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唐沢なをき


KARASAWA NAOKI

では、みひらきで新宿歩行者天国の人ごみに突如あらわれパニックをおこす日光さる軍団を彫れ

唐沢なをき「電脳なをさん 5」/アスキー/2003/01/20

何か買い損ねてて最近手に入れました。
まあいつものアレです。非常に楽しい。

然し何というか、モトネタが解らないのにも慣れてきてしまって、一生懸命
探そうと思わなくなってしまって……多分モトネタサイトとかあるんだろうし。
でもVol.266「奇妙生物漫画」のモトネタって何だろう……ああ気になる。

まんが道ネタがどんどん挑戦的に(冒涜的に)なっていくのを、なんかそら
恐ろしい気持ちで読んでいたりする。確かに「犯すべからざる聖典」みたいな
漫画でもないだろうが、然し漫画業界に居て、あの「先生」の作品にここまで、
というのは、A(アナーキー)先生あたりはどう感じておられるのか。

まあ僕ら読者はそれが冒涜的であればある程、腹をよじって笑うのだけど。

Vol.300「怪奇怪談漫画」が酷くて好きだ。
「それがいつ生まれたのか誰も知らない。
 暗い音のない世界で細胞が別れ、みっつの生物が生まれた」
「はやくウィンドウズユーザーになりたい!」

目次にも使われているVol.257のヘドラネタもいい。単に女の子のカッコが
イイなあ、って話しですが。歌がまた泣けて

あと今巻最も気になる男、突きのムラマサは「高校生無頼控」らしい。
(参照url:http://www.nurs.or.jp/~moyoko/diary/00/burai.html)
映画もあるんだねえ。見てみたい。いいじゃンかそうじゃンかうひょうひょオ〜
ザンザカザンザン!な〜ンちゃって。

Vol.280の猫着ぐるみロボは確かに怖かったよなー、とか、ああ、G4キューブ生産
中止したときは値上がりしたんだよなー、とか、X-BOX発売延期とか、ちょっと昔の、
しかし恐ろしく遠くなった思い出を噛み締めつつ、秋の夜長をグフグフと笑いながら
過ごすのだった。

「メーデルの帽子カビだらけじゃないか」……これがいっとう好きだ
@@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
(03/09/13)

