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岡野史佳


Okano Fumika


岡野史佳「ラブリー百科事典  極東フェアリーテイルズ 1」/エニックス/2002/07/27 先日一年ぶりに会った知人と、この作品の話になって 「おキツネ様に首輪!」 という点で意見の一致を見たのであった。まったく。 白泉社からでていたシリーズの「改訂版」というか、仕切り直し再発車版。 キャラ設定は同じでも、旧シリーズとはネタがかぶってない。個人的な印象では、 旧シリーズより作品の懐が広い/深い感じで、読み込むのが楽しい。 いやー然し、なんかやっぱ解ってるよなーオカノフミカ!!というか。 エクトプラズムからおキツネ様が出てくるとこなんかサイコーだ。 いや、やっぱプロの漫画家だなーと思う。当たり前だけど。 キャラの明確な立て具合から始まって、一話一話の中に入ってるギャグ、毒、 サスペンス、恋愛、萌えのバランスが本当にプロ。オマケにこの絵柄。 兎に角読んでいて安心して笑える。先の「オリジナル・シン」がラストまで ドロドロだった(しんどくて、いまだに感想書けてませんが)だけに、この作品の 明朗さ具合に一安心&次回作が楽しみになるのだった。 でもホント、キャラはラブリーだし、舞台となる田舎の風景や「デートスポット」 やらの背景もしっかり描き込まれているし、花を背負ってゴージャスな画面には (このところ少女漫画に触れてない身には)なかなか読んでて嬉しいものがある のだった。でもホント、これでもかっちゅーくらいラブリーだよなー。 おキツネさまもかすみちゃんもこま犬姉弟も。 絵柄のラブリーさの上で「作り」のしっかりした漫画。絵柄も安定していて、 岡野作品ビギナーにもお勧めです。未読の方は是非! @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (02/07/22)
岡野史佳「手のひらに星 2」/白泉社/2001/01/25 うわ打ち切りくせえ。 とはいえ業界物に展開するには引き出しが、という感じか。 こどちゃとの差別化も難しい・・・ 然し絵柄がああいう絵柄なのに、相変わらず出てくる「大人の女」の黒々とした 造形はどうだ。いやいい人なんだけど、重いわ・・・それが魅力でもあるか。 キャラ造形の深みという点では、深い人キャラにはホントに深く作り込むからな。 特に年増(妙齢)の女性のドロドロした造形はこの作家独特。その分浅い人は ホントに浅いという。千咲ちゃんのあの「描かれなさっぷり」がなー。まああんまり 描いてしまうと、主人公の「憧れの女性」という記号的なキャラが立たなくなる ってのもあるか。 で、やっぱり目が行くのは同時収録のSF短編「黄金の棲処」。周りでは評判が あんましかんばしく無いんだけど、妙に好き。こういう世界観に弱い。 何かワケ有りの旅行者(主人公)が辺境の星の宇宙港に降り立つ所から始まる、 そういうのに妙に弱いのだ。 オチに到る展開も含めて、非常に「古き良きSF」という感じ。絵柄で(いっそ) 損をしている様な話だ。もっとシンプルな絵柄で、物語だけを抽出してみせたら 随分印象も変わるのではないかしら。ホント、50年代SFのリメイクのような。 つーか、SFじゃん!と。いまだに「SF的」なものにはとことん弱いのだった。 絵柄的には、一時的に強烈だった頃に比べてよっぽど良い感じ。往年の 「絵柄だけでノックアウト」みたいな力は無いけど、でも、これはこれで。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (01/02/28)
