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とり・みき


Micky Bird

とり・みき「膨張する事件」/筑摩書房/2002/12/15

時事ネタから展開する小ネタ漫画集、みたいな位置付けか。

初出時の元ネタ原稿のあらすじとかだけでも書いておいてくれると
また違った読み方も出来たんだろうけど、まあこれはこれで。


瞬発力を要求される内容(だったのだろう)だけに、わりと「とりみき定番ネタ」
っぽいのがあって、且つどれもこれも投げっぱなしな内容なんだけど、それが故にか
今読んでも妙に笑いを誘う。いや、フツーに面白かった。

好きなネタは「徹子の部屋」(さしずめあなたはビルゲさんかしら?)と
「そのころアーサー.C.クラークは」。あとメグ・ライアンの口、もたまらん。
靴下についたスクリーントーンの欠片が成長するのも非常にツボに入りました。

ゲンコーが印刷所に着くまでの苦闘とかも好きだ。たたみかけのギャグはやっぱ
いいねえ。あーあと生きている感じの新世代ゲーム機も夢に見そうで良い感じだ。
大容量ハードディスクの造形とか、なんかもうたまらん。


……すいません。瞬発力ギャグマンガなんで特に何を語るものでも無かった。
好きなら買うし、という感じでしょうか。
@@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
(03/09/01)