唐沢なをき「さちことねこさま 1」/エンターブレイン/2003/08/06 主人公の薄氷さちこ(眼鏡女子)の頭上には、丸い猫の様な物体が浮かんでいる。 これは先祖代々の業(劫)が凝ってできた「アタマノサキニアルモノ」と呼ばれる ものであり、本来人の目には見えないのだが、その業の深さによっては実体化する ……のだった。 頭上にそういう丸い動物を乗せた連中が闘う、特異能力者バトル漫画の様な気も しないでもないが、基本的に唐沢なをきのギャグマンガなので安心(いろいろと)。 イマイチこの主人公たるさちこの造形に魅力が見えないワタシ。ちょっと貧し すぎやしないか(制服にツギがあたっている、世話になっている家のおばさんは 守銭奴、頭上には猫。「コギャル」の風体で町に出る下りは泣けた)。なんか ウェイトレスの恰好しても、パンチラパブの恰好(どんなだ)しても、どこか 生活臭のある感じ。いや名前からして「それ」を狙っているのだろうけども。 てゆーかー、この人の描くメガネっ娘は基本的に受難の人だと思う。読みながら どーしても柏木さん(「必殺山本るりこ」で毎回ひき肉になる人)を思い出して しまうのだった。なんかこう、「哀れ」な感じ。ってこの人の漫画で哀れじゃ ない女子って居ないかも。BURAIKENとかなー。 下着姿(どころか裸にひんむかれて海苔のなかに放り込まれる)もあるのに、 どうも色気より哀れさが先に立つ。この人特有の「単純な線で異常にえっち」 という絵は、あ、でもむしろあおくさくんのお母さんに見ることができるな…… ってそれは単に好みの問題なのか。 キャラ的には御嬢様(名前)がいっとう好きかなー。御用聴きフェチ。 「御用聞きに必要なのは犬のような隷属の心、狐の狡猾さ、狼の足腰」 「ゆくゆくこの世界を御用聞きだけの世界に」とか言ってる所がたまらん。 好きでたまらない彼(理想的な御用聞きだがさちこの味方)と見に行く映画は 「番頭はんと丁稚どんTHE MOVIE」。彼女の繰り出すこーゆーネタ(フレンチ御用 聞きジャン・ピエールセザンヌゴーギャンとか。そろばんの玉がエスカルゴ)の 勢いが、この作品に潤いを与えている。様な気がする。 ……まあいつもの唐沢なをき漫画、という感じで。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (03/09/05)
唐沢なをき「カスミ伝△ 2」/講談社/2002/04/23 どこで笑ったかといって、袋とじマンガでもう爆笑。 すいませんまだ切ってないんです。 いや、もう、読書という「行為」そのものをギャグのネタにしてしまうその 手腕には、感動さえ。これは流石に吾妻ひでおもとり・みきもやってなかったろう。 前にもシールマンガとかやってて、正直あんましウケなかったんだけど、いや、 ついにやられてしまった、という感じ。いやもう、袋とじ覗いて、ひっくり返って 笑った。……お陰で他の回の印象滅茶苦茶薄いんですけど。 南蛮マンガとか、よこむきマンガとか、画風いじりも結構やり込んでる感じだけど 結局それらは「ツカミ」に過ぎない、のは今巻も同じ。それらの状況を前に、 如何に馬鹿な展開に持っていくか、が見所と言えよう。 巻末にはまた素人まんがが。今度は作者自身の過去の絵。ルーツを感じさせる。 ああ、それにしてもカスミさんはあいかわらずえっちだと思いました。 ホネになっても。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (02/05/27)
唐沢なをき「けだもの会社(カンパニー) 2」/集英社/2000/06/25 唐沢なをき「けだもの会社(カンパニー) 3」/集英社/2001/09/25 なんか放置プレイ。いや違う。年末だし書いとくか、と。 これも終わってしまったのだなあ。この手の「続いていること自体に意味が ある」タイプの漫画、雑誌に一つや二つ有るよね。いや、ネタも面白いけど、 読者対象もあってそんなにエキセントリックには持っていかないでさ。 1巻の時も書いたけど、「薄い」感じで食い足りない、のは、だから「そういう」 漫画なのだ。えっちなネタも程良くブレンド、という程度。 まー単純に「あーこの東堂(内向的で興奮すると卵を産む)ってどっかで見たと 思ったら、俺じゃんー!ハハハー!」みたいな「当てはめ読み」で楽しむのが 正解だろう。 ……でも某所で「本の背がボロボロになるまで読み返すほど好き」という人も 見たから、まだまだ僕の読みが甘いのかもしれない。 いやー、ネコ課長居るよ。マジで。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (01/12/04)
唐沢なをき「電脳なをさん 3」/アスキー/2000/08/10 って今頃書いてる奴。出たの8月だぜ。 なんかこういう小ネタ満載の本って感想書きにくいん。一つ一つのネタは 限りなく可笑しいのに、全体で見てしまうとフラットというか。ココ、を 切り出して喋るってのが出来ない。やっぱこういうのはリアルタイムで 「今週のは面白かったねえー」とか言うのが向いてるのかも。 濃い。濃い、というか深い。ギャグのレイヤーが複数の層になっていて、全てが 解らなくても取り敢えず笑えるんだけど、その奥が読みとれる様になると 全く別の可笑しさが出て来るという。この辺はまあ前々からの作者の資質というか 姿勢というか、なんだけど。「これは何かのパロディーだな」と、元ネタを 知らなくても気付いて、笑える。そういうレベルに達した読者が居て初めて 成り立つ漫画でもあろう。 以下頭からめくりつつのテキトーな感想。 Vol.138の「変身マッキントッシュ」ネタ、「中に入ってる」絵の畳み掛けには大笑い。 Vol.140の百花繚乱iMac、今マジでやってるもんなあ「ネオサイケ」。まああれだけ    やればどれかは当たるという可能性も。木目iMacとかは割と良いかも知れない。 Vol.142の「ぶにょぶにょ」言ってるジョブスが好きだ・・・妙に。 Vol.143のHALもスゲー。手抜きだ、っていうネタ以前に、「ものまね」(これは    カスミ伝の潜水服であったな)からあの「にらめっこ」に持っていく下りの    ドライブ感。いやスゲー。笑った。 Vol.146のピピ村の女の造形がイイ。BSマンガ夜話で、最近の唐沢女の子キャラは    可愛いとかじゃなく、もう記号でしかない、みたいな言われ方していたけど    全然そんなこと無いと思う。可愛く且つエッチなん。記号は記号でも。その    辺がどうも。ていうかこの女の人はアレですね、BURAIKENの。然し実際    あれだけの描線で萌えてしまう自分も大概だとは思うが。例えばVol.170に    出てくるまりちゃんの「おお!すげえ!モロだし!」とか言ってる表情が    妙に可愛い、と思うんだ。僕は。 Vol.154の大阪借金漫画、あれは笑った。年末進行云々、の前フリが効いている。 Vol.162から延々と続く偽iMac漫画がまた当時を思い出させてイイ。    