白炭屋カウンターへ

本棚・メインへ


あさりよしとお



あさりよしとお「荒野の蒸気娘 4」/ワニブックス/2008/06/10

面白かった、面白かったんだけど、色々期待しすぎてたかなー、という。
無論読んでソン無し、買って損無し、だったんだけど。

世界設定から発生する物語、世間知らずのロボ子の成長、そこから芽生える
心の交流とか、全体的に定型通りな感じで、こう、ソウルが足りないというか……
もう一歩二歩踏み込む余地があったのでは、と思うと残念なのだ。

彼女の秘密を狙う組織とか、小さくまとまってしまった感が切ない。

読んでて思ったのは、やっぱり「形」って重要なんだなーということ。
ドロッセルお嬢様とか見てると、特にそんな事を思う。
どんなに内面が「アリス」であっても、あのカタチガあるかぎり、
脳内補完処理を限界まで上げないと、「萌え」ることは難しい。
メカフェチのおじさんみたく、「そのままの姿」で興奮できる世界に行くのは
なかなか大変なのだ。

いや、でも、脳内補完感覚、楽しませていただきました。
@@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
(2008/09/24)

あさりよしとお「少女探偵金田はじめの事件簿」/白泉社/2006/05/03 作者あとがきにも 「物書きが好きな題材を選んで書くとろくな事にならない」 と、敗北の言めいたものが語られているけど、まあ有り体に言って、これはつらい。 この暴走、と言うよりは迷走。(個人的な)見所はp165,166のバスタオル一枚の 少女探偵(およびその助手)のみ、という有様。 当時「すけべ椅子探偵」が出たあたりでひとしきり受けた記憶はあるけど、うーん、 こりゃどーにも。禁じ手云々以前だわなー。 まんがってむつかしい。一歩ズレるとどこまでズレていく。 「ただいま寄生中」にしろこれにしろ、うーん、まあ、でも、ファンだし。 買うよ。買って読むよ。 そうじゃないひとにはちょっと勧め難い @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (2006/05/20)
あさりよしとお「荒野の蒸気娘 1」/ワニブックス/2006/02/10 コシマキに曰く、 「無敵の美少女ロボ姉妹が旅に出たり、デビューしたり、修羅場で目覚めたり、  絆を確かめあったり、体を探られたりする物語を描いた要脳内補完コミック!」 確かに読んでるとちゃんと(勝手に)脳内補完してくれるのが面白い。 やるな俺の脳!とか思いつつ。いや、そう読めるように補完映像と実像を 配置してるんだろうけど。第7話あたりだとかなりいける感じだ! しかしまあ「要脳内補完!」的な、その表面上の可笑しさだけで読んでしまうと (まあそんな読み方する奴はいないか)もったいない。これ結構いけますよ。 作者久々のしっかりした虚構世界。 ザ・デイ・アフター、というか、文明が滅んだ後のサバイバルみたいな世界観は、 この作者の初期作品からも見受けられる。ゾンビの用心棒とかさ。いや、昔から 普遍的にこういうのはある。あるんだけど、あさりよしとおの描くそれは、一種 独特の風合いがあって、まあ要するに好みなのだった。こういう感じ。 「蒸気機関…外燃機関は燃料を選ばない  石油の枯渇した現在では文明を支えるため必要な技術よ  蒸気は巨大なパワーを発揮するし  スターリング機関を用いれば燃料あたりの熱効率は30%を超える」 「蒸気機関こそ人類の未来を照らす光なのよ!!」 パロディ(ネコミミが般若になるとか好きだ。あと「姉妹の絆」「重い想い」 あたりは読み返してるとじわじわ来るぞ。)なのかシリアスなのか、稜線をフラフラ してる感じで、どうもやや危うげな印象だけど、そのフラフラ感も、想えば あさりよしとおらしい。 「だいじょうぶ  私は人間の女性には全く興味が無い  安心してまかせてくれ」 って真剣な顔しておっさん何いうとんじゃ、的な狂気の面白さ、切れ味は流石に あさりよしとおだと思う。 初期は設定先行というか、キャラの作り込みが先に匂ってたアリスだけど、 話数が進むにつれどんどん生き生きしてくるのが楽しい。「お兄ちゃん」との 旅がそうさせているのかもしれないけど。今後どんな「女の子」になっていくのか 結構楽しみだ。 科学マンガの描き手として、「石油枯渇後の未来」を、 ブラックユーモアマンガの作者として、この二人のオモシロ描写を、 そして「メカの魂」を語らせると右に出るものの無い作家として、彼女「たち」の 存在の意味を、どう展開して見せてくれるのか。ただひたすらに楽しみなのだ。 願わくは、この作品が(近年の他の作品群の様に)あだ花的な終わり方をせずに ひとつの世界を描いて見せてくれることを望みつつ……。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (2005/12/10)
あさりよしとお「るくるく5」/講談社/2005/10/21 アフタヌーン'04/12-'05/08収録分を掲載。 「人を良くすると書いて修行と読む」 「うむ 来た来た  エンドルフィンが出て幸せになってきた」(p15) 冒頭から自己啓発セミナーネタで。「悪魔と天使」をネタにする以上、”宗教”の 世界は描かずには置かない、というか、それをやるためのこの作品、かもしれぬ。 タンちゃんが活躍するときはなかなか味わい深い話が多いな…… 「儲けて空しく/満ち足りて苦しい」「儲からねえが楽なのが一番」 p58からのヨフィエルの哀れさよ。理想理念は斯くも脆い。 「歯車 ネジ 鋸歯状の金属片 棘のうめ込まれた金属棒……」 p88〜の、オルゴール見て拷問器具的な怖さを感じてる姫がまたいい。 オルゴール見ておびえてたのは自分だけでは無かったんだなー、と、妙に 嬉しくなる。あと姫のタコ踊りがたまらん。 主人公の「執着」を上書きしていく”現在”の力。 「悪魔!」と叫ぶ六文に、だが日の光は明るい。”変化”の力強さ。 「どーせ悪魔が奇跡を起こしてもエントロピーが増大する方向にしかいかないしな」 転校生ネタは、何度か読み返して、その都度胸に染みる。 「転校生」(或いはサーカス、或いはコーニイアイランドの一夜座)っていうのが どういうもの「だった」か。やってきて、また去っていく存在。 そこに原初体験としての「寂寥」がすり込まれている。 「わかるの」「悪魔は人間の本音の側にいるから」(p121) こういうの、ホントに、自分の心が弱ってる時、ついついやってしまう。 言葉は額面通りではない。わかってるねん。わかってるねんで。 そういう後悔の積み重ねの上に、しかしまだ後悔は積み重なる。 だが、でも、彼らはこの夜の事を忘れないだろう。それは、信じられる。 お裁縫ネタ・アイロンネタも全体的にかわいくて好きだ。 ズボンをはいたときに足が抜けない違和感!とか、そういう「体感の記憶」を 本当に丁寧に紙の上に再現してくれる。そういうところで「掴」まれてしまう。 モノ知らずのカワイコチャンがいろいろガンバル、っていうのは昔から人の心を キュンキュンさせ続けてきた訳だけど(初期のラムちゃんとか)、やっぱそういう の(お約束的なもの)は大事だなーと思う。 p78の産婆さんな姫の表情が好きだ。 でも今巻のベスト表情はなんと言ってもp113。 「怒ってんのか喜んでんのかわからん」あの表情。すてきすぎる。 あとp178。ああー。胸が締め付けられる。思わず頭に手を置きたくなる!いやもう、 たまらんぜ。いいなあ。あああ。こういうまんがが読める、そのことの幸せ。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (2005/12/10)
あさりよしとお「るくるく4」/講談社/2005/02/23 アフタヌーン'04/03-'04/10収録分を掲載。 作者のカメラ好きっぷりが遺憾なく発揮された4巻となっている。 思うに六文の親父(猫)はあさりよしとおの代弁者でもあろう。 カメラの”本来の”面白さとは何なのか、そういうのを思い出させてくれる。 なつみはちっちゃなフォトグラファー、って歌あったよな… 「そういえば親父  うちにはアルバムって無いの?」(p41) なんかこの辺、伏線な気も。 「アルバム?」 「こう…… 家族の行事や日常の写真を貼りつけて綴じた本のことさ」 「そしてすべてを失ったときに開いて過ぎ去った美しい時間を懐かしみ  思い出に逃避する」(p51) 灰汁の話や野菜笛の下りなんかはちょっとしたまんがサイエンス。 「干からびてちぢんでいた10本足の悪魔の魚がブリブリにふくらんで」 とか妙に受ける。 「悪魔のお仕事」とかこういう話を正面から描けるのもこの作者らしいところ。 それにしても姫の足は素晴らしいな……p24の立て膝とか。p44のとか。p63のとか。 p80のむくれてるのもかわいい……かわいいで言えば#33、悪魔が来たりて笛を吹く、 の姫はいろんな表情を見せてくれて非常になんというかもう!ああもう!ああ! 巻末おまけの姫がまた!あああ(もういいよ) 煮詰まったルミエルがどこへ抜けていくのか。彼(彼女)の<若さ故の>動向が 今後のキーになる、気もする。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (2005/05/05)
