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衛藤ヒロユキ


Etou Hiroyuki

衛藤ヒロユキ「がじぇっと 2」/マッグガーデン/2004/08/09

いやもう、何なのこれ。
この空の青さ、この明度。
画面が、目を細めたい程の光に溢れている。

目や髪の思い切ったハイライト、高コントラストを意識したトーンワーク……
ってだけじゃなくて、空気そのものに光が存在する様な。この、感じ。
この、視界のもどかしいまでのクリア感。
あー。僕はこれを知っている。

無限の未来に向けて開けている、裏付けの無い”将来の展望”だけの時代。
大人になるまでの時間はまだ無限にあって、努力次第でスポーツ選手やアイドルや
漫画家や、とにかく「何者か」になれる、その「無限の明日」、それを当たり前の
こととして生きていた頃、自分は確かにこういう、妙な明度の中で生きていた。
そういう時期があったのだ。自分にも。

諦めの繰り返しの後、自嘲まみれに、それでも何とか生きている様な、30がらみの
オヤジを一気に「あの頃」に引き戻す。これは、凄い。

感覚器官としての眼が劣化した訳ではなくて、それを受け取る脳の劣化。
「あの頃」世界はもっとクリアで単純だった。フリッパーズギター、いや、
もっと前、7DaysWarやMyRevolutionを真正面から聴いて胸震わせていた頃だ。


子供であるが故の”至らない”自分への苛立ちと、毎日の中で少しずつ発見して
いく「世界と自分との関係」。そこに生まれる僅かな自信。
ああ、もう。ああもう!ああ!!もう!!!!こいつら中学生か!!中学生だ!!
チクショウ!

夏休みのあの空気。夏休み明けの感覚。ガールフレンドの家!ムカつく女子の
体温に簡単に流されるあの感覚!「いろんな事がありすぎだ……」と必死で毎日の
経験を整理しながら、それでも眠ればまた新しい一日が。「初めて」の事に出会う
たび、いちいち発生するドキドキ!ああ!あああ!
この作者は何故ここまであの頃の空気を描けるのか!いや、もう、あああ。

ああ、ホント、まるで中学生だ。中学生だよ。グラグラする。
すごい。


もっとドキドキしたい。ドキドキしていたいのだ。ずっと。
そこんとこ、忘れるべきでない。
@@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
(05/03/05)