とり・みき/田北鑑生「ラスト・ブックマン」/早川書房/2002/08/031 「確かに俺がジタバタしたところで  結局本というものは消えていく運命にあるのかもしれない  そういう意味では俺は風車に挑むドン・キホーテみたいなもんさ 「たぶん俺は人よりちょっとだけ本が好きなんだよ  それだけさ」 「ダイホンヤ」という傑作があった。 読み終わったとき、良くできた映画を見終わった時に感じる、あの 「没入から現実へ帰ってくる」感触を感じられる傑作。……その続編がつまり この単行本な訳だけど。 結局アレですよ、この作品は僕にとってはイマイチSFじゃなかった。 いまさら「俺SF」とか言い出してもしょうがないんだろうけど、でもやっぱり 「SFかSFでないか」っていうのが虚構に対する最大の価値判断基準、っていう種類の 生き物なんで、いやもうすいません。でも斯う云うときホント自分が「そういう」 生き物なんだなあとか痛感するですよ。どうでもいいですか、どうでもいいですね。 実際、前作の「DAI-HONYA」が真の意味でビブリオマニアギャグ「SF」であった のに比べると、なんだか随分読者と作品の間の距離が開いてしまった感じがある。 独自の世界観、価値基準が作品世界を支配していて、ということはつまりこれは ファンタジーだ。えーと、「しゃりばり」とか。あ、でも「しゃりばり」はラストで ちゃんとSFだったしな……。 所謂”泣き所”は、解る。「ひとつ、人に本の角を向けないこと」云々とか。 或いは「たのし〜い」「かなし〜い」の自販機本とか。解るんだけど、ああ、結局 僕はそこまで本好きではないのかもしれない(真性のビブリオマニアの人の中には この辺で異常に反応している人も居た様だ)。 HAL子の存在だけが、かろうじて(と言ってしまっていいだろう)前作の浪漫を引き 継いでいた。あのロマンティックなデストピア!――電子メディアの発達と森林資源 保護の観点から活字メディアが衰退し、容易に情報統制が行われる様になった結果、 「同人誌」は過激な存在になり、「本」の所持はステータスとなった、そういう未来。 その設定を見事に生かしていたのが前作だった訳だけど、今作はなんというか…… 周辺過ぎた。表現が暗喩的過ぎた、というべきか。解ったようなフリをして 持ち上げる腕もなし。読んだままの感想は、まあ「イマイチ」と、そういう感じ。 失われゆく活字文化に対しての悲しみを感じられれば、或いは感動出来たのか? 電子メディアで「活字」を読むことにさして不安を感じなくなってきている、と いう部分はあるかも知れない。検閲され、編集され、改ざんされる危険性の高い 電子の情報と、紙に印刷されたスタティックな「活字」との間に、実はそんなに 距離を感じていないのだ。現に僕は斯うして(多分永遠に)紙に印刷される事の ない文字を打ち続けているではないか。電子ブックリーダーが純粋に 「使用に耐える」出来になれば、僕は特に躊躇うことなくそっちに移っていく だろう。 ……いや、そういうレベルの話じゃないな。単にイマイチだったんだよ。多分。 結局「合わなかった」んだろう。 所でこのCGどうですか。石神でも思ったけど、CGによる「仕上げ」が(今の所) 割と駄目な方向に働いている人だと思う。使い方が上手い下手、っていうんじゃ なくて、元々作風と合致してないんじゃないだろうか。新しい技術に否定的な感想 を漏らすのは年寄りの証拠かもしれないけど、やっぱり漫画は何よりもまず「絵」 ありき、だと思う。その絵にあんなフィルタがかかっていて、心底没入できる 筈もない、と思うんだけど、そういう読み方では、この作品は読めないんだろう なあ…… 取りあえず「ダイホンヤ」は傑作なので(久々に読み返してやっぱり感動した) 未読の人は是非、とすすめてお茶を濁そう @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (03/09/01)
とり・みき「ときめきブレーン 自薦短篇集」/ちくま文庫/1999/12/02 自薦短篇集と言うことで、巻末には作者自身による解説(あの解説嫌いだった 作者が!)が。それによると、どうもこれから先もこの手の再編版を計画 しているらしい。然し斯う言うのやりだすと、もう・・・いやいや。 さて表題作は「裏とり」所収のギャグ漫画。実は未読でした。つーか「裏とり」 持ってません。でも今読めたからイイや。ギャグそのものは「もしこれを中学生の 頃に読んでいたらさぞかしや」という。今読むと、流石に辛い(あ、でもるんカン とかは今読んでも転げ回って笑うんだけど。多分あれはリアルタイムで読んでた ときの笑い解釈ルーチン再利用してるんじゃないか)。 キャグのドライブ感(ああ便利な言葉だ)重視の、まさに「フリージャズ」ギャグ。 この勢いこそはとり・みきの魅力「だった」。後の笑いはまた別の方向に流れて行く のだけれど・・・・兎に角この勢い、このなめらかさ。コマからコマへの視線の 流れが全くよどまない。「とり・みきの集中線」として知られるあの密な集中線も この漫画の中でなら全く違和感無くその機能を発揮する。 絵も、作者が言う様な「下手さ」は感じられず、寧ろそのGペンの線の勢いが 後の作品にはない魅力を感じさせる。漫画として巧いかどうか、という事だ。 手法と作風がマッチして初めて出せる魅力。「るんカン」から「くりん」あたり までの黄金期の作品(の未読作品)をこうしてまた読める喜び。 ・・・あー、でもギャグ漫画は笑えなきゃ意味無いんですよね。「教養読み」してる 自分が悲しい。何かこう・・・ギャグは、時代を(或いは対象年齢を)超えられない のかね。こればっかりは仕方ないのか。リアルタイムで読んで笑った作品には かなわない。後から読んで、こりゃギャグ漫画として面白かったんだろうな、この頃 の作者は勢いが有ったんだな、ってのは感じられるんだけど・・笑えない。嗚呼。 ・・・いや、面白かったんだ。面白かったんだけど、笑えなかった。 「笑い」ってのはやっぱり一筋縄ではいかないものなんだろう・・・けど、ああ、 「石神」とかは正直もうどうでもいい・・・もう一度、秋田ブラザーズのギャグで 息も絶え絶えに笑せてくれてた頃の感覚を・・・ @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (2000/02/06)