あさりよしとお「まんがサイエンスIX」/学研/2004/09/03 驚異の小宇宙人体の巻。 もうこの手のネタならこの人!という感じで、あやめちゃんが色々 いじられてる。そして相変わらずあさりちゃんはエロス担当。座薬とか。 ”身近な科学”テイストが強く出てる分(トイレとか)、「宇宙」や「ロボット」 なんかに比べると今ひとつ「夢」や「未来」的ななものが薄いんだけど、 それはそれで本来の「学習まんが」としての存在意義を果たしていて、十分 楽しめるのだった。 「傷は体の工事現場」とか、子供の頃「ちのはなし」という絵本で学んだ知識に 無理なく追記して読める感じで楽しい。「傷口をよく洗う」とか、おお、確かに こういうシステムで修復されているならまず洗わなくちゃなー、とか納得できる。 この「傷口を洗う」にしても、あと薬の話とか熱中症の話とか、頭では解ってても つい「飲み忘れたから二回分」とかやっちゃう自分には極めて役立つ内容と言えた。 「じゃあ人間の目って何百万画素なのよ!!」ってのも結構興味を引かれる話題。 デジカメというよりはビデオカメラに近い、か…… そして生命を扱う以上避けては通れない「なぜ死ぬのか」についても言及が。 ”生命のカウンター”テロメアの下りなんかは、「そういう風にできている」 という科学的な言い切りが気持ちよく、且つ暫し手を止めて考えさせられる。 ああ、せめて、DNAの乗り物として、そのリレーに参戦すべく努力せねばなるまい。 人体という具体的な存在がテーマなだけにやや真剣(重い)感じはあったが、 相変わらず先生の名前とかのくすぐりは健在。シボー家の人々とか。 あと個人的にウケたのは「車のオイルだってたまに交換するぞ」。すいません 最近サボってました。 巻頭カラーページには立体視画像。久々に脳の立体視機能を使用した感じ。 いやいつも立体視してない訳じゃないけど。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (05/02/24)
あさりよしとお「るくるく3」/講談社/2004/04/23 アフタヌーン'03/06-'04/02収録分を掲載。 シュークリームの食べ方がもうやたらかわいい。ちゅーっと。 ……いやー、しかし萌えって難しいですなー。 やっぱし、ただ「カワイイ」だけを続けるのは、難しいよね、という。 特に宇宙おしかけ女房系はそう。 うる星のラムちゃんが、最初「常識のズレた女の子」故の可愛らしさを 押し出していたのが、それで立ち行かなくなって、ただ女の子としての可愛さへ シフトしていった様に。魔界のプリンセスが、宇宙人の女の子が、女神が、常識の なさ故に当初ドジッコであり得たとしても、いずれは女の子としてカワイイ、 一緒にいて幸せだ、一緒にいたい、と思わせるキャラへシフトしていかざるを 得ない。或いはオバQみたいな「いるだけ」の存在で有り続けるか。 尽くす尽くされるの”関係”は変わらざるを得ないのだ(としよう)。 で、(最近ますます食いしん坊キャラになってきた)るくはどうなってんのか、 という所。なんかその辺がまだまだ微妙。とりあえず姫と六門の間に明確な ラブ☆波動が存在しないことが、彼らの”関係”を読みにくくしてる様な。 単なる疑似家族モノ、としても、るくの位置は”母親”ではないだろうし…… ……でも、p141のあの黒い笑顔。ここに一つの答えを、作者は出している様な 気がする。つまりこういう関係ですよ、という。ああ、そうか、みたいな。 見返してると、悪くない。いいじゃない、こういう関係、とか思える。 ただのおさんどんじゃなくて。メイドじゃなくて。こういう。 いいなー。いいなーもー!こういうの!(妄想だよ 梵提寺の宗教戦争あたりの下りは深くなく浅くなく、相変わらずバランスをとって いる感じ。アングロ釈尊、あたりは五色人ネタかとも思ったけど、どうなん じゃろう。カールビンソン熱中派としてはガンちゃんを思い出す訳だけど。 神と避雷針ネタはアシモフの科学エッセイ5「わが惑星、そは汝のもの」で フランクリンの凧揚げについて語っている下りがあって、つまり科学(避雷針) が神の雷に勝利した瞬間、科学は人類のあたらしい宗教となった、みたいな 下りがあって、無宗教な身にはわかりにくいけど、アチラじゃ避雷針ってのは 結構”対宗教”的な意味合いが強いみたい、みたいな事を思い出したりした。 「おふくろの味」の下りはるくがどういう勘違いをしてるのか暫くわからなくて、 わかった後読み返して爆笑した。るくの「……マジで?」みたいなあの顔、 いいよな…… @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (04/05/05)
あさりよしとお「るくるく2」/講談社/2003/05/23 アフタヌーン'02/09-'03/05収録分を掲載。 もう出たのかー、とか思いながらホクホクと読む。読んで転げ回る。ぐはー。 あさりよしとおの持つヒネリのセンス、現実をいじるその視線が好きだ。 バレンタインの回の 「血だるまになって死んでいったバレンタインに  申し訳ないとは思わないのか!!」(p136) ――の背景に描かれる血だるまバレンタインとハートマーク、とかそういう不謹慎 感覚がスゲー好き。いなごの佃煮持ってくるドンちゃんとか(アバドンは金の冠を 付けたイナゴを使い魔にする、のだそうだ。悪魔達のモトネタ一覧などはその手の サイトでご確認下さい)。 あとやっぱ今巻この手不謹慎ネタの白眉は「やはうえさま―― お元気ですか?」 な訳ですが。これやるためだけにこのマンガ始めたんじゃなかろうかという巧さ。 この辺はホントこの作者の独擅場だ。 ……いや、つーか、ゲルマニウムラジオで踊るるくでしょうもう今巻は!! 可愛いすぎて吐血しそうだ。あの足!あの足!!あの足!!!! ああ、それにしても。自分はオーバーニーには生涯反応しない質だと思っていた けど、るくのあのエプロン/スカートとソックスの間の白いところには過剰反応 してしまう。#17の扉とか、もう見るだけで死にそうだ。マジで。この悪魔め! チョコの回の六門の態度に関しては雑誌掲載時のブチ切れをそのまま前巻の感想に 盛り込んでしまったが、あの違和感は結構他の読者も感じていた様で、あの下りの 六門の態度に「?」と疑問符をつけている感想を散見した。結局あれは作者特有の 「照れ」なのだろうと理解しているが……或いは「家族」に慣れない六門の「照れ」 か。所謂宇宙押しかけ女房というよりは、カールビンソンに通じる「疑似家族」 的な展開に今後の展望を見る。とまれ、彼の見た「幸せな夢」を信じよう。 るくの声はかないみかで読んでる @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (03/07/03)
あさりよしとお「るくるく1」/講談社/2003/01/23 押しかけ女房は天使でもなけれな守護天使でもなければ電撃鬼娘でもなくて 悪魔のお姫様。魔界のプリンセス(きゃ〜)。地獄がいっぱいになってしまって、 これ以上人を地獄に落とさないために、人を救いたいのだ、という。 彼女の指揮のもと、夜な夜な「小さな親切」を行う使い魔達。その「悪事」を 阻止せんと使わされた天使。その「天使」により、父親を惨殺された少年が 本作の主人公。 天使とは?悪魔とは?一体彼等の「バック」には何が有るのか? あさりよしとおが、その力点から「萌え」を支点に使って放つ萌え爆弾。 萌えろ萌えろ!みんな萌えちまえ!ギャーッ!萌えたーッ!!みたいな。 チビで無口で無表情(だが恥ずかしがり屋で感動屋)な世間知らずのお姫様が、 一生懸命おさんどんする姿に萌えずにいられようか。しかも七輪で。しかも下手。 小さい掌で一生懸命オニギリを!不器用な手で林檎の皮を!あああ! ……つーか、るくがピアニカの音に心震わせる、あの顔!あの表情!仕草!! ……あー。萌え死ぬわ。桶に顔つっこんでぶくぶくやってるところとかもー! 雑誌連載時に萌えまくっておきながら尚、単行本で悶えまくるという。 だが「何故俺なのか?」という主人公の問い(或いは恐れ)ももっともだ。 寧ろ馴れ合ってはイカン!馴れ合ってしまうと、今のこの独特の緊張感が薄れて しまうぞ!緊張感あってこその関係というものだろう!「悪魔払い…… したい?」(p161)とかこの辺が!この辺の緊張感こそが!!しかるに今月の バレンタインネタ、アレは何だ!!倦怠を恐れよ!緊張感を持って事にあたれ! (何を熱くなっているのか)!枯堂曰く、不器用じゃなきゃ恋は出来ないわ 近づく程冷めるもの!