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みずしな孝之



みずしな孝之「戦え!アナウンサー 6」/白泉社/2003/08/05

面白かったー、と読み終わる。
なんかこう、キャラクターが生きてるいいマンガでした。と。

シロちゃんと奈木の結婚は、読んでてなんかじんわり来たものよ。当時奈木を
彷彿とさせる友人が結婚したとこでねえ。あの口とか二の腕の出しっぷりとか
かなり被ってて。そういやこないだはこないだで桜子そっくりの某女史も結婚
しちゃったしなー。はあああああ。でもまー、これもそうだけど、アレですな、
結婚ってのは全く「勢い」ですな。とか。p30のクボショーの「アレ?」顔
スゴイ好き。この表情がここで出るのがいい。
あと結婚式でのフォーマルなクボショーの焦り顔とかな!萌える!

アナウンサー強化計画の先に待っていたのは会社の身売り。
身売りされて通販局に、とか今読むとあり得なくも無い感じがして結構キツめ。
当時でもキツめだったと記憶するが……放送局が身売りして、その結果放送が停止
してしまうとか、そういうの、ありそうやもんね。
まあ一波乱あって雨降って地固まるラスト。シロも広末も男を見せた。
いや、お見事でした。久々に読み返してやっぱ良いマンガだったなー、と
そう思わせてくれる。(この頃の)この作者の、キャラに対する深い愛が好きだ。

「CMのあと驚きの展開が!!」


やっぱ小角は最強の萌えキャラだったと思う
@@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
(05/03/05)

みずしな孝之「幕張サボテンキャンパス 10」/竹書房/2002/12/27 みずしな孝之「幕張サボテンキャンパス 11」/竹書房/2003/08/17 と言うわけで、取り敢えずは祝完結!という気持ち。 作者自身が「描ききった!」という満足を得られる様な、そういうマンガだった のだろう。キャラクターがちゃんと生きていて、「その後」までケアしたくなる。 終わり時を逃したんじゃないか云々(例の「大人の事情じゃー」)ってのはまあ 無くは無いんだろうけど、でも、グダグダでもこういう終わり方をすべきだったと 今は思う。読み終わった今は、とてもいい気分だ。 いま読み返していて、やっぱりじんわり来る部分はある。 10巻、就職した千葉みなとが、夜、つい大学に寄っちゃう所とか、ホントそう なんだよなあ、と、そういう時が必ずあるんだよなあ、と深く頷く。大学時代は ホントに大学が自分の属する「社会」の全てみたいになっちゃうから、あの 帰属感から抜け出すのは結構かかる(いまだに抜け出せてない人も居るだろう)。 ……だから、最後で千葉があっさり脱サラして「自分の夢」の為に世界を放浪 してるってオチは、ちょっと哀しかった。いや、夢をかなえるのが正しい生き方 なんだろうとは思う、思うんだよ、でも、さ……いや、それは単に僕が「負けた」 故の僻みというモノか。彼には確かにああいう生き方の方が合っているだろう。 あとチルの割り切り方もスゲエ、と思う。男として。いや今回「あの桜子の弟」 って所が思いっきり出たっていうか、いや、今のコイツは強いと思う。チルと 桜子はラスト2冊で急成長を遂げている。あと誉田もね。誉田の「その後」は ちょっとまあどうかとも思うけど、誉田らしいと言えばラシイ。 そして明日香はとうとう最後まで己を貫き通した。我を通したのではなく、流れに 逆らわずに、あるがままに流される事で、己を「成長」からさえ超越させた。 いわば「努力」とは対極の所に居ながら、でも「世間」に負けない絶対的な自己が あればこそだ。最初彼女に対して抱いた恋心(いやマジでたまらん!と思った。 当時パソ通でそういう話しをしたら「それは静電気だよ」とか言われたのを思い 出す)はもう無いけど、でもあのラストの姿には、尊敬すらしてしまう。 と、ここまで書いたあと、さっき友人と風呂屋で「サボキャン終わっちゃった ねえー」とかいう話をしたんだけど、「明日香変わらなかったねえ」って、まあ 上に書いた様な話をしたら、「キミタクも変わってないよねえ」といわれて、 ああ、確かに!と思った。こいつら二人とも全然変わってない……キミタクは 最初からああいうキャラだったし。なるほどなー。 ……この作品に出会った夜の感動を、今でも忘れてない。忘れられない。 あのときのやるせない、もどかしい気持ちがあったから、僕は今の飲み友達と 再合流出来たのだと(実は密かに)思っている。 ああいう強烈な「マンガ体験」は、もうこの先二度と無いかもしれない。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (03/09/12)