衛藤ヒロユキ「魔法陣グルグル 16」/スクウェア・エニックス/2003/11/22 「そんなリコの花はイヤ〜ッ!!」 アドバーグも気がつけば大変なところにまで。 いよいよオーラス、という感じで過去キャラが精算されていくのも、なかなか 美しいものだ。カヤとの決着のつけ具合とか、あっさりしてるけどいいなあ。 ここで敢えてレイドを再登場させなかったのも正解だったかしら。レイドには 悪いけどさ。もうククリは勇者様まっしぐらだし。 ファンファイのイベントを悉く引き受けたルンルン、とかこの辺もちゃんと 係り結びを怠っていない。上手いなー。「完全に犬になりつつある」ドキドキ、 のルンルンの表情が実にいい。最終巻になってみんな名前に大衝撃を受けてたり するのも上手い。犬は犬でアレだしなー。ホント係り結ぶわ。 ようやく主人公のお鉢が回ってきたと思って「われに託さん!」とか言って 嘲笑される勇者。どこまでもこういうマンガだ、というのはp122、ラスボスを 前に、ククリのドキドキハートを受けつつ、読者の気分が最高に高まったところで 証明される。 「うんこにいきたい…」 うんこですよ。もう。ここに来てこれか。なんかもう、小学生に戻ったみたいな 気分で爆笑した。ここまでやられたら言葉もない。しかも引っ張るだけ引っ張るし。 「”闇の腰”対”光の腰”で最後のキタキタ勝負だ!!」 魔王ギリの封印はキタキタ踊りによって成されたと伝説は記す。 ”魔王の封印”が主目的では(最初から)なかったのだ、という体の 「BGMはもちろんマンボNo.5」。ブハー。笑いすぎて涙が出てきた。 この辺のさりげないキャプションが上手い。うますぎる。 さっぱり王子によりさっぱりする勇者!よもや「さっぱり」がこんな使われ方を! 面白すぎる。「封印」「父母探し」みたいな「目標」が消えたとき、この後も いっしょにいたいです!と叫ばせるためだけ(ニケが受けるのは疑う余地もない。 ククリにそれを言わせるためだけ)の魔王封印劇。あー!! ……なんかねえ、もうこのわやくちゃのまま終わってくのが、幸せで幸せで。 実際、幸せなマンガだったなあ、と思う。グルグルの新刊が読める、って時の、 あの幸福感ってちょっと他には無いなあ。こんなマンガが読めるなんて、なんて 幸せなんだろう、みたいな。 いや、長いこと、ホントに楽しませて貰いました。サイコーでした。 またこういうギャグ主体のマンガをやってくれるかなー、長編で、と期待しつつ @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (04/03/01)
衛藤ヒロユキ「魔法陣グルグル 15」/エニックス/2002/11/22 そろそろまとめに向けて突っ走る感じの15巻。なんだけど、笑いのツボ多し。 何回も読み返したけど、感動より先に爆笑が出るマンガ。 「じじいを見るときは部屋を明るくして離れて見てね」 ああ経験値の高いあなたが好き ああのぞいてみたいの知恵袋 超高齢超高齢 超超超超超高齢 「次回 爺ファンタジー2 こいくち ご期待ください」 この「こいくち」ってフレーズがもう如何にも「グルグル」。 デマの「泣いとるぞよ!しかもへんなのと大規模に!!」って台詞が妙に好き。 「このマンガこわれたのかと思ったよ」とか、アドバーグが作者の手を逃れて 勝手に出番をもぎ取っていくのが良い感じにくすぐってくれる。大ゴマもってくし。 「勇者さんがショックのあまり設定を無視して飛んだーっ!!」とか、 「しまった ネタがかぶった!!」とかニケも負けてない。風の王の禅問答的な 下りも、一見ナンセンスギャグなんだけど、そこに一定の法則”みたいなモノ”が あって、こういう「一見筋が通ってる」ものに弱い(SF者だから)拙者はどーにも 防御できずに吹いてしまう。風の王だから変化し続ける、から飽きっぽい、当然 ギップルの親玉だからフンドシテント、等々、ギャグに辻褄があっている。そこが やっぱり徒者じゃないな、という感じなのだ。「お天気カメラの映像」とか。 キャラクターがそれぞれちゃんとこだわりを持って生きている、ってのも、この 「辻褄」が合ってる気持ちよさに通じる、と思う。ジュジュの 「船なんかダメ!鳥じゃないと!!」とか、もう何年もジュジュを見てきた 読者たちにとっては、グっとくるいいシーンだ。 