「ずいぶん遠いところへ来てしまった感じ」のあらしもイイ。 Vol.178の009パロディーはキャラ造形があんまりだと思った。 Vol.180、筒井のタッチ真似というのはこの人前にやってなかったかとか思ったけど    あれは吾妻ひでおだったか。傷ついたのは誰の心。 Vol.181の滝田ゆうはタッチといい展開といい傑作。笑うよりしみじみしてしまう。 Vol.183「惨殺シーンが楽しくてクライマックスが描けませんでした」ってのは    元ネタそのものがそういう構造だから、という事か。 ・・・あー、言葉にするとやっぱり「何処が可笑しいのか」を上手く突けないな。 駄目だ。すいませんこれが私の限界です。ううう。うううううう。 序でに元ネタわかんないリスト Vol.134(p31)、あのオチは何? Vol.157(欠番)が欠番なのは何故?チビラ君の家って何?何で復活祈願・・・    ああ、セブンの12話?見たことないんだよ。 Vol.177の「万国博覧会漫画」って元ネタ何?怪獣映画? 元ネタに関しては、まだ気付いてないものが山程有りそうだ。そう言うのに気付いて いくのも(人生に於いて何の役にも立たないが)楽しい。そういう漫画でもある。 「闇のクロスカウンター」に気付くのに10年かかった @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (01/03/28)
唐沢なをき「カスミ伝△ 1」/講談社/2000/11/22 ああっえっちだえっちだカスミさんはえっちだ! とか小源太が叫んでいる漫画を、こっちももう10何年も読んでいるのかと思うと 何だか愉快な気分になる事だ。 この作者の偉い所は、同じネタを再利用して新しい話を描いてしまえる、と云う所に 有る様な気がする。「実験漫画」の実験性だけで笑いを生んだ吾妻ひでおとは 別のベクトル。「実験」をネタの「起因」としてのみ用いて、笑いそのものは 「いつものパターン」の可笑しさに収束していくという。これはもう「実験」では 無くて、例えば大喜利の「お題」みたいなものだ(むしろ実験、に於いては 「カスミ伝S」の方がやりすぎててオカシイ。それでも唐沢なをき初読の人間に これ読ませたら「こんなの初めて読んだよ」とか呆然としていて可笑しかったが)。 6話「カルタでGO!」の、後半に到るにつれ煮詰まっていく感じとかスゲー好き なんだが、この巻の白眉はどう考えても12話「マンガinマンガ」であろう。これって 例の母親漫画かと思ったら「ウチの奥さん」とあって成程。兎に角添削指導の文面を 読んでいるだけで身悶えするほど可笑しい。「ゾウリムシじゃないんだから」 「なんだかすごく人をイラつかせる」等とツッコミがどんどんテンションを上げて いく中、極めつけの「それとも何かの切り身ですか」で耐えきれずに転がり回って 笑ってしまう。実は単行本を買ってからこっち、もう総計で2時間位は笑わされて いるという。この作者が時々見せる、この苛烈さが好きだ。 しかしえっちえっち、と小源太が叫ぶのも無理は無い。この作者がデビュー当時から 描いてきた女の子の(独特の)えっちさというのはモウ、このカスミに凝縮されて 居るとも言える。単行本トビラのカスミの、この極度に記号化され、それでいながら このえっちさ。第15話「黒くぬりつぶせ!!」では、真っ黒に塗りつぶされたキャラで ありながら、それでもちゃんと「そう」なのである。ほんほんほん。 個人的な発見として、1話「版権フリーだ大作戦!」のデザイントーンの群を見て いて、ながいけんの漫画の背景って、これだったのかーとか思ったり。いや、 「モテモテ王国」ってシーンの切り替え時にこの手の街の風景がよく出てくるん だけど、ずっと「うまいなー」とか思ってたのだった。 BSマンガ夜話前にカスミ伝Sの単行本を掘り出さないと @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (01/01/25)
唐沢なをき「電脳炎 マック版 Ver.2.」/小学館/2000/02/01 えーと、取り合えず買いました。あと読みました。 プリクラネタがもういい加減飽きが来てるのを通り越してまだ続くか、って所で 「しつこいか?」「もうアキた?」って聞いてくるあたりの間の外し方は絶妙。 ノストラダムスくんと2000年問題くんという二大世紀末ネタを惜しげもなく 投入しておいて賞味期限切れの今となってはもう何が何やら。 年明けてから一月しか経過していない今でさえ「何だったのあれ」的な感想が。 そういう所も含め、実にこの賞味期限差し迫ったキャラの設定は如何にも唐沢なをき らしい。 ・・・あとおしつけくん良い奴じゃん。ていうかこれ俺。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (2000/02/06)
唐沢俊一+唐沢なをき「ぞろぞろ」/アスペクト/1999/08/12 わかんねー、というのが正直な感想。落語に対する造詣がないと、もう 全く楽しめない(本当にそうなのかは周りに落語好きが居ないので確かめてないが) という、非常にターゲットを絞った作品といえる。 ていうか、初期の唐沢商会ってこんなんばっかだったけどな。ガロとか。 「これはどうだ、こいつはわからんだろう!」はいいとして、そこから 先がない。「はあ、わかりません」で終わってしまう。あとがきを見ている限り、 唐沢なをきが巧く変換しかねた、というのが原因か。まだ うまく噛み合ってなかったのかしらね。 かといって、最近作「一人酒盛り」(描き下ろし)も、実はそんなに面白かった わけではない。うーん。単に唐沢「商会」が苦手なのか?>自分。 でもこのへんは元ネタによるか。「解体」とか「ガラダマ」とか「脳天気」とかは 結構好きだしな。というわけで、落語の解る人、面白がり方を教えてください。 この頃の女の子キャラはどれも色っぽくて好き。目の辺りが良いんだよな。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (99/09/29)
唐沢なをき「電脳炎 ウィン版 Ver.1.」/小学館/1999/05/01 何で今頃この感想を書いているかというと、単に本棚の奥で 忘れられていたわけですが。 発売後三日くらいは 「ウィン版とマック版があって内容は同じなんだけどどっちも買うのが通」 とかいう話が出てましたが、それっきり。 ビッグコミックオリジナルに1997/06/20-1998/07/05掲載分を収録。 タイトルが示すように、パソコンネタでお笑いをとろうという。 ・・・うーん。駄目だ。もう笑えない。ギャグ漫画は再読に耐えない。 ましてや4コマギャグ。ほのぼの4コマならまだしもなぁ。 初読の時は結構笑ったんだけど。 ああ、さっき「金春」読み返してたら、これのどこがそんなにも面白かったのか (中学生の時に塾で読んでて、周り全員呼吸困難になった)全然解らないという。 もう全く笑えない。「笑い」ってのは、ホントに難しいんだなぁと思うのである。 辛いねどうも・・・・ でもまー単に読み手のギャグセンスが外れてきてるだけなのかも知れないけど。 すいません。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (99/09/29)