岡野史佳「手のひらに星 1」/白泉社/2000/07/25 久々に笑った。笑って泣いた。ええ話やー。 小規模プロダクションに所属する売れない役者・永瀬海里が、社長の息子(朝倉 理央・小5)と娘(朝倉つぐみ・小3)を預かるんだけど、この子供が実はその昔 チャイドルとして一世を風靡していた二人で、主人公を売り出すために芸能界復帰を 果たす。セットで売り込まれた主人公も何とか当たり役を得て・・・ 取りあえず1巻はハッピーエンド。一昔前の星里もちるみたいな。 こんな話が描けるんだなあ。 絵が(前に比べて)辛いのは相変わらずなんだけど、コマ割りの小気味よさとか 背景の描き込みバランス(巧みなアシスタント制御)とか、何かもうイイ感じで。 この作家初期の、あの引き込まれるような作品世界の深みこそないけれど、これは これで良いのだ。多分。あとはあの子供二人のキャラクターがどう成長していくか とか、その辺も楽しみ。昔から可愛い絵柄の下に確固としたキャラクター造形の 骨組みを感じさせる作家だった。人間ドラマがちゃんと描ける人ではあるのだ。 ライバル(なのか?)の怜士のキャラ造形が個人的にはイカスなあと思うが矢張り 今を生きるナウなオタク描写にヤマトは古すぎて辛い。気質は持ち合わせていても 実際にはもう長いことアニメ見てない人なんだろうな、というのは本人もWebで 語っているけど。いや記号としては分かりやすいとは思うけど>矢印の制服。 何となく「渋谷のアリス」とか「ハートに若葉色のダイアリー」とかいう言葉が 脳裏をかすめたりかすめなかったり。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (00/08/20)
岡野史佳「オリジナル・シン−原罪− 3」/白泉社/2000/02/10 おまけが無いのでちとお得感が薄い。でも本編がもースゲーよ。 このテンションはやっぱ意識してやってるんだろうなあ。絵はもうかなり確実に 全然全然全然全然全然全然全然全然全然全然全然全然アレなんだけど、その分 話の牽引力が違う。面白えわ。「普通ここまでするか!!?」ってのがマンガ読みの 醍醐味だもんな。 「見なさいよ!兄妹で愛しあってるじゃないの!  あなたも私も  もっと恐ろしい罪を重ねてしまったじゃない!  どうするの!?  どうするのよ!!」 うはー。これこれこれでんがなー。このクドイまでのドロドロ展開。怪しい宗教に 医者の倫理にミイラに狂女に生き別れの兄弟に禁断の兄妹愛。もー出て来るわ 出てくるわ。この人もう絵が描けなくなっても原作者でやってけるな・・・ ・・・・ってかなり屈折した感想を吐いてる奴。 最近もの凄く久しぶりに「フルーツ果汁」を読み返して、その絵の魅力に久々に ハマった人間としては・・・うううう。でも主人公の嫌な描かれ方は昔からだなー と再確認もしたり。いや、面白いのは、面白いんだよ。でも、「僕が」岡野史佳に 求めているのは・・・いや・・・ううん・・・・ @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (00/06/01)
岡野史佳「オリジナル・シン−原罪− 2」/白泉社/1999/07/10 なんかこう、なつかしの日本SFしてきてませんか。そんな感じ。曰く 出生の秘密。その秘密故に生き別れで育てられた兄弟の確執。この先に 待っているのは超能力戦争か? 「まだ20そこそこだったのよ!  どうかしてたんだわ でなきゃあんな恐ろしい事」 この辺の、昔の花ゆめSFみたいな必要以上の深刻演技が結構イカス。 ヤヌスの鏡、とかあんな感じか。或いは、未織の、遼河のためなら他人の犠牲 (友人の彼氏をたらしこんだり、挙げ句事故に遭わせたり)も厭わないあの じっとりとした「女」ぶりなんか。この作者の善良一辺倒では決してない どす濃い部分を思い出させられる。 ・・・然し、岡野漫画でも主人公達のモロのSEXシーンが入ってくる様に なったってのは、時代なのかねえ。「制服しわになる・・」ってあんた。 