みずしな孝之「戦え!アナウンサー 4」/白泉社/2001/07/05 みずしな孝之「戦え!アナウンサー 5」/白泉社/2002/07/05 うわ感想ほっといたら5巻出ちゃったヨ的な。 4巻はサリナ旋風吹き荒れまくりで。ヤマンバとかねえ。懐かしい。 実際このキャラは作者渾身のアイドルキャラという感じで、素直に 「サリナー!」などと燃える事が出来るわけですが。でもリアル世界に こういうキャラって最近居ない感じしますな。どうなんでしょう。 巻末で奈木とシロちゃんがつきあい始める下りとか、結構良い感じで、 読み返してても嫌味が無くて良い。みずしな漫画で恋愛関係が描かれる下り って始めて見た気がする…… 小角あゆはそのうち絶対おいしい話で泣かせに来る(鬼の面が剥がれて、内心 むき出しモードで!とか)だろうと待ってるんだけど、でも明日香見てると この作者そう言うことはしなさそうでもあり……4巻p24で泣いてる顔とか たまらねー。とか思うんだけど。あと5巻で仔牛とじゃれあってる顔とか。 いや、あの顔に裏があるからこそ。でも小角って広末とつき合ってると思うが どうか。一緒に出勤したりしてるしな。 人事異動の嵐が吹き荒れる所から始まる5巻は、通して読むと成る程 主人公がクボショーに戻った感じ。元々主人公らしいんだけど。 相変わらずノリだけで人事決定する社長のお陰でADになってしまったクボショー、 だがそこで発見される類い希なる「ADとしての才能」。アナウンサーに戻れる! →でもクボショーがADした番組が軒並み視聴率30%越え!ってギャグのオチなん だけど、でも、往々にして職場での「やりたいこと」と「才能」って違うところに あるよなー、と思う。着ぐるみとか。だから、ホントは(可能なら)色んな 仕事をローテーション的にやってくのが一番いいのかもしれないなー、とか フト思ったりした。 ADと言えば拙者の中で日野恵の株が急上昇というか。やっぱ目で。明日香似だから なのか>自分。もう明日香に対する恋は冷めたのでは無かったか……兎も角。 多少否定的な意見も聞かれたp97からの美人アナ温泉ひとり旅、は個人的には しんみりとさせられて、結構ハマったのだった。こういうあざとさを(それを 感じさせずに)出来るというのは、この作者の人柄というか懐の大きさだと思う。 人間性というか(p60の「いっしょうけんめいしゅざいしないと」は兎も角)。 時間に比例してキャラが増えていくので、相対的に出番が少なくなる人も居るわけ だけど、それでも偶に出てくれば、どのキャラもそれぞれにそれぞれの「人生」を 生きている「厚み」を感じさせる。この手のキャラ立てこそ作者の特性と言える。 この人はきっと「いい人生」を歩んでいるのだろう(そう信じたい)。 4コマならではのリズム、ギャグの畳みかけも、「サボキャン」とは違い最初から 「4コマ」として読んでいるので違和感無く楽しめている。次巻も楽しみだ。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (02/07/28)
みずしな孝之「幕張サボテンキャンパス 9」/竹書房/2002/04/16 巻毎で「あたり」「はずれ」があるとすると、今回は「あたり」の筈。 実際あたってた感じ。シミジミ来るネタがいくつか有って、割と好きな巻だ。 特に、桜子と教え子達との下りは、個人的な思い出を刺激されて、ぐっとハマって しまった。いや、教師と乞食は三日やったらやめられない、のは、ホントだと思う。 「すてきな先生になって下さい」とか書かれた色紙、捨てられないよ。 以下俺語り。 当時結構真面目に勉強して臨んだ分、教採落ちたのはショックだった。二次までは 行ったんだけど、面接で、他の受験者達の落ち着きっぷりにアテられて、緊張が ピークに達して吐きそうになった。緊張で吐きそうになる、なんて経験はあんまり 無かったんで(その後社会人になって何度か経験した。上司とのバトルの前とか) なんかもう打ちのめされて。落ちた事よりも、その自分の制御出来無さが辛かった。 思えばそれまで会社訪問で面接を回数こなした訳でもなく、部屋に籠もって試験 勉強ばっかやってた所詮学生が、臨時経験のある「先生」達と並んで「勝てる」 筈もなかったのだ。素直にやれば良かった。