唐沢なをき「けだもの会社 1」/集英社/1999/04/25 「トキ課長」から派生した?「けだものが会社にいるシリーズ」の単行本。 割と軽い所でギャグをかましている感じ(マゾの犬山なんかは 一見ディープな設定だけど、ステレオタイプで深みはない)だが、 パンダ良輔に関してのみは唐沢なをき本来(?)の シュールギャグテイストが充満していてイカスのだった。 特に其ノ二十八「けだもの本性たがわず」の、毛の抜けた パンダ良輔なんかはもー何度見ても笑ってしまう。 あと蟻巻谷ちえこさんをはじめとして、狸也の変身したのとか含めて 出てくる女性キャラのかわいやらしさは相変わらず。少ない線で本ッ当に かわいやらしい造形なのだった。あの微妙(に見える)表情が良い。 ・・ただ矢張り多少なりと「薄い」感じはする。食い足りない。 別に「商會」をまたやってくれと言うのとは別に、もう少しキてるギャグを、と。 「赤富士」みたいなのが読みたいわけですよ。 ん。ではでは。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (99/05/24)
唐沢なをき「電脳なをさん 2」/アスキー/1998/10/15 なんかジョブスがどんどん似なくなっていくなぁ・・・って そりゃ髪型(生え際)はアレだし髭は生えるし眼鏡はかけるしで 似なくなるのは当たり前なのだった。 ・・・もともとそんなに似てなかったか。 しかし元ネタの選択がどんどんどんどんオールド&マイナーに入っていってて もう流石に分からない作品が結構・・・分からないと笑えないっていうのは 割と致命的かも。「分かる奴だけ分かって呉れ」的作りは昔からだから、 結局読者たる自分の限界を見せつけられたと言うことにもなるか。 ・・・というか、むしろここまでやられると 元ネタ探しもどうでも良くなってしまう。 この手の原作テイスト生かしマンガって「こんなもんいかがっすかあ」 からの流れなんじゃ無いかと思うんだけど・・・ ・・はっ、思わず「こんなもん」再読してしまった・・・ そうじゃなくて。 どれか一遍を挙げるとすれば、やっぱりVol.90ですかね。 あー。面白すぎる。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (99/03/23)
唐沢なをき「からまん」/扶桑社/1998/05/20 ”唐沢なをき衝撃の告白!「実は僕、鳥って嫌いなんです」” いや、好きで描いてるとは誰も思うまい。 トキ課長のインパクトっていうのは当時結構有って、 唐沢なをきがまた新たな世界を!とか言ってた記憶が有りますが。 ・・・今読むと酷え漫画・・・ あまりの酷さに人気が出たため、後にオールマンに移籍。 えーと。個人的にはラスタマンのゴーシュが印象深いですが。 あの喋りのテクストは何だろう? 単行本としては、唐沢なをきの最もオーソドックスなスタイルと言える。 ギャグのレベル(濃さ度合い)も、単行本の構造も− 「ひみつのしずかちゃん」は、あとがきにも有る様に 作者の愛情並々ならぬ物を感じさせるシリーズである。5編しかないけど。 このシリーズは第一話、第二話、という風にある程度時間軸に沿った「物語」 の形態を持っていて、これを全体に配置することで 絶滅しては蘇るトキ課長の如き平板な「今」の連続する単行本世界に 一本の進行形の時間軸を置いてみせるという。 「金春」「カスミ伝」以来唐沢なをきの単行本ではよく見られる構造で、 これを意識的にやるか否かで読後感は全く違う。 ・・・感想書こうと思って、こうしてぼー・・・っと読んでると 思わず笑いながら終わりまで読んでしまって仕方無い。 この手のからまん(この場合「唐沢なをきの漫画」の意)は リアルタイムで読んで、「読んだ?」「読んだ」みたいな会話のネタ (電脳なをさんとかそんな感じ)にするのには良いんですけどねえ。 「トキ課長もねえ。初期はしょっちゅう絶滅してたのにねえ。」とか言いながら。 どの作品もレベルが一定なので出色の一本、というのは拾い出し難いが、 個人的には「サイン会」の 「ありがとうありがとう僕はネコにだってサインをするよ」 のあの語り口が好き。一時期内輪で結構流行った。 あと米まんがは流石に版画男の如き連載迄には至らなかった(今のところ)が これも「空前絶後」(まあこの作者には珍しいことではないが)漫画の 一品ではある。ていうか、やろうと考えても、それを実際にやって しかも出版できてしまう所にこの作者の「力」が有るわけで− ・・・何にしても唐沢なをきの描くあのぐりぐり眼の 女の子ちゃんは可愛いし、何より色っぽいと思う @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (98/11/10)
唐沢なをき「ヌルゲリラ」/アスペクト/1998/05/07 えーと。 ファミ通でやってたアレです。あのよくわからない4コマ。 まあファミ通のは4コマに限らずみんなよく分からないわけですが。 唐沢なをきの単行本、最初に買ったのが「金春」だったんですが、 塾の休み時間に近くの本屋に取りに行って、塾で回し読みして 皆で大爆笑していたのを思い出しました。 息が詰まって死ぬかと思った。 それから幾星霜。 唐沢なをきのマンガを読んで、呼吸困難に陥るほど笑う、 という事が久しくありません。皆さんは声に出して笑ってますか? 年をとったってのも有るんでしょうけど、でも一番大きいのは 唐沢的発想に対する「慣れ」だと思うわけですよ。 うんこにしろげろにしろ内蔵にしろ。ってそんなんばっかりかい。 で、じゃあ何で今でも買ってるかというと。 爆笑以外にもこの作家の楽しみ方はあるという話。 「味わい深い」という・・・ さっきも挙げた排泄物系統のネタが、今となっては妙に味わい深い。 固形ゲロとか毛穴の脂(60)とか。髭抜いちゃう奴も好きだなぁ。 斯う言う生理的な何かに訴えかけるマンガってのは、こう・・・ 中盤から後半にかけて暴走した某磯野家ライクな人々も好き。 「増殖をっ」が好き。これも生理的な何かを突き動かすよな・・ お奉行ネタも体そのものがネタになっているという部分ではそうだし。 怪傑日光写真奉行なんて最高でしょう。 コレは久々に声に出して笑えた一品でした。 でもお奉行ネタだって「金春」から延々と続いているネタなんですよね・・ デビュー当時からすでに今の作風と寸分違わなかったっていうのは 凄いんだか何なんだか。 初出一覧が感動的だった @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (980916)

