白炭屋カウンターへ

本棚・メインへ


品川KID


shinagawa KID

品川KID「KIDDY LAND Special」/フランス書院/1991/05/15


「ああ たいくつな年の瀬」


この10年、年末になると必ず読んでいる漫画がある。
出会った時の年齢、出会った状況、「本」としての感触等を含めて考えると、
自分にとっての「運命の本」は結局の所、この「KIDDY LAND special」だと思う。

高校生の頃、田舎の小さな本屋の平台に置かれていた、赤と緑の装丁。

多分この先老いていく感性では、二度とあの「出会い」の衝撃を超える事は
無いと思う。



2等身お子さまギャグマンガ。全ページ2色。

舞台はKIDDY LANDと呼ばれる世界の端っこの国。

「たいくつできゅうくつなお城の毎日」から抜け出してきた白雪おこい始め、
その友人のうさぎ(バイト少女)やよしみちゃん(漫画家志望)、謎の放浪くま、
おこいの命を狙う王女、その下僕にして魔法使いのしかばね、しかばねに憧れる
魔法使い見習いかりん、夏を寝過ごした森のおばけ、やたら出てくる泉の精、
おこいの部下の猿共等々、異様に作り込みの濃い(それぞれにバックストーリー
を感じさせる)キャラ達が繰り広げる、ほのぼのカントリーギャグ。

単純に面白いと思う。実際初読の時は腹を抱えて笑いそうになった。
我慢したのは、立ち読みだったから。

好きな本って、どこで買ったか、とか初読の時はどんな気持ちだったか、とか
そういうの明瞭に覚えてる事が多い。この作品もそう。どういう状態でこの本が
置かれていたか、それを買おうと決心した時の気持ち、カウンターに持ってった
時の店内の雰囲気、10年前の事とは思えない位はっきり覚えている。


いや、ホントに単行本として良くできていると思うん。カバーデザインとか。
全ページ二色だし。あとがきのセンスに至るまで。勿論内容の素晴らしさも。

このセンスを何と表現したら良いのか解らない。

強弱の無いタッチで引かれた線。その線で描かれる、立ちまくったキャラ達の
いちいち「らしい」言動に笑う。「うーす」「やのー」「だでー」「グーッ」
言葉遣いに何とも言えない味がある。

ギャグなのに心揺さぶる情感。それを産み出す、緻密かつ洗練されたパターンの
背景。まるで昔のRPGのフィールド画面みたいな。後に「MOTHER」というゲーム
をプレイした時に、「あーこの感じ、KIDDY LANDに近いなー」とか思った。
記号化が強くて臭いがしない。それがイイ。美しいのだ。たむらしげるよりまだ
臭わない。いい匂いはするけど。ピーザ。とか。

季節は春夏秋冬を秋冬メインで巡り(二色の朱を見事に生かしている)、
インドア人間の心を深く掴む。

いまだに、この本以上に「かけがえのなさ」を感じる本は無い。
これに出会って無かったからといって、人生には多分殆ど変化は無かった、と
思う。「そういう」本ではない。

ただ、脳の中にあの作品世界が広がって、今も消えない。

いつか僕も「たいくつできゅうくつな」毎日にさよならして、自由を求めて
荒野をめざす。目指したい。

そうやって、いつかKIDDY LANDにたどり着けたら、と思う。死後にでも。


100冊に1冊、或いは10年に1冊、というか。奇跡の様な単行本。
古本屋で見かけた時は、とりあえず買ってみて。
@@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
(2001/12/21)
・あ、ギャグマンガなんで、そのへん。ギャグ面白いよ。ホントに。品川KIDの
どこか乾いたギャグ(と独特の口調・言い回し)物凄くスキなん。何とか単行本
未収録作品集を出して貰えないものか。大都社あたりから。