恐ろしいことにこれも数頁後に一度オチをつけてから、すかさずより高い 感動へ持っていく。この辺どこまで計算なのかは作者のみぞ知る、という所 だろうけど、いや、やっぱこの巧さってのは、この作者特有だよなあ、と思う。 p123の「わかりま千円」から始まる緊張感と高揚感の盛り上がりは今読み返しても ゾクリとする。「ダメダメダメ コノ山登ルナ ノーノーノー!」あたりの 語感の気持ちよさ、勢い(そしてすかさずアドバーグが活躍)、クルジェ登場から 山頂までの数頁の勢いってのはもう、ギリギリまで圧縮してるんだけど、無理が 無いというか……なんか好きなんだー。 ファンザナ・ファイナムの20年に対して「だれなんだ…」とか、ああもう、 笑える所書き出してると全部になってしまうわ。気を抜くと「キタキタおやじは 力をためている」とかで脇腹をやられる。この辺の妙なテンション好きすぎる。 「魔法陣が発動した瞬間にみんないっせいにすべり込むんだ!!」 この辺のセコさがニケらしくて。この「らしさ」が嬉しいんだよな…… なんか大人が真面目に仕掛けたイベントを、子供たち(オヤジ含む)が滅茶苦茶に していく、ってのも一つテーマではあるのだろう。ワンチンの具象気体のいい加減さ 「たのむからそんな所から出たり入ったりしないでくれ!」とか、何でこんなに 馬鹿馬鹿しくて笑えるんだろう、と頭の隅で思いながら、腹をかかえて笑いつつ、 最終巻へ。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (04/03/01)
衛藤ヒロユキ「魔法陣グルグル 14」/エニックス/2001/12/22 「勇者どのそんまれ!!  きょっきゅらきょー!!」 ゲラゲラ。心底笑う。10年テンションの変わらないノリ。何者だこの作者。 どうやってモチベーションを維持しているのか? 「爺ファンタジー」とかタイミングだけのキャラかと思ったら大活躍だしなー。 「超高速でしりをかいただけだ」とかツボに入って駄目だ……実に印象深い、 サワヤカな連中だったヨ。 今巻は要所要所でアドバーグ氏が大活躍。「にゃんこらしょー」とかスゲー。 「人は 誰かになれる」とかあの辺の、心全然こもってないコピーの 格好良さがまた。 ジュジュ様も良いよなー。「これからも気になることばを送りつづけるわ」。 なんかあの「遊び」のスタイルが彼女らしいっつーか。相変わらず夢見がちで 酷薄な所も好きさ。「あなたってタテジワネズミの進化形?」とかサイコー。 「くふうをバカにするなぁ〜」もスゲー好きだ。トマの魅力極まれり。 ……そんな訳で主人公二人とレイドは何となく影が薄いのだった……ククリ なんかヘソまで出してるってのに。濃い衆が多すぎる…… 勇者「ああああ」とかのベタな「くすぐり」が平気で出来るのが、この作者の 強みだと思う。それが出来る作品世界を構築しているというか。あとやっぱ 「せな毛ボンバー!!」「恥ずかしの拳」も捨てがたい。 前巻迄に見せた入れ子の構造は今回は無し?また数巻したら「あっ!オヤジの パワーアップの裏にはこういう設定があったのか!」とか気付くかもしれないが。 うーん。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (02/01/14)
衛藤ヒロユキ「魔法陣グルグル 13」/エニックス/2000/10/22 あーまたククリさんの顔が違うんですが。 目がまた違う。睫毛また生えてきてるし。あと口元のシワ。 アメリカのアニメみたいだ。どうなんだ、これ。 最後に収録されている外伝が平成7年の作品で、キャラ絵的な完成度は 正直こっちの方が高い気がする。でも作者にとってはこれも「昔の絵」なんだよな。 多分今の方が良い、というスタンスなんだろう・・・けど、どう思う? ギャグの体質は変わってないし、作品のテイストは一貫してると思うんだけど・・・ 今巻は風来坊のケンみたいに職業・修行を転々としている少女ミウチャを軸に、 「自分は本当は何になりたいのか」という、如何にも対象年齢向けなテーマを さらりと見せてみたり。「魔法使い」であり「勇者」(盗賊)である、という ジョブ選択を生まれながらに与えられて、それを疑わずに生きている主人公達 (RPGだから)の前に、そういう存在を持ってきて、テーマを浮かび上がらせてみる。 