唐沢なをき「怪奇版画男」/小学館/1998/04/20 空前にしておそらくは絶後の「版画漫画」。 全ての「実験漫画」は吾妻ひでおによって行われてしまった、 とされていたが、流石にあじまも版画漫画までは 手を出していなかった・・・と思う。 流石に「大人の版画」(第二回)を見たときは 開いた口がふさがらなかったものだが(まさか第二段が続くとは思わなかった) 遂に単行本にまでなってしまった。この単行本の出来がまた良くて。 単行本の細部に至るまで、それはもうページノンブルから 目次、奥付、初出一覧、あとがき(あとぼり)、コシマキの文に至るまで 全てを彫りで行ってしまった(残念なことにISBNナンバーだけは 彫れなかったらしいが)この徹底ぶり、完成度には感動したものだ。 ・・・勿論、版が重なると、奥付の刷数の部分は彫り直されるのである! 「非常に手間のかかる手法を敢えて使う」というギャグの文法は カスミ伝以来一貫して同じなのだが、そのいわば臨界点というか 極限の様な所にこの「版画男」は有る。 例えば、コレをペインターとかでやっちゃっても 殆ど同じ様な画面を作ることは出来たと思う。 でも、実際に版木彫ってんだ。 先日原画展でその版木が公開されたそうなのだけど、 見たかったなあ・・・ ただ、この「版画であることそのもの」が 純粋にギャグであり得るのはせいぜいが2回目までで、 (流石に3回目で出てきた怪人プリントゴッコが ちゃんとプリントゴッコ出力だったのには笑ったが) それ以降は「大変だ」という約束だけが その緊張感を持続させているに過ぎない。 例えば多色刷りの回で、 「・・・これ、ホントに版木色数だけ彫ってんの?」と 疑ってしまったが最後、何となく緊張感が薄れてしまって・・・ それをさせないが為に、その「大変さ」は 回を追うごとに増して行かざるを得ない。 「フレンチ版画」はその「手間」量が最大に達した作品といえよう (事実それ以降の展開は、別方向へ転じている)。 もう涙無くしては読めないというものだ。 ・・・勿論読んでいる方は爆笑しているわけだけれども。 全ては「ギャグ」の手法の一つでしかないわけで− ギャグのためなら命もいらぬとばかりにばく進する唐沢漫画。 次の展開は一体!? 「おそろしい男だ版画男−  アシスタント代だけで足が出るだろうに」 全く。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (980629)