とり・みき「遠くへいきたい 3」/河出書房新社/1999/05/25 うーん。毎度ながら解説の方法もない。 あ、今巻は挟込の形で作者へのインタビューがついてます。 作品にあとがきをつけたくない気持ちは分かる様な気もする。 何書いても言い訳になる。寧ろ作品を損ねてしまう可能性が大きい。 ましてこの作品みたいに、作品単体として完成されているものには 余分な情報は、ホントに蛇足。でもそれを欲しがるのも読者の心情・・・ 気に入ったネタは p36、p50、p52、p60、p65、p73、p81.p83、p85。 個人的に好きなのはp49の、シェーバーのネタ。 なんか好き。 漫符を栽培したり採集したりする菱形の目をした人も好きだ。 某誌のインタビューでダイホンヤの続巻の話が出てたので、その辺期待しつつ @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (99/06/28)
とり・みき「御題頂戴」/ぶんか社/1999/05/10 変形装丁、というか・・・表紙から裏表紙まで、全てが漫画。 ブックカバーかける種の人間としては辛いところだ。 内容は「ひいびい・じいびい」系の、連鎖を秘めた短編集。 正直「よくネタが出るなあ」という感心の仕方しか出来ない自分。 意表はつかれるけど、笑いには繋がらない。 いや、それでいいのか。 とり・みき=ギャグマンガという発想のみで捉えるのは もう止めるべき。この単行本を見る限り、この作家は明らかに 単純な笑いを意図しなくなっている。 ・・・でも、ホント言うと、読者としてのワタシは 「ギャグマンガ家とり・みき」を望んでいるのだけどなあ・・・ ちなみに笑えたのはソムリエの吉田さんと、内視鏡のアキタ先生くらい。 やっぱオールドキャラは強いね。 ・・・まあ、ファンだし、買うけどね、という程度。 次回作に期待。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (99/05/05)
とり・みき「石神伝説 2」/文藝春秋/1998/11/25 全体的に伝奇マンガとしてのパワー不足の感は否めない。 特にCGの効果が上滑りしている様でもどかしい。テンションの高まりを 感じはするのだが・・・ここぞというクライマックスで妙に 拍子抜けしてしまうのである。この描写、諸星大二郎なら・・・ と、矢張り「本家」であるところの諸星大二郎と無意識に比較しながら 読んでしまう・・というのもこの作品を心から楽しめない原因の一つだ。 諸星の、コマ毎に念が封じ込められたような画面と比べると、どうしても 「薄い」感じがしてならない。辛いところだ。 CGの効果に関しては、とり氏自身もまだ試行錯誤を繰り返している 段階ではなかろうか。P72辺りの、大岩が「震える」効果など、正直今一 「震え」ていない。震えるというよりは単にブレているといった効果。 だが、斯う言った「CG効果による漫符の置換」を試している作家は まだまだ少ない。とり氏が積み重ねた経験値が、後の作家達にまた受け継がれる 事にもなろう。 絵に関しては特に前巻の時にも書いたが、主人公桂木(葛城)真理の 造形が素晴らしい。P81のあの顔の存在感。文庫カバー絵等から流れる一連の路線の 一種の到達点とも言える。この独特のタッチでここまで存在感の濃い(それまでは 些か薄かった)キャラクターが描かれる様になったとは。 またP56-57のヤク中グランジなワカモノの表情も見事。あの圧迫感。 絵だけではない。キャラクターの仕草、心情描写に関しても、いわゆる「マンガ」 的ではない表現によって統一されている。例えば山田君の真理ちゃんへの 想いが明確に表れる辺りの流れなど、人間の感情のやりとりが 実に「自然に」描かれていて驚く。 本当に徹底して「この路線」を貫いている感じだ。 さて物語の方は今のところ、ヤマトに滅ぼされた民族の象徴と自称する白鳥が 古代の神を復活させては、それをヤマトの先兵であった物部の裔である 自衛官石上が封じる、という展開の繰り返しの様である。 白鳥の方は段階を経るにしたがって、力を増強させているようでもあるが・・・ それに巻き込まれる、矢張りヤマトに滅ぼされた民族葛城の裔、桂木真理の (今だその「役割」は判然としないが)ニュートラルな観察者としての視点で この作品は語られる。 「イザナミが甦ればこの国は死者の国となる」(1巻P86)の真意とは? 1巻では不気味な「敵」とも思われた「物部の裔」自衛官石上のキャラクターが だんだん前面に出てきてその厚みを増しているのも興味深い。或いは「味方」なのか? 挿話的だが印象深いのが「武蔵の章」。この島先生という漫画家の造形には 明らかに吾妻ひでおの失踪体験が色濃く反映されている。 妙な高揚感とあっさりした結末はアメリカンニューシネマの様でもあり 妙に好きな一編。 まぁ何にしてもこの作者がデビュー前に志したという「伝奇漫画家」として 確実な進歩を遂げていることは間違いない。この路線でも十二分に面白い。 ・・・だが、今のところはまだ、とり・みきの本体はギャグ漫画にこそ有ると思う。 出来れば冷食捜査官シリーズの続編を読みたいものだ。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (99/01/09)
とり・みき「事件の地平線」/筑摩書房/1998/04/20 とうに潰れた(後更地になって数年してパチンコ屋が建ってさらに数年)本屋の 片隅で「さかあがり」(角川版)を爆発しそうな笑いをこらえて読んで以来 実に10数年の歳月が流れた。 ここにあるのは、その10数年を超えた「さかあがり」の終末の光景、である。 もちろん「オジギビト」の出自が明確になるまで終わらない、という伝もあろうが、 然し、この展開では(ももいろ日記で語られた堤防少年の様に)「正解」が 出ることは無いのではないか、とも思わされてしまう。 結局「さかあがり」(のテンション)は再現不可能だったのだろう。 その分、タイトルの「事件の地平線」の方は面白かった。 オチの効き方が素晴らしい。あの「遠くへ行きたい」に通じるテンポの良さ。 流石は落研出身というべきか。金正日ネタが好き。 ・・・しかし「さかあがり」の冒頭でも語られた 「たった一、二年前の恐るべき古さ」はきっちりここにも存在していて、 まして93年なんてもう5年前なのであり、それどころの話ではないのであった・・ という展開に話を持っていこうとしたんだけど、全然古く感じない。 自分の「時間」感覚が老いてきたか、ということなのか・・・ でも、実際90年代は「そういう」時代だったのかも。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (980810)