まぁ、あの銃のかまえ方とか未だにクラクラする(思わずシロマサとか読んで 心の動揺を押さえつけたくなる)所は有るけど、物語がこの先破綻しないで 進んでくれれば。さて、未織ちゃんは幸せになれるのでしょうか?(なげやり) ・・・で、前巻同様今巻も巻末に短編が入っていて。「檸檬と夏服」。 表紙絵がもうなんだか成人指定漫画みたいだぞ。フェロモンが〜 でも、内容は(表紙やタイトルのインパクトに比べて)大人しい感じ。 パート分けされた物語がスピーディで、かっちりした感じ。作者の資質を生かした 「北川菫」のキャラクターは、正直もっとエキセントリックでも良かった。 (岡野にしては)割とフツーの少女漫画。やっぱタイトル 「檸檬と夏服」の字の持つインパクトつうか、爆発力に負けてる感じ。 まして「檸檬」のインスパイア、を語るなら、もっとモダンチックなものを・・・ って、この作家はそれが出来るからこそ言うわけですが。 ま、でも、惰性ですかね。ちょっと。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (99/08/27)
岡野史佳「地上の星座」/白泉社/1999/05/10 「メロディ」って読者層どんななんだろうなーとか思う。 読んだこと無いんですよね、掲載紙。 うーん。 岡野史佳による「学校」。 岡野史佳久々の学園モノは、なんと定時制高校が舞台。 兎に角(紆余曲折はあれ)また濃いテーマを選んだものだと思う。思うが、 取材(ハシラスペース参照)の力が生きていて、何というか 地に足のついた力強い作品となっている。なりつつある。 舞台である定時制の「雰囲気」の作り方が堂に入っていて、読みごたえは抜群。 元々が「夜」属性の強い作風、絵柄なんだけど、それがまた良く生きていて。 久々に正面切って読める少女漫画だった。 主人公、日輪子(ひわこ)は、かつていじめが元で高校を退学。 彼女が何を思って定時制に再び通う様になったのか、は実はあまり 明確に語られていない。かろうじて冒頭でのモノローグ 「あたしは未練がましいだけよ・・・  制服が免罪符だった3年前をひきずってるだけだわ」 「どこにいても 何をしてても 時間だけが過ぎていくのに  あたしの花だけ 咲くのを忘れているなんて−」 が、或いはその気持ちの間接的な説明なのかもしれないけど・・・ にしてもこの痛々しさ。 深夜のTVの前でボンヤリただ居るだけ、な日々。「時間だけが過ぎていく」 あの焦燥感。個人的に蘇ってきてたまらん。 ・・・少なくともこの日本社会で「学歴」がどれくらい人間の価値を 決定しているか、ってのは厳然としてあるから、「行かざるを得ない」のか。 いや、「理由」は人それぞれなのだ。より良い職場に転職するためや、 親/親戚からの圧力、純粋に勉強したい老人・・・そもそも学校に行くのに 「理由」なんて必要ないか・・・勉強しに行く所なんだ。 で、舞台が暗い(夜だからね)上にこの主人公ひわちゃんがまた暗い。重い。 まぁ斯う言う過去が有るんだから仕方ない・・・っていやそうじゃなくて、 何でここまで痛々々々々しいキャラを主人公にもってきますか。 読者の感情移入を拒んで居るかの如き・・・・・いや、個人的にはむしろ 激感情移入しやすいか。暗い属性には近しいモノを感じる訳で・・・もしかして 「そう言う」読者対象か? でも、良いんだよ・・・凄く・・・ひわちゃんの造形・・・ あの表情の暗さとか、「なんとかその日その日を過ごしている」感じとか。 18歳っつー年齢設定がまた切なくてなー。子供じゃないけど まだそんなにはスレてない「女の子」。心に傷を負う。 暗くて、意地っ張りで、でも寂しそうで、ほっとけない。 天窓で空を見上げたまま5秒で寝ちゃう下りとか、あの「あやうさ」がもう。 肩枕の少年たあ坊もドキドキだよな。誘ってるとしか思えねー!・・・と あの年頃なら思うさ。年上の人だし。