唐沢商会「ガラダマ天国」/ぴあ/1997/12/15 いやー、買ったのはもう何ヶ月も前なんですが。 感想書こうかな〜・・・とページをめくると思わず読み込んでしまって また内容が濃いもんだからどんどん時間が経ってしまって、結局書かないで 寝てしまうという。 ・・・・・・はっ、また読み込んでしまった。危ない危ない。 ’92〜’97の5年間、TVぴあ誌で連載されていたもの。 深夜のローソンでこれとオーケンのエッセイは欠かさず読んでいたものだ。 然し見事にTVと関係ないエッセイでイイ感じだ。関係ない、というか もう「いつものやつ」で通るか。 兎に角世の森羅万象を唐沢商会(主に俊一)のフィルターに通して 怪情報を抽出した、という感じの非常に密度の高い一冊。 本屋でショッキングピンクに金帯の怪しい装丁を見かけたら 是非手に取っていただきたい。 その抽出濃度だが、巻頭の商会対談では「浅すぎず深すぎず」と有る。 確かに「深く」はないが、唐沢俊一というフィルターが途轍もなくアレなので、 結果可成り濃い薫り(俊一臭とでも言うか)を発していると思う。 これ駄目な人結構居るんじゃないか。最近駄目なんですよね、私・・・・ 商会として活動するときは勢いアニの波動が強くなるが、この連載もそう。 全体的にちょっとくどい気がする。勿論TV雑誌の中の1頁ともなれば アイキャッチの要素も含めてそうならざるを得ない部分もあるのだろうけど。 正直アニのネタはなんつーかモノカキ系の「あざとさ」がきつくて 最近敬遠気味。一時アニの本は欠かさず買っていたが、どうも「違う」と。 そう言うわけで実は最近あんまり買ってません。 決定的に「違う」と思ったのは「蒸気王」ですかね。あれ嫌いなんですよ私。 あの辺で俊一氏と決別をはかったというか。 その分なをさんメイン(と思われる)のネタは「乾いた」感じがして好き。 だから何、的な語り口が味わい深い。これは矢っ張り絵から発想が 始まっているからなのか・・・・。 アニからのネタは元が字なので画面も勢い文字だらけになるし、どうやっても 絵描き本人の感性ではないから、ぎこちない。 まぁそのぎこちなさも含めて「商会」なのだけど。 俊一氏の文章はそれが単体で商品になり得るだけに、濃いネタの時などは なをきの存在がどんどん希薄になっていって、ホントに突っ込み役に徹してしまう。 それが「商会」のスタイルだよと言われれば全くその通りで、「脳天気」の頃は その「唐沢なをきの描く唐沢俊一」の格好良さにしびれたものだったが。 ・・・何か全然本の内容の感想になってませんね・・・ えーと、好きなネタは・・・・・・ ・・・はっ、また読み込んでしまった。えーと、そうですね・・・・ ・・・・・ああっ、駄目だ駄目だッ思わず読み込んでしまうッ この辺が唐沢俊一の恐ろしいところで、興味本位の読書には最高の 作家なのではないか。まして文章なら兎も角、漫画形式なのでついつい 読んでしまう・・・・・・・・げに唐沢商会作品は恐ろしいのである。 んー。でも結局、私は唐沢なをき派・・・「赤富士」とか。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (980517)
唐沢なをき「電脳なをさん」/アスキー/1996/10/16 すいません今頃買ってます。 EYE−COMはこのページのみ読んでいた私ですが、 久々に読み返すと矢っ張り濃い。 くもとちゅうりっぷが出てきたときはどうなることかと。 まさに「誰が解るっちゅうねん!」と皆が皆突っ込んだという。 (俺しか解らんだろうなぁコレ、というのを皆が感じている−というのは  この手の手法が成功している事を意味する) 強烈だったのがアップル学園。今読むとショックは薄いが、当時 朝日読者は皆かなりの衝撃を受けていた。 何せその持つ「面白無さ」が完璧に再現されていたからだ。 間の外し方、キャラの使い方、見事に再現していた。 ・・・ああ、ええと昔「サミット学園」ていうのがありましてね・・・ え?言わずもがな? 赤色エレジー、猟奇王、日野マンガetc、好き放題やってるみたいだが 良いのか。まんまだぞ。権利関係は? マッキントッシュあらしの歯が伸びるネタが好き。 伸びすぎてそっかえってるの。無茶苦茶だ。 マシンの使い道は概ね「えっち」。 CD−ROM閲覧から始まり、インターネットに突入し・・・ ひたすらソレである。これ読んで 「そうかパソコン買えば家に居ながらにして陰部が!」とか 思った人も多いのではないか。 拙者は思ったぞ。あとフルカラーツール手に入れたら必ず 首すげ替えヌードを作るぞ!とか。まだ作ってないけど。 あれ難しいんだぜ。階調とか合わせるの凄い大変だと思う。 ・・・・えーと。 連載初期(’94当時)はバージョンアップ/メモリ増設地獄に陥った MAC信者をDOS者が嘲笑するという構図があったわけですが、 今はどうなんですかね。 実際の話、もうパソ増設ネタでは笑えないでそ。当たり前すぎて。 寧ろ今は完全に「滅びて行くマックと、運命を共にするマック信者」て 構図で描かれてる感じ。自嘲的? まぁ然し週刊化しても衰えを知らぬこのシリーズ。 そろそろ次の単行本が出ても良いのでは・・・ スーパーリアルマウスネタの時、たまたま近くに居た ネズミ嫌いの友人に読ませたら、殆ど卒倒しかけていたのを思い出した @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (980306)
唐沢なをき「学園天国」/集英社/1998/02/25 小説すばる上に1994/9〜1997/6及1998/3に掲載されたものを収録。 何が良いってこのページ端の落描きの数々。一分の隙も無い。 完璧な「授業中の落書き」である。もーこのテイストの懐かしさよ。 p99の「台風」(横線をぐしゃぐしゃと描くと台風っぽくなるやつ)なんてもー。 然しどういう風にサンプリングしたのだろう? 可成りの「種類」を確認できたが・・・ ネタ的には一回ひねりの簡素な一発ネタが多いが(その為、2度3度と 読み返しても笑えるというものは少ない)その分単純に笑えて良い。 「黒板が厚いっ」(p90)とか「どうしてウチのグランドは 地上100メートルにあるの!?」(p101)とか、そいういうの、割と好き。 でもホント、「学校ネタ」なんてよくこれだけ出てくるなぁ、と。 云われてみて初めて、ああこういのやってたっけ、と思い出す。 センセイの物真似とか・・あれこそは「学校」空間でしか通用しないものだ。 でもチョーク投げる先生っていなかったなぁ。学生生活16年の間。 木工用ボンド手のひらに塗ってはがすのって、云われてみると「学校ネタ」 だったのだぜ。 浦川よしやすネタは中途から輪廻の蛇状態に突入してしまって、 これも結構好きだった。こう、読み切り4コマ漫画(的なもの)が 続いているときに、一本時間軸が通っているのが入っている、ってのは 「金春」から続くからまんの伝統だよな・・・ ・・・実は拙者もあの「浪人まわし」って出来ないですよ。 山に篭もって特訓するしか。って今更。 何にしても、懐かしいですよ。 私にとっては高校と云うより、中学の頃の空気。 「学校」って、こうだったよな・・・と思い出すのでした。 今でもこういう、記録されざる「学校文化」は 存在しているのだろうか・・・ @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (980228)