心せよ!わかってんのか!姫にチョコ貰ってあの態度は 何だ!歯ァ食いしばれ!(虚構と現実の区別のつかない駄目な大人がここに) ……作者の照れ(であろう)が時として萌えの勢いを殺すことも有るけど、それは この作者「らしさ」とでもいうべきものだ。どこか引いた視点を入れてしまう…… いや、これは何かの布石か?考えてみれば今時ちょっと古めかしい主人公の境遇、 住まいも不思議だ。「昭和」を強く感じさせる町並みも謎と云えば謎。料理と 言えば七輪だし。ワッハマンも七輪だったよな……ってまあその辺は昔から一貫 しているのか。 物語の作りの「しっかりした」感じは流石にあさりよしとお。毎回起承転結が しっかりしていて、キャラの膨らませ方や展開の広げ方に危うさが無い。 その分キャラ自体は危うい連中がぞろぞろ出てくる訳だけど、そこらがまた あさりよしとおの「らしさ」な訳で…… 「と 言うよりは人間には発音できない名前でしてな」 正直今のノリだとそんなに巻数が続くとは思えないんだけど、対象年齢低めな スタートで間口を広げておきながら、案外とんでもない方向に読者を連れて行く気 かも知れない。何せ、あさりよしとおが描く「天使と悪魔」話だ。萌えで入って、 気が付いたら人類殲滅戦になってたりして。まだその辺の所は見えてこない。 今は取り敢えず、萌えておこう。ゴロゴロゴロ。 あんな思い詰めた顔で「いっぱい 食べてね…」とか云われたら、僕ァもう!! @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (03/02/01)
あさりよしとお「HAL はいぱあ あかでみっく らぼ 2」/ワニブックス/2002/02/10 2巻にして完結編、らしい。 危険さ、過剰さのレベルは一定なんだけど、一定であるが故に、回を重ねると 魅力が失われていく感じもナキニシモアラズ。時事ネタも結構投入されてるん だけど……前回の様な身もだえする爆笑(それだけの危うさ)ってのは無かった。 雑誌の中で読む分には危険度抜群で良いんだけど、全部危険だと平坦に見える感じ。 ゴッドハンドネタなんかは掲載当時結構笑った記憶があるけど、今見ると、もう 遠い記憶だ。 とはいえ面白いのは面白い。 なんかややこしい描き方だなー、とひっかかった単段式ロケット頓挫(今はまた 再生中らしい?)ネタなんかは、あさりよしとおが描かないで誰が描くんだ、って 所は有る。そーだよなー。通勤でもしない限り、その都度「タクシー」呼んだ方が 安上がりではあろう。結局この辺の問いに答えるためには、「カネになるか否か」 という以前のレベル、「プライド」「男の浪漫」みたいな所(技術力の向上、って のは多分”本音”じゃない)で戦わないといけないので、女子高生を説得するのは 無理だと思った。そうまでして何故!?みたいな。 いや、単段式ってそんなに魅力感じないんだけど、好きな人は好きだよねえ。 読み返してて一番ツボに入ったのは「生命のスープ」(「アミノ酸」)。アレは 笑った。原始地球の海がべったりしたグルタミン酸味だったとは盲点だった。 そりゃ舌もしびれるわ(「買ってはいけない」知識)。買ってはいけない、と 言えば「やってはいけない」。アンモニア直接嗅いだよ。あの鼻ん中焼けた感じ。 リカくんもアレだな、ペンキ塗りたての所に手を置いたりするタイプ。 ラストの雰囲気も(唐突ではあれ)結構好きだ。この作品の持つ、どこか非現実 的な空気感に相応しいシメ方だったと思う。どことなく懐かしい感じ。 然し矢っ張りリカくんの造形には萌えるよ。水着萌え〜(より無難なオチ) @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (02/02/21)
あさりよしとお「細腕三畳紀」/講談社/2001/12/21 読み切りという「オチ投げっぱなし」スタイルによる、三葉虫連作。 ある意味最も「あさりよしとおらしい」作品と言える。自覚的に既存の フォーマットを利用して、「パロディ」とも違う、独特の触感を産む―― 「エッちゃんの場合」とか好きだなー。こういう味わいは流石だと思う。途切れ ない毒の入れ具合が良い。電子レンジん所とかアフタヌーン読んでて吹いたよ。 或いは「ミッちゃんの場合」「三葉の場合」あたりの少女造形の巧さ(とゆーか あさりよしとおっぽさ)も好きだ。この人の描く少女のラインの伸びやかさ。 然し白眉はやっぱり「佐藤くんの場合」だろう。 「怪人」の、「その日」が来るまでの待機風景。これで泣ける人とは友達に なれそうだ。掲載当時、こりゃ「かめくん」じゃん、とか言われてたけど、 いや、もう、それ以前にさ。「かめ」の影響とか以前に、こういう「怪人」物語の 作品フォーマットは作者内に存在してたと思うんよ(だからこそのあの意図的に ベタベタな「夕暮れ」風景)。 何となくこの話を載せる為にこのシリーズは有ったんじゃなかろーかと思える程。 演出のテイストも含め、その褪色っぷりが良いのだ。素直に泣く。 連載時は「今回イマイチかも…」とか思ってたけど、まとめて読むと妙にクる感じ。 この人の個性というか、押し出しの強さが変わってないのが確認出来ただけでも。 一番笑えたのは「サンちゃんの場合」年寄りネタにさせると上手いよな… @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (02/01/14)
あさりよしとお「なつのロケット」/白泉社/2001/08/01 初出:ヤングアニマル1999/16-22号 「今 真上・・・」 結局の所、この最終2頁の感動に全てが有るとしても。 単行本初読の時は、多少「あれ?こんなんだったかな?」という感触があった。 作り込みが足りないと言うか、妙に浅い感じがして・・・。結局作者あとがきの 「ライブ感覚」ってのが正解なんだろうな、と思ってしまった、んだけど、何度か 読み返してみると、この作者らしい、きちんと作り込んだ構成が見えて来た。 作者は泥縄式展開だと語っているけど、「お話」としてはちゃんと落ちている。 ライブ感覚、ってのは確かにそうで、でもそれが言い訳ではなくて「良い方」に 向いている感じ。想定したのは90分の映画、とも語っているけど、寧ろETVとかで やる少年向けドラマに近い。回毎のヒキと導入は少年TVドラマ的で非常に好きだ。 最後まで気になった「転校生」三浦の「ロケットを作る理由」「涙の訳」「病院」 「疲れた顔」「時間がない」あたりは、多分敢えて答えを伏せてあるんだと思う。 どうなったんだか分からない(その辺は子供だから)んだけど、兎に角目の前から 忽然と三浦が消える下りの巧さというか面白さというか。元ネタが何か有るのかも しれないけど、この辺の物語作りのセンスは確かなものを感じる。こういう存在を 作品に組み込めるかどうかで、それが「お話」になるかどうかが決まる。読者は p122-123で作者が何を説明しようとしたかを薄々感じるのみ。 読み返す中で、ただ「ロケットを打ち上げる話」ではなく、そこに描かれた 「物作りに没頭している少年達の夏の日々」がじわじわと染みてくる。小学生の 持つ思考パターンや視点の狭さが非常にリアルに思い出される。展開を俯瞰して しまうと、作品に込められた「熱気」の様なものが薄れてしまったろう。小学生 特有のテンパった感情発露は、自分がかつてそうだった事を思い出させる・・・ 佐藤さとるの「わんぱく天国」という作品がある。少年達が、飛行機を作る話。 それをふと思い出した。 各キャラの魅力も、読み返して行く内にどんどん深くなっていった。特に北山の 造形は、もう全く過去の自分を重ねてしまう。図書館の図鑑や本で知識を先取り しておいて、実験や何かの時に披露しては褒めて貰う。そういうのが嬉しくて 仕方のない「プライドばっかり高くて何でも自分に都合よく考える奴」だった。 (勿論彼の様にロケットに詳しかった訳ではないが) メガネで三つ編みで巨乳な藤根先生は、正直話の中でのアイキャッチ的存在でしか ないと思っていて、その割には何かアピール足りないまま終わっちゃったなー、 とか思ってたんだけど、読み返してるウチにあの「負け戦かのう・・・」と呟く あの瞬間でぐっと来てしまったり。 北山なら、あの先生に恋をしないではいられないだろう。恋、というのか・・・ 憧れずにいられないと思う。多分、あの先生に認められ、褒められる事が最高の 喜びなのだ。人生が変わるほどに。p102で顔を近づけられた時に照れてしまう、 あの気持ち。あの描写。 ラスト2頁の感動に全てを忘れてしまいがち(実際何度読んでもここで泣いて しまう)だが、これは、単に「ロケットを打ち上げる話」ではない。 個人的には、読み返す毎に作品の面白さが増大していく感じだった。他のあさり よしとお作品に比べると手応えが薄いなー、と感じた人は是非二読三読を。 (でも、これ読んで「よし、俺も作ってみるか」って今作り始めている連中が  この日本には絶対居る様な気がする。プラネテスのハチマキの弟みたいな奴が) @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (01/09/02)