とり・みき「とり・みきの大雑貨事典」/双葉社/1997/11/05(文庫版)初版は1993/02 いやー、もう、漸く読めた!という安堵感の方が大きくて。 買い逃してから5年・・・ 驚くほど「アイドル水着100人」(近代映画社)的である。 つまり前の項と後ろの項に、その事項名以外の連携が何も無いという。 有るのは、「とりの目」と言うフィルターだけなのだ。 恐ろしく無機質にあいうえお順に並べられた「モノ」達。 この本を前に、読者はそこで語られているモノそのもの(あーもう)を 知識として知るのではなく、(だとしたらあまりに無作為選出が過ぎる) そのフィルター、モノを並べて見せた作者を見つめることになる。 だから、巻末解説のまついなつきの文は、正しい。 一つ一つのコラムが完全に独立した世界観を持ち、圧倒的な行間をもって迫る。 これに更に5年以上の「歳月」が加味されており、今やなかなかの逸品なのである。 これ以後、とり・みきはそのあくなきビデオ編集の病に有る程度終止符を打ち、 SFマガジン30年分を売り払い、NTの連載を終了し、 今では伝奇物を描き始めたと伝え聞く。みなひとしなみに時は流れた。 嘗て、「さかあがり」で自分の「世の中を見る目」が10ステージ程昇った私。 今この本で、「さかあがり」に出逢った中学当時の事を 懐かしく思い出すのであった。 あの頃の私の目には、この「とりの眼」フィルターが 幾重にもかかっていたものである。 今も結構かかっているのだけど、他の眼も含めターレット式でフィルタ交換可能 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (980520)