虚勢なんか張る必要なかった…… で、結局それまで浪人/留年経験が無かった事が、自分に「次のチャンスを待つ」 ことを簡単に諦めさせた、んだろうと思う。一緒に試験受けた連中はリトライを 続けて正式採用になった奴も多いけど、僕は兎に角「宙ぶらりん」になるのが 怖かった。そして今の職に就いたのは、だから「逃げ」の結果なのだ、と、長い こと思ってた。今はそうでもないけど。 津田沼の言う「遠回り」、回り道をもっとしておけば、今みたいな生き方をしないで 済んだだろう、という気持ちは有る。じゃあ今すぐ遠回りしろよ!と言われても、 それが出来れば今の自分は無い。極度に臆病なのだ。痛みを知らないが故に。実は それが一番遠回りなんじゃないかと思ったりもするな。 人生無駄なことは一つもない、っていうけど…… や、だから(長いフリでスマヌ)、桜子が津田沼に相談するシーンで、ああ俺にも こういう生き方が有ったかもしれんな、とか思ったりした。「そういう」シーンが 一つでもあると、マンガに対する感情移入度は全然違ってくる。もう没入。やっぱ こういう、現実側に開いた「切り口」をいくつも用意できる所が、この作家の 魅力だと思う。単に「あーそうそう、あるある」ってだけじゃなく…… 今巻はしかし薬園台の株が急上昇だったと思うがどうか。p22で自宅に呼んで手料理 食わせちゃうところが妙に好き。然しここへ来て「実は……」というキャラの落とし 方をするという事は、もうあんまし先が無いってことか?とも。実際どうなんだろ。 菫子達にカメラが移って「サボキャン・ネクストジェネレーションズ」ってのは。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (02/03/25)
みずしな孝之「いい電子2」/エンターブレイン/2001/12/06 この微妙なまったり感が如何にもアスキー系日記マンガ文化。 ファミ通の密度タップリな紙面の中で、目を休める箸休め的な存在として きちんと機能しているあたりは流石。 いや、やっぱ面白いわ。なーんか面白い。知り合いの駄喋りを横で聴いてる様な。 何かこう、とても赤の他人とは思えない所があって。 大作RPGとかはどうも本気で遊べなくなって、時間もなくて、でもやっぱり ちょこちょこアクション/パズル/レース/音ゲー関連はやっちゃう感覚とか。 結局同世代感覚が無茶苦茶強いん。 でも多分今の小学生達はこの連載を、僕らが「しあわせのかたち」を読んでいた 頃の様な感覚で読んでるのだろうな。作者も丁度あの頃の桜玉吉と同年代…… って事はその作者と同世代な自分も、知らぬ間に「大人」と呼ばれる年に なってたんだなあとか思ってみたり。 ただ文化的には断絶があるっていうか。今読み返しても、当時から桜玉吉は 「大人」な雰囲気がある。何というか、一回り上の世代の感性。80年代サブカルを モロに吸収して育った様な「暗黒面」が強い。この作家にはその「暗黒面」が 無い気がする。これも時代か、或いは単に個性(作風)の問題か。性善説的なさー。 で、まあ内容はゲームやったりやらなかったりの作者の日常な訳で。 フィクション/ノンフィクションの混ぜ具合は割とフィクション寄りと思われる。 まーファミ通には「ドキバグ」があるからなー。あれに比べりゃ、というか。 今後もまったり続いていくといいと思った。 松村さんのマンガに癒されました @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (02/01/14)
みずしな孝之「幕張サボテンキャンパス 8」/竹書房/2001/06/17 うーん・・・・。 7巻が生活感あって良かった・・・と思ったらまたこれか。 ダジャレネタ季節ネタ他机上オチの嵐。 唯一「サボキャン」らしかったのは津田沼の再院試位?でもそれだって 以前あれだけ見事に描写出来たのに、今巻のコレはさ・・・ 実際何一つ心に響いた作品がないという。これって読み手の想像力低下とかだけ じゃない様な。先日も友人と「8巻どうよ」みたいな話したんだけど、そのときに 相手も同じ様な事言ってて、まあこの感想(というか「読んだよ」メモか)を 書く気にもなったんだけど。 まあここんとこ1巻毎で当たりはずれが来てるので、次巻に期待したい。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (01/07/09)