あさりよしとお「まんがサイエンスVII」/学研/2001/01/01 テレビ・ビデオ・顕微鏡・望遠鏡・双眼鏡(プリズム)・パンフォーカス・AF・・ 今回は「特集『見る』科学」。 毎回の事ながら、何かこう・・・みるみる自分の無知ぶりが白日の下に。 自分では知っている積もりのモノも、こうして「科学的」に説明されると 「ええっ!そうだったの!?ああでも言われてみれば確かに!」という。 この快感。でもどこが「そう」だったかは恥ずかしいので秘密。 電子顕微鏡の下りの、可視光の波長より小さいものが見えない云々、はホントに 初めて知った気がする。一体何を学んで生きてきたのか。あと走査型トンネル顕微鏡 なんかは友人が「マニアック過ぎる!」と喜んでた。そうなのか。でも彼はビデオの 書き込み方知らなかったというから、人それぞれ。読めば何かしら発見は有ろう。 作者のオールドカメラマニアっぷりはつとに知られていて、レンズとかプリズムとか ああいうの描いてるのは実に楽しそうで良いのだった。天体望遠鏡の下りなんかも 懇切丁寧でいい感じ。 特集以外のは「肺」「公転」「おもちとごはん」「細胞」「光る標識」と、 この連載が本来持っているであろうバラエティの豊かさを感じさせるもの。 どういう基準で選んだら「再帰性乱反射を利用した標識」なんてのが科学まんがの 題材になるのか。でも読んでて「へぇぇ〜!!」とかうなってしまうので良し。 この辺は実に「身近な謎を科学する」心が生きていて好きだ。モチとか。 未収録作品もそろそろたまってきているだろうし、そのうちまたバラエティに 富んだ巻が出ることを期待する。 それにしてもテレビの真空管三姉妹はカールビンソンでも出てたけど、どっちが 先なのか。長女の造形がかなりツボ。そんな感じでキャラ漫画としての魅力も 相変わらず。あやめちゃんの魅力は止まる所を知らず。巻末読者からのハガキ 見ててもあやめちゃん人気の高さが伺える。いじめられっこだからな基本的に。 巻末の特別対談じゃないけど、2足歩行ロボットなんてロボット特集(II巻)の ときはあれが精一杯だったんだよなあ、と。あの辺科学漫画の辛いところかも しれない・・・いやむしろ面白いところ、なのか。その辺は作者のみぞ知る。 次は是非付録も付けて欲しい気がする @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ ・個人的メモ:  カメラオブスキュラ(cameraobscura)はピンホールの開いた暗箱で、中に入って  風景画とかを描くのに使ってたアレ。cameraはchamberと同じ「丸天井の部屋」  obscura(obscure)は「覆い隠す」の意。scyllaは六頭十二足の怪物(元美女) (00/12/18)
あさりよしとお「HAL はいぱあ あかでみっく らぼ 1」/ワニブックス/2000/12/31 まんがサイエンスと並べて売るのはイヤラシくて良い。もっとやれ。 ラジオマン以来水面下で連綿と続く「科学の闇まんが」シリーズ最新作・・・と 言うべきか。(他に「業界の闇漫画」というシリーズも有るが、これは大抵ゲリラ 的に連載され、殆ど単行本に収録されない。ヴィスタフカ収録の「重箱の隅」なんか 一番ヤバイ(一番読みたい)描き文字が読めない仕様に。今思うとこれは意図的な ものか?この連載の前にやってた邪悪な連載も単行本にはならない様な気がする。 主人公の名前がアレだし)。何にしても、この手のベクトルの作品は、何処でどれだけ 笑えるか、で読者の素養が推し量られる。オソロシイのである。 まあ「おおお!こんな濃いネタ解る奴いるのかよ!?いや俺は解るけどな!!」と 優越感をくすぐられて大喜びしている読者は拙者だけでも無いでしょう、という。 その辺のバランス感覚(薄すぎず濃すぎず、然し出来るだけ不謹慎に)が実に 「あさりよしとお」。昔のSFファンはこういう不謹慎感覚を喜んだものだった。 例:「愛國戦隊大日本」「匪歌集」etc. いや、実際「普通のヒト」にこの漫画を読ませて、例えば第9話「ザ・臨界」の 強烈さ気色悪さ、そしてその危険さ故の狂気的笑いというのが果たして何処まで 伝わるだろうか。あの事件の第一報「青い光を見た」というのを聞いて、それが どういうことか、一体この報道をしている人間のどれだけが判っているのか、と 吐き気をこらえながら感じたのをまざまざと思い出す。が、それ故に、このp83、 第9話の冒頭の直球ど真ん中な描写には身の内から狂気的な笑いが吹き出して、息も 絶え絶えに笑ってしまった(勿論当事者で無いから笑えるのだ。非道い話だが)。 この毒!!この回はオチまで含めて作者の「念」が強烈に入っていて、読み応えが 有る。 或いはp106の残酷さ。これは事実だったのだ。新聞には毎日の様に数行容態が載って いて、日々凄絶さを増していく描写に言葉を失ったものだった。もうどうしようも ないのは明白だった。チェルノブイリ事故で真っ先に現場に駆けつけた消防隊員の 話とか思い出しながら。何も言えなかった。 ・・・銀行強盗がウランの固まりを積み上げていく話ってあったよな。 「ひとーつ、ふたーつ、ホラホラ早くしないと臨界に達するヨ!」みたいな。 放射能ネタ以外は何となく「まんがサイエンス」の副産物、という感じも有り。 「水道水のしくみ」(最近また合併槽に対する迷信とか・・・)「震度計」 なんかは多分「そう」なんじゃないかなと思わせる。改正メルカリ震度階に 対するツッコミっぷりは見事。完璧な絶望(或いは強烈な怒り)と「笑い」は 紙一重なのだ。爆笑する。 もう一つの切り口として、論理のスライドで無茶苦茶に、というパターンも面白い。 この辺は純粋な科学馬鹿というか。どっちかっていうと落語か。 「車のテールランプってそれで赤く見えるんだ!!」(ドップラー効果) 「イグアノドンなんかもっとすごい」(角が鼻から親指にまで移動した!) 挙げ句2足歩行ロボの動歩行解説では、水上はおろか空中をも渡り歩いてしまう始末。 こういう科学ホラ話って、多分源流を辿ると星新一とか「あの辺」にたどり着くん だろうなあ。こういう話、もっともっと聞きたいし、してみたい。拙者もこういう 馬鹿話が出来る様に(或いは笑いに付いていける様に)もっと科学知識(雑学・・・) を身につけよう、とかしみじみ思ったのであった。いや、マジで。 取り敢えずリカちゃんの造形には萌えるよ。白衣萌え〜(無難なオチ) @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (00/12/18)
あさりよしとお「宇宙家族カールビンソン 1」/講談社/2000/05/24 アフタヌーンで始まった「新シリーズ」。パラレルワールド的に展開。 今更カールビンソンもなあ、昔は面白かったけどなあ・・・とか思いながら読んだら 山程爆笑のツボが有って、なんだ相変わらず面白いじゃん、とか失礼な感想を 漏らしたり。やっぱオカシイわこの人のマンガ。 おとうさんのボケっぷりは寧ろ往年の味わいを取り戻していて、仕切直しも成る程 有意だったのだなとか思う。駄菓子屋のばーさんの独演会とか。 おとうさんのボケとターくんのツッコミ切れてないツッコミが懐かしい6話の 「おにぎりの味」や、3話の「本当はおそろしい・・・」に見られるたたみかけの ギャグのおかしさは、ネタそのものというより、コマ割りのリズムやタチキリの 使い方の巧さに有る様な気がする。やっぱギャグは呼吸だよな・・・。 P91のヨーヨー食ってるシーンなんか何回見ても吹いてしまう。あのタイミング。 大体あの「ギュギュギュ」って音がもー。ああいう独特の擬音だけで爆笑させ られていた小学生の頃と、基本的に何も変わってないワタシです。 げしょ、とか、ひしひし、とか、げよげよ、とか。 旧シリーズ初期に見られたヲタク臭さは多少減じてあるものの、油断は出来ない。 ・・・例えば、原住民の額の文字は「これから」なのか?とかさ。 ま、買いは基本と言うことで。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (00/05/30)