品川KID「夢からさめたら・・・」角川書店/1996/6/1 ううむ。品川KIDの本性って「これ」じゃないですよねぇ。 コンピュータ漫画とか、サイバースペースとか、そっちじゃないと思う・・ 矢っ張り、何は無くともオススメの漫画、に「KIDDY LAND」を推す ワタシとしては、先の「マイティ・マッキー」といい、好きには成れないのだ・・ 特に、サイバースペースの描写の甘さが目に付く。 今更こんな描写(電線伝って逃げたり)では一寸・・・ ただ、品川KID作品永遠のカッコイイ兄貴、グラサンの先輩が救いだ。 彼の軽妙なセリフ回しは、これだけの為に買っても損は無い。 氏の作品は、ギャグの連続の中に、涙も喜びも切なさも描かれているのだ。 たまに抜き打ちで妙な(失礼)雑誌にポコっと載ってたりする2頭身ギャグオンリー の作品は相変わらず素晴らしいのに・・・ また、絵自体も弱まっている。元々が2頭身のコミカルなキャラに味わいが あったものを、妙にイマ風にしている感が有り、辛い。 ツインビーの頃から、少し気にはなっていたのですが・・・ 評価すべきはこの手のストーリーものとしては、久々に完全オリジナルで 描ききったという所か。原作付きが多かっただけに、それは嬉しい・・・ 田舎の小島での少年の出会いから、全てが始まっていた・・というのは、 これは「パンティ」(という作品がありました)だわ。爽やかな海からの風。  余談ですが、この「パンティ」は、タイトル故か、非常によく出たらしく、  田舎の古本屋でも、他の作品は一冊もないのに、この「パンティ」だけが何冊も  書架に並んでいるという光景が見られて泣けます。結構傑作なのになぁ。 ・・・テーマを少々盛り込みすぎたか。 サイバースペース、理想の人工少女、サイコセラピー・・・ どれ一つとっても、掘り下げ可能なだけに、単なるアクション主体のコミックに 成ってしまったのは辛い所です。 取り合えず、まだ品川KIDを読んだ事のないアナタは、 品川KID「DOUBT!!」徳間書店/1993/4/20 と 品川KID「KIDDY LAND SPECIAL」フランス書院/1991/5/15 を注文して読んで見て下さい。もう結構前の作品で手に入るかどうかは不明ですが 2冊とも、僕が愛して止まない作品です。 特に「KIDDY LAND」は、今まで読んできた漫画群の中でも、最も 再読回数の多い本です。3回カバーをかけなおしました。 これを越える作品は、そうは無いと思っている私。あ、フランス書院だけど、 すけべな本じゃ無いっスよ。 まぁ、作品観なんてな、人それぞれですが。 でもいい漫画家だと思います。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (96/06/24)
品川KID(原作・黒沢哲哉)「マイティ・マッキー」徳間書店1995 が なかなかでありました。 マイティ−自体は原作付きの悪い例みたいな所がありますが、 同時収録の「やまカンでいこう!」(初出コミックドラゴン1号)が良いス。 「たかのぶ」と「先輩」は、かの「パンティ」ヤンメタ(合掌)連載版の 主人公クラスのキャラクターであろう。実に良い味を出している。 やはり品川絵はこういうのがいいなぁ。 これ雑誌掲載時に読んで 「いいかげん新しいソフト買えよーっ  死ぬまでオレにスパルタンXやらせるつもりか?」 という所(単行本P162)で感動しまして。いやホント。 品川ギャグというか会話の心地よさここに極まれりという・・・ ずーーーっと覚えてて、よく思い出して笑ってました。 いやー、やはり品川KIDはイイ! 僕の友人に先日これ読ませた所「フェイク・シアター」が一番好み、 という事でしたが。 「マイティ」はとにかくぜんぜん品川KIDに向いてないというか、 余裕が無い作品でイヤです。同じ緊迫感でも「DOUBT!」だと品川世界の雰囲気が よく出ているのに・・・それはパンティ!単行本版でも同じ。コマ内での遊びが 品川作品の味だとするとそれを一切省いた(正に全て省かれている)これは・・・ うーんしかしやっぱ品川KID好きです。「KIDDYLAND」が有るだけで 品川KIDの名は永遠だと思いますし。 あーまとまらない。 (1995?)
品川KID「ツインビー レインボーベルアドベンチャー 2」徳間書店490円/1995 ・・・・いいや。別に。 品川KID好きだから。 でも出来たら借り物の設定じゃ無く、 オリジナルな世界を見せて欲しかった・・・ またキディランド描いてくんないかなぁ。ああいうの難しいとは思うが。 (96/12/12)
品川KID「ツインビーレインボーアドベンチャー」1巻・徳間書店 「DOUBT!!」のノリが好きだった人には感涙モノの出来。 この人のシリーズ(次回に続く)ものは描く度に上手くなってくる。 それに加えて借り物ではあるがウインビーの可愛さも。 正直品川KIDにこんな普通の可愛い女の子が描けるとは思ってもみなかった。 プロだなぁ・・・ 連載(ファミマガ)読んでないので次回が楽しみ。 おこいフリーク(いるのかそんなの)にはP55下段2コマめに居ます。 ずいぶん可愛くなってはいますが・・・ @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (94/05/21)
品川KID 「PANTYパンティ−海の宝物−」 期待して読んだだけに脱力感強し。 しかしこれが長編第一作、で時を経ずしてあの傑作「ダウト」 が生まれるのかと思うとこれは驚きである。 しかし、彼の持ち味はそのライトな描線を生かしたライトギャグであるハズ。 「ダウト」の良さも底にそのギャグが流れているからで・・・ どうにも、この「PANTY」はいただけない。 所で誰か「タイム・アフター・タイム」持ってませんか? 昔一度だけ見たことあんだよなーあーあん時かっとけばなー。くそう。 しかし品川KIDの単行本はやっぱ フランス書院(・・・)から出てる「KIDDYLAND」に限るな。 オール2色であの値は安すぎる。 誰か品川KIDの作品リストUPしてくれません? (92年?)

白炭屋カウンターへ

本棚・メインへ


tamajun■gmail.com(■をアットマークに読み替えてください)
inserted by FC2 system