みずしな孝之「幕張サボテンキャンパス 7」/竹書房/2000/12/27 年末に買ったままなんかすっかり感想書くの忘れてました。 丁度内容もいい感じに忘れた所だったので再読。 前読んだときも思ったけど、なんか凄く「いい感じ」。一時期の「現実離れした」 感じが無くなって、自然に読めて、自然に笑える。 何より明日香が、ちゃんと女の子に見える瞬間が結構あるのが良い。 オンナノコ、っていうか、人間として見える、っていうか。紙の上に 線で描かれた「ネタの道具」じゃなくて、そこに「明日香」という (味のある)キャラクターが見えた。そういう。 やっぱり実体験ネタが底辺にあったからかな、とは思う。単純な見方をすれば 「学生生活体験ネタ」が底をついて、如何にも、なマンガネタになってた所に、 また「卒業」という新しい「体験ネタ」を持ち込んでみせたという。いや単純な 見方だとは思うけども。でもそれが結局ツボにはまった。 大学卒業を控えてのあの独特の感触・・・  何度計算しても単位が足りてしまう不思議。   今になって初めて知った抜け道。    初めて食った学食のメニューがうまくて。     大学の講義がこんなに面白かったなんて。 こういう「リアルな感想」が何本かに一本入ってると、全体のリアリティが ぐっと増す気がする。p100の「かわいいやつ」の桜子と明日香とか、p52で 待ち合わせまでの時間をつぶそうとして他のことをしてたら、待ち合わせ時間を とっくに過ぎてた、とか、「あ、こういう感じわかる」みたいな(「みたいな」 とか「感じ」とかばっかりでスイマセン)「地に足のついた」ネタがあるから、 「こたつ見ながら紅白入ったり」的思い切ったネタがちゃんと笑える、んじゃ ないかなーと。 ただ、この先どうなるんだろう、というのはある。タイトルが「キャンパス」で ある以上、いつまでも大学に居座り続ける展開になるのも、それはそれで面白い だろうし(最近身近な人間が明日香達みたいに大学事務に就職したので、急に リアリティが)、後輩を放り込んでごちゃごちゃやるのも良いと思うが。 ・・・読者が心配してもしょうがないし、なるようになるだろうとは思う。 既に最終回の理想型は示されている事だしさ。 ・・つまり今後の焦点は、ミサチルをどこまでいたぶれば気が済むのか、という。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (01/04/29)
みずしな孝之「いい電子 1」/エンターブレイン/2000/11/06 さほど熱狂的に面白い!!って連載でも無いんだけど、思えばみずしな孝之氏の 「日記漫画」ってこれが初めてに近いのではとも(サボキャンの旅行ネタ以外で)。 ネタ寄り、虚構寄りの作家の描く「日記漫画」の持つ「微妙さ」がやっぱり 出てて面白い。日常を漫画にした時点でどうやったって嘘になるんだけど、でも 日記という体があるから読者側には妙なリアリティが出て、抗議の手紙とか 来ちゃったり。 「しあわせのかたち」(以降の桜玉吉日記)「墜落日誌」「おさんぽ大王」 「Gセン場のアーミン」(以降の柴田亜美日記)「きまぐれペンペン草」等々 アスキーの出す「日記」ラインはどれも非常に強烈な魅力を持っている。で、 その流れにこの作品も繋がっている様だ。 他作家に比べると薄いのは薄い。それはでも編集側もそれを狙ってのものだろうし その薄さが逆に新鮮さというか、スレて無い感じを出していていい味。グンペイに ドハマリする下りはp502i買った当初に地獄を見た拙者も深く頷くものである。 アクションパズルにハマッてるときってああなるよねえ。テトリスでトイレの タイルが全部そう見えて、ぷよぷよで目を瞑るとぷよが降ってきて。 連載始まった頃はどうなるかとおもったんだけど、今は帝国と天トルの次に読む もんなコレ。いやホント。小学生への認知度も爆発的に上がったに違いない。 ・・・しかし正直もう流石に出会った頃の熱は冷めたねえ。だってまだ サボキャンの7巻買ってないもん拙者。 (徳島でのサイン会に行き損ねて悔しくて買えないなんて言えない) @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (00/12/01)