原作:河崎実 漫画:あさりよしとお「地球防衛少女イコちゃん 全2巻」/白泉社/1999/12/25 初出:月刊コミックコンプ1988/05-1991/05。 1巻は角川書店より90年に出ているものと(収録回数は)同じ。 2巻は今回初の単行本化となる。 あー。この絵だよこの絵。この頃の絵が一番好き。柔らかくて、でも ちゃんと骨格がある。この立体感。デッサン力をあらためて感じる。 タイトな制服の下のラインが、こう・・・いやいや。いやいや。 あさりよしとお特有のボケも味わい深い。ちょっと邪悪だけど。 昔の原稿だからか、ホワイトとかがはがれ落ちてて味わい深い。p94とか。 ・・・でも、コミックコンプって一回も買ったこと無いのに 台詞やらコマ割りやら覚えてて、10年前の自分の記憶力には感嘆してしまう。 今じゃ買って読んでもすぐ忘れちゃうもんな・・・ああ・・・ 各巻末の、河崎実による「イコちゃんシリーズの歴史」は、この 「地球防衛少女イコちゃん」という現象を余すところ無く押さえた資料として 価値が高い。読みごたえ有り。 ・・・で、まあ今更「イコ」もないもんだが、リアルタイムで燃えてた時期も あるにはあったん。中学時代は何と言っても「特撮」野郎だったからさ。 部室で「地球防衛少女イコちゃん」の上映会をやる中学生(坊主頭)ってのは 当時日本でどれくらい居ただろう。いねえか。ムック買ったり、火星人の背景の ぷちぷちシートを再現したり。いや二代目ユミの松崎ゆかがもう最高に可愛くて なー。ってまー今考えるとあんなの(失礼)のどこがそんなに面白かったんだか。 アレがその後に来る自主制作フィルム熱の走りだったのかも知れないな・・・とか 懐かしがってみたり。 そう言う時代もあったのさ。 ではまた。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (99/12/29)
あさりよしとお「ワッハマン 11」/講談社/1999/05/21 完結。 アフタヌーン本誌で読み終えたときは 「おいおいこんなラストか〜」とか思ってたんだけど・・・ 結局「このラスト」にせざるを得ない、んだよな、と。 「百億の昼と千億の夜」的ラストシーン。 古典日本SFに親しんだ者なら誰しもが「それ」を連想するだろう。 アトランティスだしオリハルコンだし。 文明の滅び去った地上で、一人転輪王の様に流離興亡を見つめるワッハマン だが・・・ もう彼は一人ではない。隣にはレミィが居る。 赤色巨星化した太陽−と言うことは少なくとも数億年を生き延びた その強さがあれば、この地球と共に「死」を迎えるその時まで一緒に・・・ ああ、良いラストじゃないか。 「百億の・・・」に見られたような突き放しを敢えて避けた、いや 避けることが出来た希有なラストシーンだった。 ・・・まー、結局「神狩り」だった訳で。 「壮大な物語」を想定するとき、最終的には「ここ」にたどり着かざるを 得ない・・・のだろう。何度も何度も焼き直されるテーマ。 それは、そうだ。「神」との戦いは、永遠に続けられるのだから。 仲間がドカドカ悲惨な死に様を晒していったり、或いは仲間が 実は敵のスパイだったり、或いは愛する人を己が手で殺さなくては ならなかったり。この辺の「なりふりかまわない悲惨な展開」こそが 「神狩りモノ」の魅力な訳だけど。 いや、この「ワッハマン」はその意味でまさにその「正統」と言える。 で、どの辺から「このラスト」に繋がってるのか、全巻読み返してみたんだけど 改めてその作り込みの確かさに感心。 例えば、イシュタルの正体暴露シーンなんかは初読時結構ショックで 「ええっ!?」とか思って単行本読み返してみたら、7巻p31で CIAナマコ男のコノワタ攻撃の中からイシュタルが登場するシーンとか 有って、もうこの時点で鼻の鋭い人間ならその「正体」に気づけるという。 ミスディレクションを誘う黒衣の女性(10巻の終わりで長沼に 「神」の存在を語ったと思われる)にすっかりだまされてた。 え、だまされてたのワタシだけ? いやー、でもその騙されたのが気持ちよくて。「まんまと」て感じ。 もっとさかのぼってワッハの22(3巻p94あたり)の展開とかみてると、ああ この辺からちゃんと仕掛けが成されていたのか・・・と。 こういう、最後の最後で全ての現実がひっくり返され、気の遠くなるような 形勢不利が明らかになる・・・という感覚、これこそが神狩りモノの醍醐味な訳で。 その意味でこのイシュタルの仕掛けは見事だった。まだこういう 「ショック」を得られるとはね。 今回一巻から通して読んでみて、長編ならではの複線の張り方 (インガー爺のセリフなんかはモロにそうだ)とか、今まで見落としていた 「仕掛け」が見えてきたり、いや、本当に感心してしまうのだった。 過去の登場人物を次々と消していくあたりの「収束」の巧さとか、 語り出すとキリがないけど・・・ 冒頭にも書いたけど、「神狩り」ものにはどうしてもラストの 後味の悪さがつきまとう。「神」との闘いは終わることがないのだ。 ところが、その「後味」を全て超越して生き続ける 「動かしようのない残酷な現実」としてのワッハマンという存在は、 その後味悪さをすっかりクリアしている。 その点でもこの漫画は最初から最後まで非常に優れた作品であり続けた。 ・・・にしても、ラストでの長沼を見た後で初期のサングラス姿をみると 隔世の感がある。 長沼の造形こそは結果的にこのマンガの最大の魅力の一つとなってしまった。 謎の過去を背負い、格闘技に優れ、冗談を言い、妻には先立たれている。 兎に角ハードボイルドであるべき設定を全て背負った中年オヤジ。 こういうのをこの上なく格好良く描けるだけでも、この作家の力が 推し量れるというものだ。「神狩り」の段が明確になった時点では 完全に主人公然となっているその勇姿。 イシュタルを倒すときの無表情とも言えるあの顔の下に、どんな想いが 隠されているのか・・・・想像するに余りある。 「男」の格好良さっていうのは、これなんだよな・・・ このハードな路線は今の所このワッハマン完結で一旦休みの様だけど、 何とか「この手の」作品をまた読ませてほしいものだ。またこういう 魅力的な中年オヤジの活躍に喝采をおくらせて欲しい。 何にせよ、90年代を通して最後まで読者を引っ張り続けてくれたあさり氏に 感謝を。本当に楽しませて貰いました。 そしてこれからもどうか。 余談:今巻で大活躍した74式は「中空知防衛軍」('85〜'86)で使用された 設定がそのまま生かされている様だ。同単行本('89)あとがきで、 「リメイクという訳ではなく、コンセプトだけ残して別なマンガとして  描こうというハラが決まったからであります。 機会があればそのうち  どこかでまたこの74式の雄姿をお目にかける事もできるでしょう」 とあって、ああ、成程その「コンセプトだけ残して別のマンガ」というのが このワッハマンだったのだな、と(あぁ、今更!)。プレハブの防衛軍、定時で 帰る地方公務員、ぱっとしないオヤジ達(だが、スペシャリスト)etc.・・ ・・いや、まー、それだけなんですけどね。 ではでは。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (99/05/24)
あさりよしとお「ただいま寄生中」/白泉社/1999/05/05 ・・・・・そうなんだよね。 確かに連載時これを「えっち」なものだとは正直全然感じなかったんだ。 1992年1月と言えばまだ17歳な訳で、その辺敏感だった筈だけど・・・ 「清楚な少女の腹の中に大量の寄生虫が在り、しかもそれを彼女の無垢な尻から  ドッとひり出させ、あまつさえその虫を全身の素肌にまとわりつかせる・・・」 のが、全然エロくならなかった・・・のは、作者も認める始末。 長らく単行本にならなかったのは、その内容の危険性よりも寧ろ、当時の 人気の無さ故かも。 作品内で何度も「エロ」方面に軌道修正をはかってはいるものの、イマイチ それが奏功してない。個人的には「イコちゃん」単行本未収録作の 女相撲の回とか、その辺の方がむしろ・・・いやその。 作者自身が言及しているように、この主人公幸村いづみ(この名前って何だっけ) がもう「エッチぽさが薄まって」いる造形。主人公であるが故に「我々の側」に 居る彼女にエッチさを感じられないのも道理。イコちゃんみたいに 「理解の外側」ならまだしも−と、まぁそういう。 ま、何にせよ「幻の作品」がこうして陽の目を見ることとは一あさりファンとして 喜ばしいわけで、是非この勢いで「ラヂオマン」とか「重箱のスミ」とか 「あのへん」の作品を再販してくれないものか・・・・特に重箱は読み逃した回が 多いのもあって、何とかしてフルチェックしておきたいのだ。 実際今こそ「重箱」を世に問う必要性があると思う @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (99/05/24)