あー! なんて言うか、「幸せにしがいのある」感じ。薄幸、ってのとは違って。 元々の明るさや力を取り戻せば、この子はどんなにか素敵だろう・・・とか。 ・・・はっ、この感じは!冒頭での和寿の 「きみみたいな子がここを卒業する時・・・」ってアレか!うわー! 作者に手玉に取られてる感じ・・・ キャラに「重み」を持たせる描写は相変わらず巧い。 p120で教師の怒鳴り声に「突き刺さ」ってしまう下りとか。 自分の弱さに疲れはてて、ああ、なんでみんなそんなに強いんだ・・とか 思ってしまう下りはあまりに実感があって。誰しもそう言う経験は有るのか。 それにあの想いの込められた眼。これがもう暗い表情だと実に強烈。 以前にもこの作者の「眼」の力について書いた気がするけど、兎に角 あの眼の力が闇属性に働いたときの力ときたら。あの哀しげな眉根を見てると なんかもー責められてるみたいで気分悪くなるくらい。って何かやましいことでも。 「まだ続く予定」とのことで、結構楽しみにしているシリーズなのだった。 ・・・・やっぱ三角関係? @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (99/06/03)
岡野史佳「オリジナル・シン −原罪− 1」/白泉社/1999/01/10 デフォルト買いの一冊。「メロディ」で連載中の岡野史佳の最近作。 既読者の話によると「やたら痴漢におそわれる女の子」の話だという。 ・・・成程。作者曰く「自覚のないフェロモン発散型」な未織ちゃん。 割と不幸顔で砂。 しかし確かにこの作者の絵は以前から妙にフェロモン成分多い。 (それが証拠に男性読者の多さと来たら!!) 一時期の、かなり崩れた期間を経て以後、また一段と フェロモンを発散し出した感じがする。いや、もうあの眼が。 あの眼がフェロモンをッ。ああああああ。 物語の構造は多分単純なんだろうけど、それをそう見せない巧さ。 読者を物語に引きつけるパワーは流石だ。 ・・・ただやっぱり氷漬けの古代人から復活した・・・とかいうと 「クルドの星」を思い出すわけで。思い出しません? あとなんかフィリオと地場衛(劇場版せらむんR)を彷彿とさせるような そうでないような。って意味のない類型探しは止めるんだッ。 南米ゲリラとかの描写にも恐れず挑んでいる辺りも好ましい。 資料見てるという割には銃の構えの描写が・・・とか言い出すと キリがないけど、「ひこうき」よりはマシと言えよう。 えーと。取り敢えずオモシロイです。SFは良いよね。 近未来SFでしょう。なんかこういうの久々に読んだんで、懐かしくて・・・ ・・・・・然しワタシにとってこの単行本の真の価値は、巻末収録の短編 「ドリームワークス」にあったですよ。 もう、久々に「来たッ!」という感じ。 やっぱ水族館でしょう。遊園地でしょう。ルナ・パァクでしょう! コオニイ・アイランドでしょう!!!と言う感じで。 ああ何より人工生命「リンク」の造形。あの眼!あの表情!!  海のあわから生まれてきた  真珠のような女の子で  露をやどしたすみれの瞳と  今にもとろけそうな  はちみつ色の髪をしてる・・・・ いやホント、もう6ページ目(ノンブル無いんでタイトルページから数えて) のあの美麗さには心底しびれました。何というか・・・印象深くて。 ・・・物語の切ない作りも良い。ただ個人的には、もう少し・・・ という感じが。いや基本的にはこう言う展開、こういう結末を 望んではいたんだけど、もう少し・・・例えば 単に立ち上げ時のデータとりに使った、ってだけじゃなくて、週に一回は オリジナルの彼女と感情/仕草のメンテナンス(摺り合わせ)を 行っていた−とかだったら、もっと「”リンク”はリンクの影だった」って 「納得」できたと思うんだけど・・・・ だって彼は少なくともその後の6年を”人工生命の方の”リンクに恋して 過ごしてきたわけでしょ?