みずしな孝之「戦え!アナウンサー 3」/白泉社/2000/07/05 なんか発売直後に買い損ねたら何処にもなくて手に入れるのに結構苦労したよ。 一巻通してノッチと堺のコンビが見事に機能していていちいち笑う。 この絶妙さ加減が。つくづくキャラ立てて絡ませるのが巧い。 これはもう作者生来の才能か。 落ちていくマルマルの、あの内藤のキャラの立ちっぷりとかもうモデルが居るんじゃ 無かろうかと。居そうだよなこういう人。何で居るの、みたいな。でも必要だから 居る訳で、その辺の謎とか。イサムの文字オチも結構好き(大自然!とか)だなー。 でも結局のところ小角あゆにメロメロなんですが。あの二面性も含めて。勿論 いい意味でね!明日香といいあーゆーガチャピン目に弱いのか俺。小さいと 言うだけでもう無条件に。 藤丸は作者が扱いかねている様な気配もあるけど、出番が少ない分妙に味わい深い。 P57の「もっとヨゴレてヨゴレてヨゴレたいの」は稀代の名台詞。 各人勝手にキャラ立てて暴走の限りを尽くしている感じがあって、みずしな漫画の 神髄ここにありという感じなのだった。オススメ(って今更)。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (00/10/31)
みずしな孝之「幕張サボテンキャンパス 6」/竹書房/2000/04/27 八積さんのマイナスの魅力・・というか魔力にハマっていく自分が居る。 あの怖さ。 p39「ボクの知らないキミがいる」 p95「過ぎゆく季節のままに」 そしてp104-p105の笑えない展開・・・ いやー、キャラ立たせるの巧いわホントに。どんどんドツボにはまっていく ミサチルの様がまた他人事とは思えなくてな。 4回生の夏というと、就職活動や卒研/卒論の進捗を気にしながらも「最後の休暇」 を目一杯使い切ろうとする、いわば大学生活の中で最も「追いつめられた」日々を 過ごしている筈のこの時期、明日香のあの「サボテン女」ネタが再び輝きを持って 浮かび上がるというか。いや今回明日香の「気にしない」ぶりを見てて、初めて 苛立ちを感じたよ。作者の術中にはまってるなあ・・・うーん。以前は明日香の 怠惰っぷり(とあの部屋の散らかり様)に自分に似たものを感じていたのだけど、 この時期に於いて尚カビを見て一日過ごしてしまえる下りはもう参りましたと言う他 無い。あれはもう悟りの境地だよ。 桜子の教育実習ネタは個人的に結構胸に迫るものが。桜子の「みんなが立派に成長 するのを見届けたい」ってのはホントにそう思うんだよな。たった二週間でどっぷり ハマる。拙者もああいう寄せ書きもらったよ。「りっぱな先生になってください」 とかさ。今は正直まだ辛くて見返せない。今の自分の生き様に自信が取り戻せる までは封印中。永遠に? 津田沼の余裕有りそうで無いけどやっぱり何処か間延びしてる院試準備っぷりとか、 ああ、居た居たこういうやつ、みたいな。4回生の時のスカスカの時間割をどう 埋めるか、とか・・・一般教養とったりしてたもんな。趣味で。単位関係無しだから 気楽で。教官にとっちゃ良い迷惑だったろうけど。 近来の方向として矢張り「ネタ」主体とは言え「学生生活追体験」風味が復活して いて(やっぱり就職活動とか実習とかリアルなネタを仕込まれると「来る」ね) 久々に「サボキャン」らしい「サボキャン」を読んだ気分。つまりアレよ、読んでて 「あの頃に戻りたい」とか思えてしまう。思わされてしまう。あんなに苦しい時期に 戻ってどうするよ、ってのは有るだろうけど、でもやっぱり戻れるものなら戻りたい。 学生の特権はあまりにも輝かしすぎる・・・いや、そう言うのは全部後から気付く 事なんだけどさ。後悔先に立たず役にも立たず。 あとがきなんか見てても作者の充実ぶりが伺えて、今後がより楽しみなのだった。 ※でも旅行ネタはイマイチ。流石に旅慣れると面白さより悪い面が見えてきたりも するんだろうな・・ @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (2000/04/10)
みずしな孝之「幕張サボテンキャンパス 5」/竹書房/1999/09/27 正直、1〜3巻同時買い&その後一週間悶絶、の時の様な衝撃は、全くと 言っていいほどに無い。今のこれは、タダの「良く出来た4コマ」・・・いや、 本来そう言うものだったんだろう。今となっては読者たるワタシが 勝手に燃え上がって勝手に燃え尽きただけ。そんな感じ。 ただ、だからこそ「キャラクターの成長」を意図的に押し進め始めた 作者の気持ちは嬉しい。終わることのない大学生活などと言う 信じがたい幸福のループをほくほくと読むには、僕はもうあまりに・・ 彼等が卒業し、就職し、巻末の言葉を借りれば「子育て4コマ」にまで 至ろうという(或いはその前に完結も有り得るが、と)その過程を 「一緒に」楽しむことが出来る(かもしれない)というのは、わりと 目新しい楽しみではある。 で、今巻は・・・えーと、ああ、相変わらず桜子さんはイイですね。 