テーマを判りやすく提示して、でも深く突っ込む前にちょっと引いて、今回の 「クエスト」の攻略法を示した後、一気にテーマの奔流に、で、解決したと 思ったらさらにそのクエストの上位構造が、という、最近のこの漫画らしい ネストな構成。ゲーム派生のコミックらしいと言えば実に「らしい」。 ミウチャの、次のステージへの一歩を踏み出した時の感動、というのを、僕は 味わった事があったろうか? 人間は惰性の生き物だから、放っておくと家と学校/会社の行き帰りに 同じ道を延々と繰り返したどってしまう。違う道を歩こうとは思わない。 変化しなければ、という気持ちは(だからこそ)常に心の中にあって、でも 惰性に囚われてしまう。「自分は何がしたいのか」が見えてないから、前に 進むことも出来ない。 「こういうのは「ハマリ」って言うんだぞ!」(p85) そうそう。昔のRPGじゃフラグが立たないまま何日も同じ事繰り返して 発狂しそうになるのは当たり前だったなーとか思い出す。そこには当然悪魔の ささやきたる「攻略本」が。買ってしまう勇者達。ああでも攻略本を見ると 次の楽しみが!みたいな。そんな純粋なプレーしたの「MOTHER」が最後だよ>拙者。 「ブリはテリヤキとは限らない」 この漫画の本領はこの辺だ。因果の間に何十頁もおいて、忘れた頃に落として見せる。 軽い所では、p148で時間が止まっている間に呼びまくった地の王や長い声のネコや ギップルがぽこぽこ出現する下りとか。 大きいネタフリとオチの間に入れ子のネタフリ/オチが仕掛けてあったりして、 それがちゃんと機能しているのを読んで、ゾクゾクする。こんなに読み返して 楽しい漫画ってなかなか無いよ。仕掛けが効果を発揮するまでに時間がかかれば かかるほど、後での連鎖反応が大きい。ぷよぷよの連鎖を仕掛けていて、一気に 連鎖を着火するときの感動にも似て。まあ言うなれば壮大な夢オチとでもいうか。 次はどう来るのか、とそればかり楽しみだ。 今巻もギャグはオヤジ属性。p61で地の王とアドバーグが迫ってくる下りがイイ。 ヨジデーがさめますよ!とかも好き。ミウチャのパパもステキ。 普通の生活してて「クエスト」が降ってくる訳も無し。穏やかに生きるさ。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (2000/02/06)
衛藤ヒロユキ「魔法陣グルグル 12」/エニックス/2000/02/22 今巻のヤマ場は何と言ってもP128からの「変態」かぶせネタ。 「おっかさ〜〜〜〜ん!!」 一冊に一回は笑い死にしそうな畳みかけギャグが入ってるんだけど、やーもー 笑った笑った。大の大人が漫画読んで笑い転げてる様も何なんだけど、でもやっぱ 凄いわこの漫画。ホンモノだ。あああ。このかぶせ具合は最強。 クルジェの造形がますます完成度高くて、作者の愛を感じる。p44からのファッション とか、もう最高。あのデザインセンス衛藤風味バリバリで好きだ。 P136のヴィヴィアンとマルジェラのカットなんかも、この作者の絵柄の魅力の一端を よく示している。 ・・・然し絵柄の安定しない漫画家。この一冊だけでも最初と最後でククリさんの顔 大違い、みたいな。一度は安定して記号化されてた顔がまたここで変化を始めている のか・・・後半の顔は個人的にはちょっとね。あの上瞼のラインとまつげが駄目。 口元も違う・・・横顔も・・・そのかしニケは顔も性格もぜんぜん変わらず。あの 教育方針好きだなあ。ワンチン様(の具象気体)の造形も変わらないし。キタキタも。 なんか女の子だけ変わってますか?或いはより可愛い造形を求め続けているのか・・・ (そして男はアウトオブ眼中) お馴染み照れ照れシーンもちゃんと入ってて(この辺は多分計算的にやってるんだと 思うんだけど)いいバランス。投げっぱなしパワーボムつーか暴走特急的に恥ずかしさ MAXまで加速させておいて、とどめでギップル、と言うこの設定はホント巧い。 強烈な照れからそのまま強烈な笑いへ繋げていく(ボケ対するツッコミか)巧さ。 勢いでククリを拉致しちゃうレイドの焦りとかも好き。一応ちゃんと「理由」は有る (「魔族と組むんだ そして世界を動かそう」)んだけど、でもそういうのとは 別の所に「本心」が有るでしょ。