その辺がねえ。って妙にこだわるあたり ヤバイ感じですか?だいたい少女漫画に何を求めてますか? ・・・・・岡野史佳の斯う言う物語って、いつも何処かしらこう 引っかかるところが有って。こう言うところがSFの血なのか? いや、でも、良い作品です。切なくて。 ラストの「ハッピーエンド」具合も適度で、好ましい。 本来「少女漫画」はこうじゃなくちゃね。という。 ・・・なんか毎度とりとめもなく。すいませんどうも。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (99/01/25)
岡野史佳「薔薇科少年」/白泉社/1998/07/25 「月齢14.8」 懐かしいSFみたいな。閉ざされた世界に住む少年が、その「外」の世界を 目指す・・・クラークの「都市」でしょう。「ステーション跡」なんてまるでそう。 前輪にエンジンのついたバイクなんか見てると、この人やっぱメカ志向は強い んだなぁ、と思わせるのだった。こういうの「描きたがる」のって少女漫画家には 珍しい。 「騎士とエンゼル」 出た!ヒコーキ野郎モノ。好きこそものの・・・という訳で、以前の翼断面に 曲線がないカマボコ板のよーな翼を描くことも無くなったか。巧くなっている。 ストーリーはほのぼの。ストーリーそのものよりこの人は「ヒコーキ乗り」が 描きたかったんだろうな。テグジュペリつーか。 「薔薇科少年」薔薇の遺伝子を組み込んだキメラ少年と、幻の蝶の遺伝子を 組み込んだキメラの少女・・・思い切ったタイトル(と表紙!)に相応しい、 思い切った「SF」。この思い切りぶりってのはもう実に岡野らしい。 まぁしかし60pのSF中編をホイホイ描けてしまうこの作者の存在は、昨今の 少女漫画界に置いて貴重なSFの血だと思うのだった。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (98/07/25)
岡野史佳「ラブリー百科事典 2」/白泉社/1998/05/10 発表順で行くと、6.7.10.8.5.9の順。 出来ればこの順番で読むことをお勧めしてみたり。もう遅いか。 いややっぱ、発表順で読むと、おキツネ様の幼化とか かすみちゃんの魔性ぶりのベクトルが増大していくのが手に取る様にわかって 楽しいのだ。特に最新作であるところの「その9」なんかは、 各キャラが各ベクトルで無限暴走している感じがあって(川田とか) 好きだ。 まーしかし面白いです。 1巻読んだときは、頭の中に「それまでの岡野史佳」像 ってのが割合強固にあって、「こりゃ駄目だー!」とか思ったのだったけど、 もう慣れた。落ち着いて読んでみれば、アレもこれも両方とも 岡野史佳には違いない・・・ えー、そう言うわけで、おキツネ様はあげるから かすみちゃん(魔性モード)希望。 ・・・え?主人公?誰よそれ。 嘘。乃亜ちゃんも「田舎にやってきた東京娘」像(タカビーだったりするアレ) を見事にうち砕きつつばく進している感じが好きだぜ。良い娘だよな・・・ でも既にかすみちゃんの魔性のテクにからめとられてしまった @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (98/06/11)
岡野史佳「君の海へ行こう」/白泉社/1997/8/10 いやまあもう皆さん買われてる事とは思うんですが。 正直期待してなかったですよ。 先の「ラブリー」がちょっと・・だっただけに 「あーまた出てるなぁ・・・しょうがない他に買うモノもないし」的感覚で。 いや、まいりましたねどうも。 p25(ノンブルのない漫画だな・・)でスゲェどきどきしてる俺。 漫画読んでどきどきしたのなんて久しく無かった・・・。 っていうかこりゃもう「基本」の書でしょう。直ぐにそうなると思う。 久々のヒット短編だ。 絵もかなりマシになってきているし・・・まだ斜顔が人間じゃない時があるけど。 ・・・すいません>好きな人。昔の絵柄が好きだったんだよう・・・ モノガタリそのものには奇異な展開は特に見られず。 物語の強烈さよりは寧ろ、絵そのもののインパクトで勝負という感じ。 こういうのを画力って言うんだよな・・・・ 思わず気がつくと10回は読み返しているという。 巻末の「緑のゆびさき」も丁寧な作りで岡野作品らしい一編。 長野まゆみ系SFの薫り高い・・・。短編は相変わらず巧い。 ・・「君の海へ」も「緑」も、物語的には、「外」から男(年上の王子様)が やってきて少女の心をさらっていってしまう、というありがち一辺倒なもの。 でも其れを魅力的に描ききる力というのは・・・ プロットが平凡でも、画力と「感性」が有れば。 漫画は、この世に残された「個人の感性」の最後の砦かも知れない。 とか考えてしまうです。一人(まぁアシスタントはいるにせよ)で 版下まで作成してしまう世界なんて、他には無いでしょう。「芸術」以外には。 いや、さいとうプロみたいなシステムで描かれても漫画は漫画。 でも、漫画の向こうに「作者」という個人を感じることも、 漫画を読む魅力の一つだと思うです。特に少女漫画にはそういう楽しみ方が 似合う様な気がするですよ。「1/4スペース」や「あとがき」の存在が其れを 証明していると思うですが、如何。いや如何って言われても。 「フルーツ果汁」はもう二度と読むまいと思っていたのに 書庫から引っぱり出してきてしまった @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (97/08/17)
岡野史佳「イリスの卵 2」/白泉社/1996/8/25 鉄人形JUNO(ユノ)が可愛い。 この「金銀旋律」は傑作。 やっぱオートマータとか描かせると上手いね。絵が、じゃなくて物語の作りが。 あと旅行記が(実は一番良かったりして)面白かった・・・ 主人公達には申し訳ないが、もう彼等を追いかけるのは今一つ楽しくない・・ それよりもむしろ旅先の世界観等を楽しみたいですね。 まぁそういう作品でもあるか。 やっぱ、根本的に「絵が駄目」。 いやワタシの嗜好からは離れている、というだけの話です。 ついでに 岡野史佳「ハッピー・トーク 1」/白泉社/1990/12/25 岡野史佳「ハッピー・トーク 2」/白泉社/1991/5/25 岡野史佳「ハッピー・トーク 3」/白泉社/1991/7/25 を、やっと揃えた・・ やっぱこの頃の絵はいいねぇ。 これと比べると、「イリス」は哀しいほどに「慣れ下手」を感じる。 主観の問題だろうけど・・ いやー。デイジーが兎に角可愛い。どのコマとっても可愛いんだぜ。 仕草や表情も豊かだしね。「にこりん」顔(1巻P149とか)が似合う。 いや、ホントに可愛いんだ・・・線一本一本が可愛い・・・ グレンがデイジーを扱うときの大きさ対比(2巻P166など)がまたいい。 いかにも「小柄で可愛い」という感じが良く出ていて上手いなと思う。 帽子や服や靴や小物等々にもこだわりがあるし。その画面密度の高さが嬉しい・・ ただ絵そのものの可愛さ(楽しさ)だけで十分楽しめる。 その分というか、内容は(珍しく)薄い。だからこそこんなに軽々としているのか。 全巻通して読みなおして一つ不安になったのは、「ヴィクトリア」さん(アーシュラ) の「催眠術」によって生み出された人格、という設定。 じゃあそれ以前の、本来の彼女ってのに「戻さ」なくてもいいのか。 洗脳と脱洗脳に区別はないのかな・・・ 勿論今の彼女もとてもいい奴(失礼)だけど。じゃあ「もとのヒト」は? うーん。 後、髪の毛の伸びたデイジーは却下。 4年くらい前に、1巻だけ買ってきてしばらく放って置いてたんですが。 読んでみたらあんまりいい絵なんで模写しまくったものです。 ・・・その結果 「俺にはこの魅力の万分の一も再現できない」 事が判明した・・・。 実は「瞳」も先日全巻購入済み。まだ読んで無いけど。重そうで・・・。 「フルーツ果汁」ももう二度と「楽しく」は読めないような気がしている @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