とり・みき「石神伝説 1」/文藝春秋/1997/12/25 とり・みきの一つの柱、伝奇ものの新シリーズ。 連載が始まったのは95年だが、 (未確認ながら)結構直しは入っている様に思う。 特筆すべきは主人公桂木真理の造形である。 兎に角とりみきのリアル系女性絵が ここまで美しくなってくるとは。 というか以前のソレがイマイチ(濃いんだ)だっただけに この絵の進歩?は好ましい。 物語内容自体も非常に意欲作という感じである。 諸星大二郎の影響から伝奇漫画を描き始め 挫折した過去から幾星霜、 遂に伝奇の長編シリーズを描くまでに至った訳だ。 「人知れず地下にある巨大な石構造物」の迫力は流石。 が、まだ完結していない・・・というか その全体像が見えないときに何を言っても仕方ないので、 ここは兎に角次巻を待つ、という事で。 是非とも「ここに壮大な連鎖が音を立てて」を希望。 諸星大二郎はその辺が無茶苦茶イイからなぁ・・・・ ・CGの多用が見られるけれど、その違和感の無さも注目に値するですよ。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (98/01/28)
とり・みき「SF大将」/早川書房/1997/12/31 タイトルの「SF大将」は当然SF大賞の語呂。 入れ子になっている「大星雲ショー」は星雲賞な訳で・・・ていわずもがな。 装丁というか、本のメタな作りが面白い。 誰か既にやってそうで、まだこれは唐沢なをきもやってないんじゃないか・・・ ・・・多分この入れ子に関しては、アスキーからの唐沢なをき単行本を 意識してはいると思う。 で。 兎に角ラストの「ソングマスター」に尽きる。 今再び読んで、背筋がゾクゾクするのだ。 SFMで読んだ時の感動はものすごくて、当時手当たり次第に 人に読ませたものだ。反応は全く駄目だったが。 SFファンの内心吐露がここには有る。SF者にとって「SF」とは何か、が ここには完全に語り尽くされている。 SFM30年分を売り払った、というのはとり氏自身の実話であるらしい。 だからどう、という事はないのだが、何せSFM30年分である。 それを全て取り去ったときの身の軽さ、それこそがこのラストの感動を 生んだのでは、と想像するのは難しくない。 この漫画の、「若手SFファン」に与える影響は非常に大きいだろう。 居れば、だが・・・というのはSFM'97/10の大森望によるインタヴューに 詳しいのでそちらを読んで貰うこととして、然し実際、不条理日記や メチル・メタフィジークで「必読リスト」を作って読んだものだったよわたしゃ。 果たしてこの単行本がその役割を果たせるかどうか・・・ この「SF大将」は、あのあじま作品程にはストレートではない。 とり漫画だけあって、原典からは全く違った展開になっている。 が、それだけに「このネタ解る奴日本に10人以上居るのか!?」的笑いは、 あじま程では無い。・・と感じているのだけど、単にワタシのSF的修業が 足りないだけなのかも。モトネタが解らなくてもオカシイ、という笑いが メチル・メタフィジークだったりした訳で・・・原典を知らなくても 「これはパロディだ」ってのが解って何となく笑えるんだけど、 このとり作品はそういう「これはパロディですよ」と言った 作りはしていない(然し「くりん」なんかはモトネタが解らなくても笑える的 ネタ作りをしていて、そのへんどうなのか・・・) あ、えーと。 実は原典読んでない奴の方が多かったりして。 すいませんすいません。不勉強なもので。 これテキストにしてまた読むことにします・・・・一応 「20代の若いSFファン」として・・・ 何にせよ、滅び行くSF界(SFMが廃刊したら、その時点で滅びる)の中で 「これがSFだ」という帯を巻いて発売された単行本。SF者ならずとも 一読をお薦めします。特にラストね。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (98/01/28)
とり・みき「遠くへいきたい 2」/河出書房新社/1997/9/19 これでしばらく次巻は出まい。 「できるだけゆっくりお読み下さい。」 1巻に比べるとネタのダイレクトさは薄れたものの、傑作の傑作度合い(変な形容) は格段に高い。オチのヒトコマ乃至2コマの緊張感が尋常ではない。 因みに私の選ぶ傑作は P20 P33 P61 P78 P81 の5作。 但しこれは人それぞれ異論のあるところであろう。 例によって解説は不能。 この技の前に、最早読んで爆笑すること以外に何が出来よう。 ・・・現在気になっているのは、この連載が始まって以来レギュラーになっている オジサン約4名の呼称である。嘗てのとり漫画からのキャラは皆呼称が有るわけで、 そのへんどうなっているのか・・・ 誰かご存じの方いらっしゃいましたらご一報下さい。 それでは。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (97/10/19)