ていうか以前は明日香さん一筋だったワタシですが、「日常ネタ」を 意図的に排しだした瞬間から、明日香の立ち位置は軽くならざるを 得ないわけで(日常ネタの権化だから)。勢い元々キャラ立ちの強い 桜子さんに傾くのは其れ人の性というもので(嘘)。 雑誌の方では就職活動とかの「成長」も入れつつ、でもドタバタした 「日常」ギャグが通底しているのは相変わらず。相変わらずだけど、 それでも時は動き出しているのだ・・・という感じ。 うーん、このキャラで、この展開で、一体何処へ向かうのか。 純粋なファンとしては一度「終わっちゃった」ワタシですが、せめて 行方を見届けたいと思う次第です。 結局「千葉の伝道師」ネタ以外クスリともしなかった自分が哀しい @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (99/09/13)
みずしな孝之「戦え!アナウンサー 2」/白泉社/1999/07/05 中扉の奈木の色っぽさには参った。 漸く新人の登場。やっぱりイサム君でしょうかね。あの喋りが好きで。 ノッチとの正面対決をも怖れないあの根性も流石。 つーか、何となくノッチってイサムの事気に入ってるような節が・・・ 個人的に一番キたのはp49の 「ノッチ音頭」ですが。あの静かに高まっていく笑いがたまらない。 あとは一日中出ずっぱりの話のあの「謎の生命体」オチ(p93)は 何回見ても笑ってしまう。 新人・藤丸千秋のキャラがまだイマイチ固まってない感じなので その辺どう転ぶか期待 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (99/07/12)
みずしな孝之「幕張サボテンキャンパス 4」/竹書房/1998/12/27 待望のサボキャン4巻。 今巻は矢っ張りマキちゃんの登場が大きいか。 ・・・しかしこの連中がこんなに講義に出ているのは初めて見た様な。 なんかこの漫画見てたら大学生ってレポートと試験しか無いみたいだもんな。 そもそも明日香/桜子って学部何?マキちゃんの英語は般教っぽいけど・・・ 学部が明言されてるのってミサチルの法学部位では。 まあ流石に1巻一気読みした夜の、あの感情大爆発みたいなのはもう無いです。 所詮はマンガさ・・・というか。別に作品の質が下がった、とかではなくて あくまでも読者たる私の感情移入度合いが下がってしまったのね、という。 大学を出て2年近くなる。もう同じ視点での感動、共感(ああ、あるある そういうこと・・・みたいな)は出来ないのかも。いや、今でも大学 (大学生活)には戻りたいけれど・・・・去る者は日々に疎し。 で、その分、純粋な4コマギャグの方に(私の)笑いのツボは移っていて、 でもそれはそれで面白いのですよ。寧ろそれが本来の読み方であろうし。 「4コマギャグ」だものね。 感想のフリをして自分のことばっかり語るのはこの辺にして以下短評。 ------------------------------------------------------------------------ P6A これで良いのかファミリー4コマ。青木光恵の同ネタと比較するも良。 P7B 嵐が丘を読む辺り割と女の子っぽいが。 P14 ワッフル部。この次点で最早「津田沼研」の様相を呈している。   それにしても津田沼ワッフルは激美味そう。   最近あの高カロリーな味に抵抗できません。 P19A 幕張地元ネタ。実在するのか「せん太」「幕張駅前ビル」。 P26A のっぴきならないの図、が凄い描き込み。ピーナッツ人形が気になる。    あと釣り竿も。 P30 明日香の怒り眉表情って結構好きです。 P34 「さらに深みに」ハマったのは、実は姉ちゃんとではなく    八積さんとなのでは。ハマったというかハメられたというか。 P35-36 「チッ」の明日香が小動物っぽくて。身長低いんだよな。 P39 「きざし」ミサチルの運命の歯車が今音を立てて回り出す。    でもこれって今思うと八積さんが桜子の行動をサンプリングして    真似してるという可能性も。いやその方が強いような気がしてきた・・・ P52 このキミタク大好き。 P62 「こんな時桜子がおったら・・・」この辺キャラ立ての充実度合いが。   「こんな時あいつならこうする」という所までキャラを作り込めている訳で。   でもこの桜子好きだなぁ。 P67 桜子の「私だって好きよあんたのこと」というあの表情がもう。   このコマ最高。桜子の「姉ちゃん」魅力大爆発というか。 P62 マキちゃん登場。当初からイマイチ食い足りないキャラというか。   