そういうキャラなんだよな。何というか・・・ 報われて欲しいキャラではある。 前巻からその出自に立ち戻ったかの如く現れるゲームネタも良い。「太字」とか 「ビジュアルシーン スキップできません」とか。笑える。そういや謎のアイテム 「おおかみてぶくろ」もなかなかに笑った。この辺はもうこの作者の独壇場な感じ。 この手の「変な声」(ウニョラーとか)的音声ギャグの巧さは他の作家と一線を 画する。「おっかさ〜〜〜ん」とかもそう。ぼくにはとてもできない。 「ネタ」が主体の為、ますます主旋律が見えにくくなってるのは多少不安なんだけど 楽しいからまあいいか、と。作者が解ってやってるなら、読者はただ楽しめばいい。 「マンガ本来の面白さ」を体現している様なこの作品、ホントにオススメです。 再アニメ化も決定と言うことだし、また色々楽しみなのだった。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (2000/02/06)
衛藤ヒロユキ「魔法陣グルグル 11」/エニックス/1999/02/22 出た。衛藤ヒロユキの不条理スライドギャグ。 今巻はもう完全に「ゲソックの森」のインパクトで決まりでしょう。 クソゲーお約束のネタなのに、腹を抱えて笑ってしまう。 そのノリの良さに笑わされている感じ。 その出自たる「ゲームコミック作家」の本領発揮というか。 「「自分を取る」ってどういう理屈なんだよ!!」とか 「サルにさわると即死」とか・・・ でも最近ここまでのクソゲーって見ない様な。最近のお子様達は その辺どうなのかね・・ゲームやってて「心理的においてけぼり」 くらった事って有るんだろうか。 一作目のテイストと二作目のテイストがちゃんと違っているのも 流石。p136の「知らない・・・そんな師匠は知らない・・・」とか もう大爆笑。あああ。だめだ。完全にハメられてる。 造形的には今回は何と言っても地の王の娘クルジェちゃんでしょう。 綾波派生とは言え、あの作り込みは流石・・・いやリッフィーも捨て難いですが。 ・・・ところでゲソックの森マップを解くと隠し絵が出て来るって話は・・・ ありませんか。 あと入浴シーンはもう少しサービスを希望。いやオヤジじゃなく。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (99/01/26)
衛藤ヒロユキ「魔法陣グルグル 10」/エニックス/1998/04/22 うひー。ジュジュ様萌え〜。 p60の「くそばか」が萌え〜。 いやあのハジ線がもう。 滅多に動揺しないからこういう顔されると嬉しいんだ。 しかしまぁ相変わらず激烈に面白いっすね。異常に、というか。 ここまで作品世界に引き込まれてしまう(作品トリップできる) 漫画ってなかなか無い。強烈な世界観。比類無き感性。 特に89章(歌って踊って大決戦!)〜90章(もういちど) の(グルグル世界観的)完成度は異常に高く、 90章ラストのギップルでの完璧な「締め」は読む者の心を熱くする。 いやもう。くまたいようでしょう。やっぱり。くまたいよう。 ・・・「歌って踊って」をかなり我慢して読んで 「もういちど」のラストのギップルが出たときは「来たッ!」という感じで 大喜びしてしまう私。最高。最近全編クサいんで、なかなか出番の無い (一々突っ込んでたら話が進まない・・・)ギップルだが、 矢張りここぞと言う時に出てくる辺り、実に巧い。p147の3コマ目とかもー。 ギャグの走りもとことん走ってて問題なし。塔の主(ククリ)のツッコミセンス (青・春ストラ〜イク!!とか)も実にイカシてる。 オヤジSは濃いし、ジュジュ様は絶妙なツッコミ入れるし。p140のさり気なく 落ちていくオヤジが凄い好き。 「これはハートを守るための戦い  ハートを守るこどもの戦いなのよ」(p36) でも「おっぱいの戦い」。うーん。しかしゴツイ伏線だな・・・何とも。 伏線・・・だったんだろうなぁ。「おっぱい」。 恋するハート、の下り(p15〜16)が、実にグルグル世界な感じで好き。 「女の子にはやさしくしてあげなきゃ」 ・・・・・衛藤ヒロユキのこういう激クサイ所が、好きだ・・・・ 読んでると思わずニヤついてしまう @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (980402)