岡野史佳「イリスの卵」白泉社/1995 なんか売ってたでスシ。 知らなかったでスシ〜。うむむ。 そーか、「ララ」成田美名子作品しか読んでなかったでスシ・・・ いかん。もうとっくに年明けたのにまだ語尾のスシ変化が抜けないでスシ。 うーん・・やめやめ・・ しかしなんか長いこと読んでないと思ったらこんなの描いてたのね。 相変わらず上手い。 ありがちなパーツを集めて造られたキャラクター、非常に漫画漫画した顔つき、 体つき・・・だが、それが上手い。美しい。うるさくないのだから恐れ入る。 ジュラの造形(設定含む)の美しさと来たらもう・・・ やはりこの絵の何処が凄いって、眼よね。 漫画眼の現在の極限の一つではなかろうか。 フルーツ果汁、の時も言った様な気がするけど、これは凄い。 真似できない丁寧さ。 どんなに小さなコマでも眼は手抜きされていない。 あとはトーンの使用量も凄いぜ・・・ この人独特の好物嗜好&飛行機マニ的描写が、しかし描き切れてないのが 辛いところか。 しかしアレだ、何故こうも少女漫画家というのはメカに弱いか(めるへんめーかーを その白眉とする)。いや上手い人もいるけど。 建物も弱いよな・・・リアルに描く必要はないんですけどもね。 雰囲気ちゃんと出てるし。 しかしそういう細部は気にすまい。 この作者の神髄はそのキャラの美麗さにあるのだし。 内容は思いつきぽくても、ちゃんとそれを支えるだけの世界観の広がりと 画力(技術!)があるからなぁ・・・ この作品には男でも女でもない綺麗なコドモ、でも実は女の子、とか そんなのが出てきますが、その「分かる」シーンが実に上手い。 洋モノの童話にそんなんあったよね、なんか獣の皮を被らされてて、 その下には美女という・・ しかし・・ ああ・・そうか表情が良いのだな・・・ 生き生きとしていて・・・ まー、嫌いな人はたまらなく嫌いだとは思いますけど。 多分読者を選ぶと思う・・・ 後 あえてストーリーには言及しない。 ま、こういう漫画も、好き・・・ @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (96/01/07)
岡野史佳「海育ちの風」白泉社390円/1987 「フルーツ果汁」以降の作品しか知らなかった私。 それももう何年も読んでないときた。 たしか「ハッピー・トーク」で挫折したのではなかったかしら。 「瞳の中の・・」も読んだかな?忘れた・・・ で 先に「少年宇宙」(1994/2)というのがやはり白泉社から出まして、それに これを読んでみて、とあったので買ってみたのです。 (ちなみにタイトルからもわかるかオートマータ物。ありがち、とはいえ  良く描いている。世界観そのものに対する「あこがれ」が先走ってはいるが。) で ですね。 面白かったの。特に「プリズム」の絵柄がたまらなく良い。 没個性少女漫画絵なんだけど、何か良い・・ 少なくとも今の彼女の絵は僕には耐えられないし。 (動物はいいんだけど・・人間はもう人間の形してないよね。) 初期作品とはいえこの完成度。線もこだわりを感じる。 これがどうして今の様になっちゃうのか・・ 慣れ下手、は避けられないのでしょうかね。 僕にはどう見ても今の方が「下手」に見えるのですが・・話も、絵も。 処女作を超える傑作は無し。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@

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