唐沢なをき「YAPOOS」/アスキー/1997/10/22 やっと出た。 殆ど幻の単行本企画だった訳で。 タイトルのヤプーってのは、簡単に言うと人間椅子というか。家畜人ですな。 表題作は基本的に、ここから転じて世の中の物全てを「人間」が演じてしまう 「だけ」の漫画である。でも無論そればっかじゃない。 只、矢張り「テーマ」を持った時点で以前の4コマとは違ってて 実際の所、今一つの部分もある。というよりは昔の其れが面白すぎたのだが。 ホントに「金春」で何千回笑ったかという。 ・・・ネタ的には矢張り「プルンプルンしている」マンとまるむしネタが好き。 まるむし、が特に好き。あの「オチ」であるべき4コマ目でああいう落とし方を やれてしまうあたり・・・・ 正統四コマじゃないけどオチが綺麗で感動したのがP49。 あれはかなり落語系オチレベルが高い。作り込みの上手さ。 然しこの単行本、今現在最も話題を呼んでいるのは、その内容ではなく 表紙の”半透明でプルンプルンしている”マンが、本のコシマキ(帯)と 或いは隣の本と融合してしまっている!というアレ。 私、実は購入当初えらく感動したものでした。単行本の表紙を使い、 あまつさえ書店の迷惑も顧みない反則気味の技を使ってまでして笑いを取るとは! というのも、作中で”半透明でプルンプルンしている”マンが、ゴミとかを 吸着してしまうテのネタが多かったからなのですが−−− ・・・実は印刷屋のミスだったという(唐沢よしこ談)。 すげぇがっかり。 何かしばらく置いておくとちゃんと乾くらしい、ちッ・・・ 因みに回収、交換が行われるらしいです。いや勿論交換しないし>自分。 ていうかからまんファンで、本屋の「くっついてます」という張り紙を見て 感動しない者が有ろうか。 なをさんも「電脳」が週間化(まさかまだ続くとは)でますます忙しそう。 読者としては楽しみな限りですが。他の作品が描けなくなるんじゃ無いかという 危惧が無いではないです。最近のアスキー無茶が見え隠れするからなぁ・・・ 因みに、ずっと読んでると口から糊状の物が @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (97/10/19)
唐沢なをき「唐沢なをきの楽園座(パラダイス・シアター)」/講談社/1997/8/27 割と大人しめの一冊(・・・)。 「電脳」以降濃い方面を極め続ける作風の裏では、こういうオーソドックスな 「唐沢まんが」を描いていたのだった。 今巻は(も、か)女の子のハダカが多くて眼福眼福。 この人の絵柄って昔からこれでしょう。カスミ伝以来ずっとこれ。 好きなんです。なんか。可愛いじゃないすか。 多分に描線が少ない(何せペン入れは油性マーカーだという)だけに、 恥線や汗といった漫符が生きているし、シチュエーションが「良い」(どう 良いのかは秘密)のだ。P107(「戦え!エレベーターガール」冒頭)の 「ニコ」だって、この擬音(?)が有ると無いとで随分印象が違うという。 卵な輪郭に線の眉とぐりぐりの目。恥線と逆への口。殆ど漫画のかきかたに出てくる 表情の描き方、の「ニコ」の見本みたいな単純な構成だ。 それでも、このコマの「笑顔」の可愛さというのは、(擬音も含めて)可成りのものが ある・・・と思うのだけど・・・。 えーと、何が言いたいかというと、唐沢なをきは絵が下手だ、というのは 当たらないよな、と。「絵」だけじゃなくて、シチュエーションそのものが 「唐沢まんが」なのだし。 そういう訳で一番好きなのは「戦え!カメレオン女」だったりして。 メガネっ娘萌えな人は読むように。 この作品に至っては、ただ保護色を使える(様に改造された)女子高生が、 悪の組織に追われて逃げ回る、その保護色を使う為には全裸にならなければならない、 という「ありがち」な設定の、その設定をえんえんと描く(つまり服を脱いでは 消え、また服を着て、また脱いで・・・)のみ。他に何の物語も無い。 ここにはただその一つの設定のみが有るだけだ。 ・・・P1363コマ目なんか、殆ど落書きのような表情なのに、可愛い・・・ 漫画は矢っ張りシチュエーション、だ・・・。 ネタの殆どが既に何度か見ているものであるにも関わらず、矢っ張り笑えてしまうのは 同じネタを何度焼き直しても笑えるモンティパイソン系ギャグ(理系ギャグ)だから なのだろう。とり・みきや上野顕太郎等この系統の漫画は、その作り込みが「理系」 的なのだ、とこれに関しては既にとり・みき氏が自身の著書の中で何度も語っている ので繰り返さないが、今この手のギャグでは、唐沢なをきが他に一歩先んじているのは 明らかだ。例えばとり・みきのソレは往々にして実験が実験で終わることが多いのに 対し、からまんは常に実験がギャグ(ギャグの道具としての実験性であり、高踏では ない)として機能している。例えば「電脳」がそうだし、「怪奇版画男(では、 みひらきで新宿歩行者天国の人ごみに突如あらわれパニックをおこす日光さる軍団を 彫れ)」がそう。あまりの馬鹿馬鹿しさにひっくり返って笑う。初めてキャプテンで 氏の漫画を読んで以来既に7、8年経つのではないか。だがそのノリ(ネタもだ)は 全く変わらず、寧ろそのベクトルをはるかに突き進んでいる様に見える。 でも、この単行本に収録された作品の様に、昔の(というのか・・)味わいをも そのまま描き続けているのだなぁと。 然しやっぱ唐沢なをきは唐沢なをき個人の方が面白いですね。 一時期「商会」の活動ばかりで「あれ?」という感じだったのだけど、 「電脳」以降からまんが本当に面白くてならない私でした。 ※唐沢なをき漫画の解説・解題に関しては、とり・みき「マンガ家のひみつ」 (徳間書店)が詳しい。一読をお薦めします。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (97/09/27)