衛藤ヒロユキ「魔法陣グルグル 9」/エニックス/1997/12/22 「おれの彼女は悪魔だぜ〜っ!!」 相変わらず個人的には激ラブの漫画なんですが。 ・・・何か今巻は・・・ いや、まぁ結局デビルククリに尽きると 云ってしまえばそれだけなんですが。 巻末のアレじゃないですが、 今巻は全体的にメルヒェン入ってますね。 ギップルも出てこなくて、もう何かやりたい放題という感じ。 でもそれは作者のひとりよがりな訳じゃなくて、 そのやりたい放題ぶりが、きっちりエンタティメントとして 計算されている辺りが流石と言えましょう。 前巻辺りと比較すると、ラブコメ度は薄い(キャラが少ないのも有るか) −というか、何か全体的にククリワールドな今巻。 これがアラハビカの正体が判明したときに 「成る程!」という感じを生んだりはしているのだけれど 実際ククリの目に見えている「世界」てのは あんな感じなのかも知れないな・・・ 絵的には常に変化し続けるこの作者。 青トウガラシを頼む露天商のオヤジ等は、 以前に無いほどのデザイン化が進んでいる。 漫画のキャラとしてギリギリの線かも・・・ とか思ったら、直ぐ後に、昔の濃いタッチの「大物」 ファンタジー北島が出てきたりして(然も全く本編には関係ない・・のか?) うーん。 ・・・・然し面白いねぇ。つくづく。 安心して笑える・・「心の傷武闘会」のくだりとかもー。 ウニョラー!とかさ。技術とかそういうレベルじゃなくて・・・ 芯のマインドがイカスんだよな・・・ あ、私的な今巻のベストショットは p114「どうしよう」のククリ。なんか好き・・ @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
衛藤ヒロユキ「Pico Pico」/エニックス/1997/8/12 まぁ買う人は買ってますよね。 この人の、「グルグル」以外の単行本って他に幾らも無いと思う。 その意味でも買いかしら、と。 「グルグル」同様、可愛さと腰砕けさが全編に充ち溢れた傑作。 こういうのって、やっぱ作者の資質だよな・・・特に腰砕けの方。 実際ももぎの不条理魔法はかなり効くぞ。プログラムならぬ読者でも。 下手したら死ぬかも。 「光の子」(最終的には総勢5人)の造形が又凄い。 キャラの描き分けの巧さは学ぶべき部分が多いと言える。 ももぎの造形は一見ククリなんだけど、その精神構造はかなり別。 どっちかというと、ククリはナノちゃんとももぎを足して割った様な感じ? メガもニケとは違って、「カッコ良さ」を意識して行動してる感じだし。 ちゃんと「別キャラ」なんだよな。巧いというか・・凄い。 ・・・そういう訳で愛椎ミリにのーみそくすぐられてる私。ダメだ。 いやキャラ的には圧倒的にナノ派なんだけど、シチュエーション萌えていうか・・ っていちいち主観を解説するな>俺。 所で今読み返してて気づいたんですが、この作者って 背景も自分で描いてますよね。特にデイジー銀座の描写は それだけで作者のごちゃごちゃした面白さが出ている感じで好き。 ・・いや、確信はないんですけど、タッチが独特で他人には描けそうもないし。 そういえばキャラの線も太さが一定だし、ロットにしてはエッジが甘いし 油性サインペン?・・・考えたらこの「衛藤ヒロユキ」の創作活動について、 殆ど何も知らない私ですが。 物語そのものよりも、ヒトコマヒトコマの完成度、オモシロオカシサの方が強い。 こういう仕事をする漫画家って他にどれくらい居るのかしら。 兎も角「完成度の高い」漫画である、と。かなり「スレた」読者も笑える筈。 いやでもホントに声出して笑える漫画ってトシ取ると だんだん無くなって行くよね・・・(って同意を求めるな) あとももぎの声はこおろぎさとみ(シシルモード)希望。 ミリちゃんは小桜エツ子かなぁ。ぼんやりした方の。 いや良いんですけども。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (97/09/23)