この作者の描く天然キャラはちょっと私の肌に合わないのかも。 P71 突っ込み入れるときのミサチルがさりげなく例のグラサンしてて良。   細かい仕事だ。 P74 休みボケと休みボケの間の人生。まさにこれ。これぞ大学生活。 P79 この辺から一気に八積ちとせのダークフォースが炸裂し出す。   彼女の「相手がどれだけ自分のために耐えてくれるか」を常に試すかの   如き行動が何とも。P95Aとか。 P85B 一コマ目、印刷の汚れかと思ったら流血かい。 P89 出た。八積ちとせ名言集。「死んだ牛の肉・・・」は一部で流行った。 P98 八積さんのキャミ姿が激可愛い。可愛すぎる。が、あのハジ線を   ヤミ線に読み替えると・・・・・。 P99 眠気紛らし作戦。どっちもやりました。当然「ホクロ」残ってます。   ・・・ていうか今でもやってます。仕事中に寝る奴。クビだッッ。 P101 格闘好きでバイク者、と来ればP106のアニメ者は矢張りお約束でしょう。 ・実録サボテンキャンパス韓国編:熟睡する桜子さんがラブリー。 ------------------------------------------------------------------------ 以上。 ・・・何だ、今巻の主人公は八積さんだったのか。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (98/01/07)
みずしな孝之「戦え!アナウンサー 1」/白泉社/1998/06/30 流石はジェッツコミックス。この激竹書房ライクな装丁を見よ。 ていうかヤングアニマル本誌でも「出版社を間違えないでね」的 自己言及が有ったりして確信犯的。良し。 で。 取りあえずクボショーLOVE。 作者はかなり「狙って」ますね的。 で、狙い通りに「スリムなダルメシアン」にクラクラ来てしまったワタシでした。 然し斯う言う着ぐるみ専門アナ、って・・居るのかしら。居そうではあるが。 その辺詳しい人の情報求む。「クボショーは実在する」係まで。 みずしな漫画の主人公キャラでは珍しい程のダイナミックな表情の変化もツボ。 ・・・それにしても、4コマってのはシチュエーションや内容以前に キャラ造形だよなぁ、等と今更ながらに思うのであったよ。 ノッチの裏表のあるダークさ、ピロリンの明るさと顔の広さ (P119の「だ・め・だ・ぞ〜〜☆」は結構キた。30歳だし。)、 いろいろ見えてしまう佐倉、みずしな漫画には欠かせないマメ男シロちゃん、 単行本では出てこないが悲劇の天才サッカー少年、今はビジュアル系のイサム・・ 「サボキャン」に比べるとキャラの造形、立たせ具合はより 「漫画」的ではあるけれど・・・いや、楽しいす。矢っ張り4コマの可否は キャラの造形、初期設定、に有るような気がするですよ。 唯一、キャラの設定が初期からズレてきたかな、というのが峰さんで 今やただの食いしん坊キャラだが、それもまた良し。 4コマ故の必殺技、勢いだけの投げっぱなしギャグが満載(皮肉じゃなくて)で 実にこう「4コマらしい」作品だなー、と・・いや、自分でも何書いてんだか 段々解らなくなってきましたが、えーと、オススメです。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (980717)
みずしな孝之「幕張サボテンキャンパス 1」/竹書房/1996/06/17 みずしな孝之「幕張サボテンキャンパス 2」/竹書房/1997/03/27 みずしな孝之「幕張サボテンキャンパス 3」/竹書房/1998/01/13 1998年4月18日深夜。 私は、防衛隊の体力訓練を終え、他の隊員達と風呂屋で汗を流した後 青いコンビニで夜食を買っている。 レジに向かう私の買い物カゴの中には、食料の他にこの 「幕張サボテンキャンパス」の1、2巻が入っていた。 同年4月19日早暁。 青いコンビニ数店を巡るも、3巻が見つからない。 既に1、2巻を徹夜で何度も読み返してしまっていた私は、 3巻が有ることを知るや居ても立っても居られなくなっていた。 本屋が開くや即3巻をゲットしたのは言うまでもない。 いわゆる「サボキャン」。 以前からその存在は知っていた。書店で立ち読みもした記憶がある。 だが、買ってみて、通して読んでみて、初めてその良さに気付くことって有る。 もう4コマ界では既知の作品だとは思う。思うが、敢えて「お薦めだ!」と 叫んで回りたい。そういう気分。気分は最早柏さんを前にしたキミタク同様。 良い。良いぞこれは。 