唐沢なをき「夕刊赤富士」全2巻 扶桑社/1993/1994 やっと買えました。・・・いや無かったというのもありますが、 買う勇気が出なかったという・・ 各80ページ足らずで1200円。・・・高いと思うでしょ。 でも中身が濃すぎる。その80ページ足らずを読むのに何時間もかかったりして。 一応中身は全部ギャグの類なんですけどね。 シリーズが始まっては終わる。 好きなのは「ZINSEIの冒険」「偽青春漫画」。 前者は人生ゲームのコマを主人公にハードボイルド物を展開。 設定が生きている傑作 後者は、「偽」と銘うっているだけにラストは凄いが、中盤の展開は 「フリ」をしているにしても唐沢氏の「青春」を露出させていると思う。 つまり、一人でもんもんと描いていたとしても、「こうありたかった」とか・・・ あの時代を生きた人間にはたまらないでしょうね。って俺はまだお子さまだったけど。 で。 やはり「もぐらOLまつもとさゆりこ」でしょう。一番狂ってる。 唐沢氏、もぐらネタってそんなに好きなのかなぁ。昔やってましたよねぇ。 「もぐもぐ〜!!」とか言って。 さゆりこさんは、唐沢作品の「可愛い女の子」の類型で、ええ、 けっこう良いですよん(何が)。 とりみき直伝の理系発想のネタギャグで狂ったようにばく進する作風は、この 「赤富士」に尤もよく現れている様だ。ファンは買って損無し。 いやー、久々に笑わせて貰いました。 え、買ってなかったの僕だけ? ではまた。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
唐沢なをき「ハラペーニョ」/アスキー/1996/11/22 表題作は「あの」ジャパンダ誌の1号に載った事で我々の記憶にも新しい。 巻末の作品リストや初出もしっかりしていて、マニア好みの一冊である。 内容はいつものアレだが。 しかし。今になってあの「猫くん」を読める日が来ようとは。長生きはするもので ある。いやその。今読んでもこの不安定さというか至らなさというか若さというか そういうのがとても良い・・・ワタシの「第一次唐沢なをきブーム」(第二次は 「商会」以降現在まで)真っ直中の頃の作品なもんで、懐かしさも手伝って、 もうたまらなくいい・・ちゃんと笑えるしさ。 流石に古いけど、キャプテンしてていいよねぇ。 と言うことで、唐澤ファンな方は是非とも白泉社の「金春」だけは 読んでおくべくだと思います。あと「赤富士」は基本だッ。                     ....... −−最近、「とり・みき」の後を継げるのはこの人でもないという事が 薄々わかってきたワタシ。やっぱり「るんカン」はスゴイ。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ ここからはよろく。 とり・みきの話で少し。 今月のSFM、「SF大将」最終回、は稀代の傑作。 「待つ? なにを?」 「SF大将(マスター)を・・・ もうずいぶん長く長く待ってるんだ 凍りついた涙を溶かし心を奥底から揺さぶる  究極の”魂のSF”をね」 「それって・・・なに?書き手 それとも小説のこと?」 「なんだっていいんだよ 私がSFだ と感じるものなら」 (とり・みきのSF大将最終回「ソングマスター」より) なんだっていい 「SFだ」と感じるものなら・・・ 真理。 実際にSFマガジン20年分を売り払ったばかり、という作者にしか描けない傑作 というかもう、これしかない!というラストだった・・・。 凄かったよ・・・ ではまた。
唐澤商会「蒸気王 発明冒険大綺譚」/竹書房/1996/7/27 唐澤商会による初の(だと思う・・)長編。 唐澤商会、となるとどうしても兄のキャラクターが強い訳ですが これもこの例にもれず。 だいたい漫画家というのは原作ネーム作画すべて基本的な骨格を作者一人で 行う事が一応の基本、なので、「原作付き」はなんか原作の色が強すぎるような気が してしまうのだ。 でもまーここはもともとが「商会」な作品が多かった訳だし、それはそれで良し。 ただこの作品、読んでいて一カ所も笑えなかったけど、これはギャグマンガでは ないのか・・。微妙なところだと思う。唐沢なをきの「金春」を初めて読んだとき 本当に腹筋がツる程大笑いしたものだったが・・・ ただただ「蒸気帝国」というのをパロディ的に(パロディ的、というのは弱い) 描いているだけで、画面の味わい、セリフ回しのいかにもさ、そのへんを楽しむだけ になってしまった。どうもな・・・「スチャラカサイバーパンク」か。 狙いは当たっているとは思うが・・・でもその狙いからワタシは外れていた・・ 俊一だけの文章、イベント司会や、なをきだけの漫画、の方が面白いと 思うのだけどさ・・で、商会はエッセイ漫画を描くと。 唐澤俊一は別の漫画家と組んで大々的に連載漫画を始めてみてはどうか、等と思う。 それによって新たな次元が開かれるかも。 この二人の興味ベクトルというのはワタシのそれに近い(若しくは自分の興味が 彼等の漫画に染められてきた可能性も大きいが)ので、好きなんですが、この作品は なんかこー・・ダメかも。 残念ながら唐澤漫画としてはあまりオススメ出来ません。 どうせ買うならエッセイ系の方をどうぞ。という感じ。 ではまた。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (96/08/05)
唐沢なをき「必殺山本るりこ」竹書房/1995 夏頃から買おう買おうと思っていて結局冬になってしまった。 内容はガンマお読みの方ならお馴染みの、というか「いつもの」唐沢節炸裂。 と言っても最近は殆ど実験作みたいでそれはそれでいーんですが。 しかし一見「いつもの」であっても、ギャグの表現は(当然だが)毎回新しいし 実験性の高い話も多い・・・・。 あっでもどこかで観たようなギャグばかりでは・・・いやそれも味か。 ちょっと対象がマニアよりは普通寄りなんでギャグのブローも押さえ気味。 でもそれも良い・・・ 個人的には眼鏡娘って事で挽き肉の柏木さんがオススメか。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (95/12/18)

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