あさりよしとお「ワッハマン 10」/講談社/1998/06/23 アフタヌーン97年11月号〜98年7月号までを収録 ・・・それ先月号。いや待て 発売された時点なら、雑誌はまだ7月号? ・・・講談社の単行本収録スピードは 日に日に早くなっていく様な気がする・・・ で。 ギャグがもう平衡状態を保てない程に状況は切迫している。 意図的に挿入されるギャグの「間」もあらばこそ・・・ そのギャグも何処かしら痛々しい。 個人的な印象としては、もうずっと前から「最終回モード」が 延々と終わらない感じ。今大体23−24話あたりだろうか。 その辺のテンションでぐるぐるしているというか・・・ ・・・正直感想は書き難いですね。もう「面白い」としか言えない。 読者たるワタシのレベルを遥かに超えた展開を見せるこの作品の前では、 下手な勘ぐりも無意味だし・・・ただ感動を享受するのみ。 「何故面白いのか」は全てが終わってから考えれば言い話でさ。 とか言いつつ勘ぐってみたり。 p95〜96を見て皆様は当然「空飛ぶゆうれい船」を思い出されるであろう。 とすると、今まで水面下で戦われてきた「パパ」との戦いは、 都市を巻き込んだ最終決戦(巨大ロボとか)の展開へと繋がっていくのかも− そう言えばあのボア(と其れを育てた民衆)と闘い続けていた船長も 骸骨だったな・・・って「ゆうれい船」はあんまりにも後生への影響が 大きすぎてアレですか。 黄金バット対暗闇バット、と言った展開も予想されるが (或いは改造されたレミィが最後の敵とかさ)、兎に角風呂敷はどんどん大きく 深くなっている訳で、さてこの大風呂敷をあさりよしとお氏は どう畳んで見せて呉れるのか・・・・或いは畳まないのか・・・ アフタヌーン今月号(8月号)では、その「パパ」の絶望的なまでの「力」が 彼等に行使されようとしている所で話が終わっている。 所詮彼等の行動は「パパ」の思惑通りでしか無かったのだろうか・・・ そして、長沼は−本当に彼は殺されてしまったのか? 挨拶まわりに行ってる場合じゃないぞワッハマン。 ああ早く来月号を! P70の屈葬状態のワッハマンが結構ツボにはまった @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (980717)
あさりよしとお「まんがサイエンスVI」/学研/1998/03/06 相変わらずクォリティは高い。読んで楽しくためになる。 「ためになるマンガ」って最近そうそうない。 特にこの歳まで生きてしまうと・・・ 一番興味深かったのは、フライホイール・バッテリーの話。 多分に知ってはいた技術なのだけど(ダムとかで、消費電力量の少ない時間帯に 余っている電力で巨大なフライホイールを回しておいて、電力が足りなくなると それから発電する、という話を聞いたことがあった)、その「現在」が 此処まで来ているとは・・・という驚きがあった。 で、「おお成る程!」と感じた後に、その「空気抵抗無し!」「まさつなし!」を 実現するための技術の高さに再び感心してしまうという。 例えばこの上下2個のフライホイールを逆回転させて、 ジャイロ効果をうち消している−という辺り等。 これが無くてはカーブや振動を繰り返す自動車には搭載できまい。 (・・・因みにこれ、読んだだけでは今一その意義が理解出来なくて、 先日の某OFFで工学系の人に説明して貰って漸く解ったという。 でも反転させることで何でジャイロ効果が消えるのかは不明。誰か教えて・・) 電力を「回転」に置き換える−つまり、「回転」というエネルギーの形で 「充電」或いは「蓄電」をしてしまう−という考え方は、自分の中に何年も前から 存在していたにも関わらず、斯う「(車載)バッテリー」として紹介される程に 小型化して見せられたとき、その面白さに初めて気が付く。「小型化」によって 無限に広がる用途。やっぱり小型化・軽量化は技術の進むべき道ですな。とか。 いやもうセンスオブワンダーな感じ。 科学まんがの醍醐味を(・・・一応小5向けなんだが)23にもなって (もうすぐ24)まだ味わえる。科学(技術)は常に新しい・・・。 しかしそれをこうして切り出して紹介してくれる人が居なくては、その方面に 疎い私の如き文系人間には知りようも無いわけで、それをやってくれるのは 例えば立花隆だったり、NHKETVのサイエンス系番組だったりするのだけれども こう言うのってもっと有っても良いと思う。もっとTVでがんがん紹介することで、 工学系学生が増える可能性だって有ろう。などと。 驚き、と云えば他にも「抗菌グッズ」の抗菌の仕組みも今初めて知った。 無知だねどうも。 ・・・確かに優れた技術ではあるけど、これは多分売り方が巧かったんだろうな。 「抗菌」が売れる、と踏んだメーカーのセンス。 乳酸菌等の善玉菌の話も面白かった。まず細菌とは何ぞや、という基礎講座から 始まる(今巻は割と取材対象に深く入った所から始まっている作品が多くて、 今一つ「基礎」が不安だったが)辺りは流石に学習まんが。勉強になるのである。 例えば普通の人は腸の中に100兆個の菌を住まわせている− これは人間の体細胞60兆個よりも多い!とか ウンコの半分は菌で出来ている!(うわ)とか。 この回に限らず、この「まんがサイエンス」ではここぞと云うときに 内容を印象づけるための数字の使い方が巧い。サターンVの時とか。 しかしこの回は取材協力がヤクルト本社であることからか、後半 「健康でいるためには毎日ヨーグルト飲料(に含まれる乳酸菌やビフィズス菌)を 体内に補給し続けることが一番」的なヤクルト宣伝展開になりそうになるのだけど、 それをことさら強調することもなく、次の話題へ持っていく、という「中立性」 みたいなものも流石。というかNHK的? 勉強になる、と言えばオシッコの話なんかは殆ど高校生物である。ボーマンのうとか。 マルピーギ小体とか。オルニチン回路とか。あ、結構今でも覚えてる。 高校の勉強で後まで記憶されているのって生物と公民位では。 世界史とか割と好きだったのに、今は完璧忘却の彼方だ。たまには山川の教科書でも 読み直そうかなぁ。・・・話がずれた。 そう、オシッコ。健康のバロメータ。子供の頃、コーヒーを飲んだ後に出た オシッコが何だかヤバイ臭いがした気がして、ああやっぱりコーヒーは体に悪いのだ 飲むのは止そう、とか思った事もあったげな。実際コーヒーは毒だと云うのは 美味礼賛でも語られているが・・・ いや違う。 オシッコからこの作品の魅力の真体である所のスカト・・あわわ、その方面に 話を持っていこうとしていたのだ。ええと。 ていうかあやめちゃんでしょう、と。このマンガの主人公且つ最高の被験者。 この酷い扱われ方がなんとも(そこまで言うとイジメよ・・とか)。 兎に角「下」の話題、特に排泄系の話題のだと女子2名が大抵被験者である。 しかも率的には圧倒的にあやめちゃんがその対象とされることが多い。 まぁその性格設定の故も有るか。彼女だから結構微笑ましい(・・・)ので あって、これがあさりちゃんだとかなりヤバい匂いがしてこないでもない。 因みにこの「見るな〜!!」の声はかないみか(決定)。 ベストドレッサーでもある彼女、今巻ではフライホイールの回のおだんごと タンクトップ、がかなり良かった感じ。でも個人的には夢の回のダブダブな トレーナーも捨てがたい(・・・)。この学研マークのトレーナーとか 読者プレゼントで出さないか>学研。あ、でもサイズは子供用か・・・ 夢の回と云えば、この巻に至って「先生」の中に「モノ」ではなく主に 「現象」(今巻では津波・抗菌・夢)を語るときに現れる「お姉さん」が 登場し出したが、これ以降どうなのか・・あ、今巻のお姉さんズの中では やはり夢の女王でしょうね。もっともあさりキャラらしい。 ・・・あー、そゆわけで毎度とりとめなくなってしまいましたが、まぁ兎に角 今巻も再読、三読に耐える内容で、非常にお買い得、という事で。 オススメです。 先生役の中では個人的にタマが好き。あさり氏の描く猫は良い・・・ @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (98/03/25)
あさりよしとお「ワッハマン」9巻/講談社/1997/11/21 安定した「絵」と「物語」の快楽を、二つながら備えた傑作シリーズの最新刊。 一分の隙もなくオモシロイ。 前巻で仮死状態(彼の身体は永遠不滅だが、魂は別だ)に陥ったワッハマン。 今巻の前半では長沼・鮫州等の官V.S.”パパ”以下の組織という構図にCIAの チューブワーム男も加わって、そのワッハマンの奪い合いが展開する。 当のワッハマンは、その後お姫様の熱いベーゼで目を覚ます訳だが、 それでも、彼の意識は今一つはっきりしない。 彼の過去生は徐々に明らかにされて行きつつあるが、 だからと行ってそこへ「還る」かどうか・・ カールビンソンの「おとうさんの秘密」の例もある。 彼の「動機」が復活したとき、物語は一気に終末へ向かうのだろうが・・・。 然し、p96〜97の見開き、感動よりも笑いが来てしまうのは、仕方ないよね・・・ ていうか、それも狙っての事なんだろうとは思う。 あー。然し何ですね。この漫画、活躍してるのオヤジばっかり。 それが良いんだけど・・・ 長沼の、「光の礫」を見てから反応する(p25〜6)あたりの描写は、 もうこの手の王道と言えましょう。兎に角シビれる。 インガー爺もキャラがどんどん立ってきて変だし。 拳銃持ち出す辺りのタイミングや、p142のマッドサイエンティストぶり等は 実に素晴らしい。・・・鮫州も良いキャラだし(p104とか)。 レミィも良い。ひたすらアレ。しかも外さない。 いや、確かに全裸にエプロンは男の夢だがッ(p122)何にせよ、あの明るさは救いだ。 ・・・後、イシュタルやレミィを見ていると、そのシルエットも含め、 黒白漫画上での表現をよく考えたデザインだなぁと思ったり。 p3やp35の立ちポーズとか、p37(ワッハの72の扉)とかさ・・ p132の一コマ目の画面の緊張感・その美しさたるや。 ああ、大体、p132〜134の「引き」の格好良さってのはもう・・・ 実際とんでも無い漫画だと思う。漫画家、か。 p119の扉一枚だけでワタシはもう心を打たれてしまうのだった。 ああ、畜生、巧いなぁ・・ ガロ1月号のアレもあさり色強くていいなぁ。連載するのか>アレ @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (97/12/15)
