話」というのは無い。日常が繰り返されている感じ。それも良し。 シマリスのキャラだけがこう突出してきている様な感じはするが・・・ 「そして隠し味少々」 何か嫌なことをしなければならないと解っているときの憂鬱。 そういうのを感じるシマリスはオトナだ。或いは悩める自意識過剰の少年か。 ぼのが子供でシマリスが少年、アライグマくんは青年と言った感じ? キャラ分け的に・・・何となくね。 アライグマの行為も何か意味が有りそう。 尻尾を切ろうとしたり顔を洗わなかったり・・・ 自分の身体に挑戦しているのか・・ 夏屋の話はちょっとシュール。 スカッとするぜ。 ぼのとスナドリネコさんの関係ってのも不思議だ。ぼのは明らかに スナドリネコさんに甘えている。他のオトナ(自分の父親も含め)達には 決してああいう態度をとらないぼのだが・・・スナドリネコもそれを 是としている・・・・兄弟?オジサンと甥、か。 解放されたシマリス君の表情は「自由」の味をよく出していて好きなんですけどね。 自由ってのはやっぱり山を越えたところにあるんだ・・・ ジェスチャーはどっちも解らなかった・・ @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@


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