4コマって全然読まないから(其の手の雑誌を全然読まない・・・) 今までで買った4コマ単行本って寺島令子と青木光恵といがらしみきお位。 あー。不勉強でした。 っていうかみんな教えてくれないんだもんなぁ。って甘えるな>拙者。 こんな面白い・・・と言うか「良い」漫画が有ったなんて!然も2年も前から! ああ、せめて大学生の時に読んで置けば・・・大航海じゃない大後悔だ!! 今まさに、大学に入ったばかりで般教の取り方とかに迷いつつ又サークル新歓で 酒の洗礼を浴びつつ将来とか一人暮らしの不安、大学生活の「あるべき姿」に 迷っている若人達は、今直ぐにこの漫画を買って読むが良い。 ここには「正しい」大学生の姿がある。おそらくは国公立の。 大学生ってこんなもんだぜ〜、という。安心できる事このうえない。 安心しちゃうとそれはそれでやばいんだけど、其れも又良しだ。 「気楽に行こうぜ新入生」。 勿論大学生活というのはこんなばっかりじゃない。20歳前後というのは 人によっては人生最大のドロドロを覚悟しなければならない時期でもあるし バイト先等でのシャレにならん事もままある。 試験はマジで大変だし、レポートや演習の山を前にして それまでに経験しなかった程のクソ勉強を強いられる。理不尽な教授もいるし 無茶な先輩も居る。自分の無知無能さにあきれ果て、また無為な毎日に 嘆息することも有ろう。目前に迫る就職という壁もまた不安材料の一つだ。 モラトリアムと言いつつも、そのモラトリアムに徹しきれない何か・・・ だが、基本的にはこうだったのだ。大学生活ってこうだった。 言い換えれば、大学生時代の人間関係(美しい方)っていうのは 全くこうなんだ。それはそれ以前にもそしてそれ以後にも決して持ち得ない 非常に特殊なもの。 だから若人よ、今を大事にして欲しい・・・・なんてのは ホントに爺むさいセリフだとは思うけど 実際もうあと数日でさらに歳を重ねる事実じじいとしては、もし今の (つまり大学生としての)生き方に疑問を感じてたら、是非読んで欲しい。 然しここまでキャラの魅力に惹かれたのも久方ぶりだ。 特に柏明日香の造形は秀逸で、彼女の一挙手一投足がもう!!という感じ。 涙目が良いよね・・・ 三咲桜子の造形もまた非常にリアルな「女子大生」である。 この二人の絡むネタは大抵「大学生としての」生活感があり、且つ面白い。 (その分誉田なんかは「漫画のキャラ」然とし過ぎている感も有。  それはそれで良いのだが。) 大学生らしいネタ・・・例えば3巻P28の「寝かせる」ネタは 経験者として非常に「大学らしい」ネタと言えよう。 大講義室のまん中辺の席に辞書を忘れて夏休み、 後期が始まってから覗いたらちゃんとあったよ、というアレだ。 あの妙な感触を見事に再現!みたいな。 ・・・実は傘も・・・傘じゃないけど似た様な・・・・ さてそのキャラのリアルさの原因は、彼女ら二人に明確なモデルが存在している という事にあるらしい。実録漫画を信じるならば、彼女等のモデルは中国に 語学留学したりしていて、その辺私が居た学部・コースの某女史等に 非常に通じるモノがあるのであった。 あと服装ね。あの気合い入ってなさそうで気合い入ってそうで やっぱり気合い入ってないという、絵に描いたような(絵に描いてんだけど) 大学生ルックも実に良い。あーどこもかしこも良いぞ〜。 ・・・最早「良い」以外のボキャブラリーを持たない私・・・ さて。以下独白。 現役大学生じゃない私にとっても、これは非常に「救い」を与えてくれた。 サークルとかに入っていればまた別の時間が持てたのかも知れないが・・・等と、 サークルという居場所、「ボックス」を持たなかった人間の後悔に対して、 この作品の彼等は全く「救い」だった。 なんだ、良いじゃん、よく解らない仲間と 浅いながらも結構楽しくやってたあの日々は あれはあれで良かったんじゃん、と。 ・・・それは勿論後記憶の歪曲作業であるのは百も承知なのだが とにかくその「居場所が無かった」的悔恨を有る程度断ち切ってくれた。 さて、悔恨を断ち切った僕は、 何処へ歩いて行つたら良いものであらうか・・・・ ・・・いい加減、自分の価値観で世の中を見ないと駄目だよね 「世人」に価値判断を仮託して生きるのはそりゃあ楽だけど、だ・・・ それでも、やっぱり・・・・ この一晩で数カ月分の日々を送った様な気分の @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (980420)

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