あさりよしとお「宇宙家族カールビンソン 13」/徳間書店/1997/7/15 今は亡き「少年キャプテン」誌上で1995/11〜1996/8・12号に 掲載されていたものを収録。 収録の無理矢理さが、何となく「コレで打ち止め」感を強めるが・・ 今巻は何と言っても「おとうさんの秘密」であろう。 雑誌連載時のあの騒ぎを今更ながら思い出す。ってももう1年以上前だが・・ 「キャプテン読んだか?」「読んだ読んだ!」的会話を電話でやったのも 懐かしい思い出なり。要はベトナム帰還兵物語だったわけだが・・・ 全く最終巻(だとすれば)に相応しい。 出色だったのは「ゴッド姉ちゃんVSデストロイヤー」で、こう「学習まんが」 的に思想(・・・)を語るあたり実に往年の「カールビンソン」らしくて良かった。 「よくわかる特撮業界」という感じ・・。巧いよな。やっぱりこの手法は巧い。 正直氏の昨今の、表舞台に立ったガチンコな語りは今一つ・・・ 後は矢っ張りライカの「ママ4」だろか。 ライカって一応小学生だしな・・・ ベルカとライカの会話が女の子女の子してて何か・・・ ・・・キャプテンの廃刊が様々な波紋を投げかけた中、最も大きな衝撃は 二度とカールビンソンの新刊が拝めないかも知れない、という事実だった。 最終回(つまり「お迎え」)を迎えないまま終わるのは理想的かも知れないが でもやっぱり続きが読め無いってのはツライ。あさりよしとおと言う作家の 根本の様な作品だけに、何がどうでも復活を望む者である。 勿論「パードル」もな! @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (1997/07/20)
あさりよしとお「ワッハマン」8巻/講談社/1997/5/23 個人的には既に史上最高の漫画と化しているワッハマン。 世の中ではオタキング方面からちくちく攻撃を受けているあさり氏ですが、 これだけの漫画を書きつつ、あれだけの評論活動を行っているのだから それだけでも我々は感謝しこそすれ、非難は当たらないと思うのですが、 それは単なるファンのひが目か・・・ 矢張り「エヴァ」に肩入れし過ぎたのは拙かったよ・・・ 最初から解ってたことですが。「エヴァ補」で、氏が読者の葉書を取り上げて どうこう、というのが拙かった。そういう「キャラ」じゃないのに・・ お陰で其の持つ強烈さが突出し過ぎて、結果今の「結局何なの、あさりよしとおって 奴は?そんなに偉いのか?」てな事になった訳で・・。 本業(漫画)のかたわら、そういう仕事もやってるってスタンスは変わらない 筈なのに、いつの間にか業界ゴロの如き言われ様。いやまあ本人は気にして無い 様ですから、良いんでしょうけどね。でも何か言われ無き攻撃を見ていると、 凄く弁護したくなるですよ。自己弁護全然しないし・・ さて8巻。・・・8巻? ・・・単行本初巻は91年だから、もう6年以上も続いているのかこれは! ・・高校の時教室で読んでたもんなぁ・・・うう・・・ 「パパ」の姿が出てこなくなったのは、その「悪」の空気を演出する為であろう。 いよいよ見えなくなった「見えない敵」と、どう戦うか。相手が手を出してくるのを ただひたすら待ち続けるしかないのか。そいういう諦めの様な暗いトーンが 今巻の印象だった。7巻以前は結構月へ行ったりと派手な動きもあったのだけど、 ホントに今巻は長沼を中心に、ただただ「襲撃」を警戒しているという・・ ワッハマンが記憶を取り戻さぬ限り、或いは「死」なない限り、その緊張感は 永遠に続くかと思われたが− この漫画が凄いのは、計算された物語構成と、キャラの魅力暴走が 両立しているところにある。丁寧に組まれた「物語」、それはもう今すぐにでも 最終篇を迎えそうなテンションでずっと続いて居る。だがだからといって ずっと戦闘シーンばっかり、という学研のコミックスの様な事も無く、 相変わらず「連中」の暢気さは止まる所を知らないかの如く加速していく。 特にオシリスの造形は秀逸だった。前巻の感想を読み返したら 「今一つ好きじゃない」とか書いてたのだけど、それは奴自身が持つ不安定さ、 不安そのものが読者たる自分にも伝染していたからなのだろう。 過去の記憶も親の記憶も何もない。自分が一体何なのか解らない。 ただワッハマンを倒すことのみ、それ以外には何の生きるベクトルも持たない そういう風に作られた悲しみが辛かったのだ。きっとな。 だが今巻はレミィの登場も少なく、フォーカスがオシリスに当たっていたこともあって 随分とキャラに対する感想は変わっている。 然し本当に笑える。 いや一応ギャグマンガだと思って読んでる部分もあるし・・・ 「フィッシャー・キング」の温泉カワセミは本誌で読んで死ぬほど笑ったのに まだ笑えるしさ。単に大きくしただけで此処まで「ヘン」というのは凄い。 流石だ・・ 相変わらず長沼の苦悩は続くし。いろんな意味でな・・もう毎回「誤解」が 積み重なっていくのが楽しくて。やー長沼格好良いよなぁ。 所で、この8巻を買う前に「黄金バット」の再放映が最終回を迎えていまして。 ・・・「黄金バット」の設定をご存じでしょうか? 彼こそはアトランティスの戦士。一話を見て吃驚。 何だこいつワッハマンじゃないか、という。逆、逆・・・。 基本的にはツッコミ100万回系脳天気(誤字)の極致のような内容ででしたが、 最終回頃の展開(熱いのは展開だけで、基本的には脳天気)は実に熱く、 死の世界から呼び戻された暗闇バットとの対決等見せ場の連続でした。 ナゾーの正体が分からないまま・・・というラストは、恐らくワッハマンの 最終回もこうなるのであろうと言う雰囲気でしたが、果たして− で、連載最初の頃の単行本を読み返したら、ちゃんと最後にナレーションが 入ってたりして(アニメでは必ず最後にナレーションが入るですよ。 「強い、絶対に強い、我らが黄金バット!」とか。)、 こりゃホントに「黄金バット」のリメイク(と言って悪けりゃ 「インスパイアされた」)なんだなぁ、と。いやデザインは見れば解るんですけど。 まぁもうとっくに買って読んでて当たり前、的傑作です。オンナノコには どうかわかんないですけどね。その辺女性の意見も聞きたい物です。 高校の時に女の子にすすめて酷い目にあった事もある @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (1997/07/19)
あさりよしとお「まんがサイエンスX」学研/1996 今巻は主なテーマは無し。雑学集となる。一巻と似たような・・・ まさに雑学。身近はソースの袋から、はてはタイムマシンまで。 どういう基準で題材選んでるんだか。しかしその無軌道さがかえっていい。 今巻傑作だったのは(異論も有ろうと思われるが)もう 「インフルエンザ大戦争!」に尽きる。 ・・・いや一応生物やってたし。NHKスペシャル見てたし。 いやだから、「かがくまんが」としての出来の良さ、を。 この場合「まんが」の部分にウェイト置くけど。 いやー、すまん。 ウィルスのあさりちゃん可愛ぇ〜 一個呉れ・・・ いや風邪は勘弁だけど。誰か立体化しない? いや、漫画の内容も他の会話主体のとは違って展開に緊迫感があったりして、ちょっと 他の作品とは味が違う。 恒例の取材ネタ作品は、アメリカのケネディ宇宙センター。 取材の打ち明け話なんかを実は先のSF大会聴かされましたが うーむ、そのまんまやん、という。 VABは高いので、下で出した水蒸気が上で雲になって 雨が降ってくるとかいろいろ・・・ 「いねむり運転防止自動車」の回のは、ビデオでいろいろ資料を見せて戴きましたが、 なんかロボットみたい・・・・このまま突き詰めれば、直ぐに (あやめちゃんじゃないけど)「誰も乗らなくても走るわね」という・・・ ネタ的にはちょっと新ネタが少ないかなぁ。 一巻の頃の新製品そのまま宣伝しちゃう様な作品も個人的には好きだったんですが。 というか、知識そのものよりは矢張り具体的な「モノ」が示された方が楽しい ですものね。 これからもワクにとらわれない取材内容を期待しつつ・・・ @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