衛藤ヒロユキ「魔法陣グルグル 8」/エニックス/1997/4/22 もう何だか「ツボ」だけで構成されている・・・ 面白いわ可愛いわ妖しいわ、もー最高級。 今巻は特にジュジュ様の魅力大爆発で、「クーちゃん」にや〜 から始まって、イっちゃった時の妙なノリや、おさいほうのセンス、等々・・ もーたまらん。作者の「狙い」が悉く読者(ワタシ)の琴線に触れるのだった。 あとルンルンさんもラブコメ入ってて良い感じ。あーもーイイなぁこうゆうの。 ギャグも勿論(ギャグ漫画だっけ)走ってて、冒頭から大笑い。 ククリの、怪しい通路ばっかり見つけてしまうくだり(p39)は 何度読んでもオカシイ。 「ちょっと濃い衆にもまれてね。」書いてて笑ってしまう。わはは。 後半、小休止の後いよいよ魔境へ。お約束と言うべきか、然しあり得る展開だ。 だがそこはそれ「グルグル」である。 ノリも変わらず続いていくので有ろう(本誌は読んでないの)。 兎に角読むのが楽しみな一冊。義務感よりも純粋に快楽を求めて買える本だ。 因みに今巻、ククリのツボはp133 「ねこちゃんが ばあー!・・・・っていったよ!」 であろう。 もーたまんない。チクショウ巧いなあ・・・ 続刊が待たれます。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (97/04/17)
衛藤ヒロユキ「魔法陣グルグル 7」/エニックス/1996/11/22 やっと買ったよ7巻。 実はここ一年「ガンガン」を全く読んでなかったワタシ。いかんな・・・ なまじ他の漫画雑誌買いだすと、立ち読み(・・・)に身が入らない・・・。 って買えよガンガン。 兎も角。 ちょっとノリがズレて来てる見たい。以前はもう少しライトだった気がする。 今はもうギップルお構いなし的クサさが充満・・ラブラブ過ぎ。ククリの「ちまっ」 とした佇まいは狙いすぎで・・・すみません割と狙われてますが。 「ソロでなった〜」(P63)「いちおう女の子」(P87)とかもー・・・ツボだ・・ なべやき姫もいいけど、今巻は何といってもジュジュ様。 こういうキャラ(無表情だけど、可愛い顔の時にノックアウトされるタイプ)の 原型は古くはどの辺から有るのか。 この盗賊の話以降は、何となくアニメ向きだと思う。 ルンルンとゴチンコ、おかしらの相関図とかさ。 ・・・・アニメとしてもいい作品だっただけに、終わってしまったのは辛い。 物語はまだまだ無軌道に続きそうで、それはそれで楽しみなんだけど、今の絵柄が 安定してないので、その変化の行く末も気になる。 ペンタッチはむしろかなり初期のソレに回帰しつつあるような。 ところで。 「ごはん重くしてありますよ」(p94)は、既に知人のバンドの連中の間では 基本タームだという話を聞いた。 バンドマンにはグルグル好きな人結構居る見たい・・・ ではまた。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (96/12/10)
衛藤ヒロユキ「魔法陣グルグル 6」エニックス/1996 やっと買ったよ6巻。 何が良いって矢っ張り149ページでしょう。ええ。 ただ、今巻のククリ、殆ど可愛いモードばっかりで一寸ね。 表情崩した方が可愛いって事もあるでしょ。 もっとクルクル表情を変えて欲しい。アニメの方が特にそーだったから。 何ってこのマンガ、「ククリが如何に可愛いか」のみが眼目でしょ。 え。違う? いやギャグも走ってていいとは思いますけどね。 今巻ばかりはククリの衣替えの多さからしても、そんな感じがして。 次点は精霊モゲル。 しかし久々だったんで、思わず1巻から読み直してしまった(話を忘れていた・・・) ですよ。 なんか初期の絵がもう全然違うんですけど・・・いや、初期の方がデザイン的で 面白いかも。 このマンガについては、その絵のデザイン性も重要だと思うのですが・・・ 兎も角。 アイテムで恥ずかしい展開へ持っていくのも相変わらず得意ですねぇ。 今回の「おしゃべリップ」は傑作。 いやー、いいわ。ギップル見えないと思ったらもう暴走しっ放し。 「くっさあぁぁぁ〜」てな物です。 で、私としては連載の方のジュジュ様が・・・ やっぱね。 あの娘は・・・ まー、一応基本と言うことで。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (96/03/01)

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