とり・みき「遠くへいきたい 1」/河出書房新社/1997/5/23 BSマンガ夜話とか好きな人はまあ買って損なし。 最近あの番組が好きかどうか、で人を判断する奴>私。 ここまできつい仕事しなくてもと当時から騒がれていた連載。 TVBros.誌での隔週1ページ連載が実に4年分。 それを一冊で読めるこの贅沢!!! 何せとり氏は、一時期この仕事以外何もしてなかったというのだから、 実質月産2頁!その密度たるや。 ・・空前(絶後?)の9コマ純粋ギャグ(大体)90連発。 説明は不能。 純粋なギャグマンガを、どうやって説明しろと言うのさ。 ・・ホントは無茶苦茶お薦めなんですけど、多分読者を選ぶから・・・ まあ電脳なをさんよりは選ばないにしても。 ・・・好きなネタはp68。何度読んでも凄くて下らない。 然しタキタ氏ってのは良いキャラだ・・・ 兎に角漫画家「とり・みき」の魅力(の一端)を感じて頂ければ・・・ @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (97/07/20)
とり・みき「とりのいち」/青林堂/1989/7/25                 /1996/3/20 第二版。 某アダム(本屋)で「青林堂特集」というどうにも濃いコーナーがあって。 なんか津野裕子とかばりばり有るし。 そこで買ったのだ。再版したてだったのね・・・ 朝日ソノラマのホラーコーナーとかも。ソノラマはホラー撤退したんでは。 だいたい’88〜’89の1.5年分くらいが集中して収められている。 同時期にこれだけの種類を描き分けているのか、と感心。 いまはどうなのかしら?ブロス以外で・・・最近追いかけてないんで・・・ エッセイとか有るのだよな・・ しかし。ああ。 あの「下北沢の長い冬」をもう一度読めるとは思わなかった・・・ ギャグ(というのはこういうのをいうのだろうな)もいいノリで。 「タマンゴ」は傑作。パラクリなノリが懐かしくもあり。 火浦氏の渋いハードボイルド短編集「死に急ぐ奴等の街」に有った 「ポータブル・ラジオの夏」が、とり氏の手によって漫画化されていたとは 知らなかった。「山の音」・・というよりは「銀河ネットワークで・・」か、 あのタッチで描かれていて。 いい味だ・・・原作の方も素晴らしく良いです。オススメ。 「さいばーな人々」のたきたかんせい氏の扱いなどは後の冷食捜査官シリーズに つながるノリ。サイバーといえばタキタ氏、という形が既に生まれている。 どの作品も今の作品に通じる、いやその路線が確立されつつある、 其の過程をみる感じ。すでに様々な「書体」が育ちつつある・・・ それだけにパワーもあって良い。 「アルツハイマー伯爵」の力技な馬鹿ノリとか・・・いい・・・ 最近例の「土曜ワイド」で触発されて(やっぱアキタ先生のキャラは凄い) また「るんカン」読み返して、その凄さに打たれた私。 やはりとり・みきは凄い。次は「バラの進さま」を探さねば・・・ ・・・しかし再販するか。青林堂のくせに(おい)。 この展開で「黙って俺に・・」とか再販してないモノか。 取り合えずいま注文したら手に入るかも、ということで。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (96/12/02)
とり・みき「とり・みきのもう安心」青林堂980円 とても青林堂とは思えない(失礼)丁寧な装丁。 内容は、これは「解る」「解らない」にわかれるとおもいますが。 とりファンはまず買い。 どの作品もたまらない「とり」風味であるが、 特に「サエキさんの午後」はとり美学の極致かもしれない。そんなことはないか。 大胆なメガミックスはあの「ひいびい・じいびい」を思いださせつつしかし より高次である。
とり・みき「RARE MASTERS」河出書房新社 FANなら「買い」。 青林堂「だまって俺についてこい!」が絶版となって以来 初めて再録された「だまって俺についてこい!」や 有名シリーズ「愛のさかあがり」の欠番等々。 まずはしかし「るんるんカンパニー」 或は「クルクルくりん」から入っていただきたいス。 絶体面白いですから・・・
とり・みき「人達」ぶんか社/1995 やっと買えた・・・ 80年代からスタンスの変わらない漫画家としても貴重な、 真性ギャグマンガ家の新作です。 「シャレダ!」で連載されていた 「ひいびい・じいびい」形式のネタ主体漫画。 相変わらずの理系なネタの練り方が好ましい。 90年以降、特に「遠くへいきたい」で増え続けている新キャラ達、 その性格づけの見本表みたいな所も有って面白いですね。 個人的には吉田さんにもっと活躍して欲しかった様な・・ 吉田さん大活躍の「依頼人」は楽しくて好き・・・ ただ、も少し前後の差し替えなどやって、一冊としての完成度を 極めて欲しかったような気も・・・・・・ そういう点では「ひいびい・・」に数歩を譲るのでは? まぁ、買いじゃないかと。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
とり・みき/田北鑑生「DAI−HONYAダイホンヤ」 アスキーコミックス。 加筆が凄い。これはもう買い。ファンだろーとそーでなかろーと。 980円は高くない。とにかく買って!買って読んで! とり氏のなつかしのギャグも拝めます。 いやしかしエレベーター家なんか何年ぶりだよね。 爆笑と感動の嵐・・・・。 しかしラストの「痛い痛い」は唐沢兄弟がモトネタなんじゃないの? アレ(喜劇冷凍怪人襲来)のラストとそっくりなんだけど・・ ホントはどーなんでしょう。知ってたら教えて。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@

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