あさりよしとお「まんがサイエンス」W巻 学研800円 メインテーマは「地球環境」。この時点で既に半分は「失敗」している。 明確な結論が無いものだからだ。 いくら考えたところで、結果は「私達一人一人が気を付けて」といった 哲学的な結果しか出ない。科学の力はここでは何程でもないのだ。 知れば知るほど、もう一歩も身動きのとれない人間像が浮かび上がる。 ・・・結局殆ど「地球環境を語る」でおわってしまう。 恐らくは彼個人が考えている事を4人の子供達にわりふって討論させているのだろう。 子供達(が本当の対象なのだし)に「考え方」を教授しようとしているのか。 答えは出ないが、それでも考えることを止めてはいけないよ、と。 あ、それでも漫画としては十分楽しめるのですが。 しかしシリーズを追う毎に「あやめちゃん」が裏の主人公化しつつあって面白い。 彼女の造形は「2代目」として女の子をやっていた時代以来凶悪ではあった。 「H−U」の話は申し分の無い「まんがサイエンス」作品。 ミューロケット好きだなぁ・・・さすがだぜ。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (日付不明・加筆訂正97/10/05)
 先日来、(そんなことをしている場合では全くないにも関わらず) あさりよしとおの作品をつらつらと読み返している。  事のはじめは何といっても今月のキャプテンだ。 あの「副音声」にびっくりした方も多いであろう。 少しずつとはいえ明かされていた奴の正体、が、いきなり描かれた事は、 一体何を意味しているのか?連載の終了?新たな展開? それとも「何か」への当てつけ?妄想は広がる。  結局、「カールビンソン」から短編集、「ワッハマン」、「まんがサイエンス」に 至るまで読んでしまって、改めて思うのもなんだが、実に上手い。 本人も語っていたが、自らの漫画の「パロディ性」を(広義で、ね)きちんと 見据えた上で、エンターティメントしている(だから「本流」がしっかりしてくれて いないと氏の様な作風はおまんまくいあげだ、とも語っておられた)。  特に「ワッハマン」(講談社刊 現在6巻まで?)は素晴らしい。 氏の作品の中では、最も熱く読める作品だ。 各キャラクターの設定が、もうこれ以上無いという位に煮詰まっていて、「そのテ」の 連中にはたまらない。中でも「レミィ」の設定(性格含む)は素晴らしい。 只の色気&お笑い担当キャラだけではないのだぜ。  勿論そのキャラクターとしても完成度は非常に高くたの追随を許すものではないが、 何よりそのもつ重さ、悲しさが良い。  「機械は・・・・   死んだらどこに行くのかな?」 (・・・でも「万能文化」見てからどーしてもCV、かないみかで読んでしまう・・  そんなこと無いですか?いや・・ま・・・) 背景の重さといえばワッハマンだって重いのだが、やっぱ奴はな・・・ しかしただの骸骨にあれだけの表情が出来るとは!頭蓋骨があんなに間抜けに見える (口開けて呆然としてるのとかね)とはね・・・いや、上手い・・・しかし奴の「皮」 はまだあの造形師のねーちゃんが作っているのだろうか。だとすれば、あの家に はってれば、必ず現れるわけで・・・スペアかな?自分で作ってる様でもないし・・  顔で言えばイシュタルのデザインには、当時非常な衝撃を受けたものだ。 その衝撃は後に「使徒」の代名詞となる奴の顔で再現されたが(目パチ有)。 「あの作品」に付いても、僕が最も望んでいるのは「あさりよしとおとしての」言葉 なのだが・・・いかんせん「情報量が少ない」ので、全てが憶測の中、もう氏の 言葉だけが「救い」に成り得る・・・(と、今になってさえまだ期待している奴)  謎坊主の吐く深いセリフ等も魅力だ。物事を論理的に考えられないワタシの様な 人間には、作中人物の話す「悟った」言葉が助けになる。 例えば、戦う意味を見失ったまま、かかる火の粉を払うだけの日々に疑問を抱いて いるワッハマンに、  「おめえよォ さっきの話しだがな、あれこれ考えてないで戦ってみな   わしがこれ以上ゴチャゴチャ言ってもしようがねえ   だが   戦えば答は見えてくるはずだ   逃げてちゃそれこそ永久に堂々巡りだぜ」 いいセリフ。このシーンはこのセリフの為にある。 「永遠性の不幸」についても。これはさりげないが重要だ。ワッハマンの、 そして「パパ」の不幸、はまさにその「不死」性に有るのかも知れない。  連載の方は、もうなんだかなれ合い所帯でどーにもならん状況だが、いやなに、 ちゃんと物語は展開している。ラストはまだ見えないが、まだ楽しめそうなのだぜ。 まぁエヴァみたいな終わり方さえしなければ・・・・・ あ、そうか、あさりよしとおの連載まんが、でちゃんとした「最終回」って まだ無いのだっけ。ううむ・・・  まだまだ引き出しの(作風の)多そうな作家。既に公私ともで随分忙しいよう なんだけど、もっと読みたい!というのが実際・・・特に今アニマルでやってる 様なゲリラな奴・・・ 以下狭くて暗い濃い世界の話。  キャプテンで初めてパーカーを見てショックを受けて以来、ずっと氏の言行は 「ヲタク文化に対する一つの価値基準」でした。氏が面白いという作品は確かに 面白く、下らないと言った作品は確かに下らない。客観的に作品を見る、という事が、 こと作品への没入度で価値が変動するヲタク文化の中で、どんな意味を持つのか 考える前に、既に「そういう見方」が身に付いてしまった様な気がするです。  イベントや「まんがサイエンス」等で氏の紹介する事例も又ことごとく興味深く、 「アクティヴなヲタク」とはこうでなくては!と思い知らされる事もしばしばです。 濃い情報の収集能力に非常に長けておられる様ですが、その意味ではやはり 「田舎の学問 京の昼寝」か・・・この手のアレは人脈が命ですから・・。 ふむ。考えれば「あさりよしとお」は、僕に取ってはただ漫画家で有るだけでは 無いわね。ある意味「指針」だ・・・どっちへ向かってるのかは神の味噌汁。  ちなみに最近はもう一つの価値基準である「物欲」パラメータは、水玉螢之丞 による「値」が一番「信用」出来る・・・ いや、ただ、それだけの、話。でした。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@
あさりよしとお「宇宙家族カールビンソン 12巻」/徳間書店/1996/7/30 ここ数カ月のCAP.本誌の方のハードな「副音声」で 随分重い作品だと感ていたのですが、単行本の方は 「あら?こんな軽かったっけ?」という感触。 原住民に「樋」が登場。押さえてますねぇ。久々に個性の強い 原住民が増えて嬉しくもあり・・・・ 太陽光を吸収して熱を分け与える−というのはこれはウルトラマン・・ ・・アンドロメロスとかそのへんにそういう話ありませんでしたっけ。うろ覚え。 ギャグが走っていてそこそこ笑えるのだけど、なんか全体的に軽いというか・・・ ネタが薄い。今までは一話完結とはいえ、濃いネタで堪能させられたものでしたが、 今巻はシチュエーションがメイン? まぁ、しかし一流の漫画には違いないのだけど。 コロナちゃんが久々に主人公の位置を回復した感じですが、久々に見ると なんか別の娘みたいな気も・・・成長してるのねきっと。 「今巻のコロナちゃん」はP185の髪の毛を帽子に入れてるショットだッ。 まー取り合えず今巻もライカさんは可愛かったという事で(回を増す毎に可愛く (性格が)なっていく様な・・・愛か?)。あの表情がねー・・・ あと、粘液系改造人間の私としては、意志を持ったホットケーキの最期に 涙を誘われるのであった。 そしてカレー。 ラけな。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (1996/08/06)
あさりよしとお「ワッハマン」7巻/講談社/1996/7/23 しかし何でこんなに面白いかな。 というくらいにオモシロイ。 ウソじゃないぜ。読んでみ。 何と言ってもレミィの感情表現に尽きる。 作者の一連の作品の中でも最も高いレベルにあると思うがどうか。 生々しく、心にひびく。彼女を生み出し動かしただけでもこの作品の価値は有る。 レミィの表情、仕草、「しなくてはならないこと」の認識へと至る過程・・・ けっこう居そうなキャラ(園田漫画とかサ)でありながら、「レミィ」というキャラ には独立した個性を感じる。それくらい「作り込まれて」居ると感じるが。 インガーとゲルダ。この二人に関しては、しかしもう少し描写が欲しかった様な 気もする。が、もともとが「レミィを修理しかくまうため」のキャラであれば、良し。 科学者の悲哀、を定石通りに演じてくれた。 ラストのゲルダの自律行動のシーンは、実際何度か読むウチに、その胸に蓄積された 時間が迫ってきて、切なくなる。いや、やっぱいいわ。 しかし事実上ギャグマンガだかなんだかわかんない状態で続いてますが、 このへんのバランスも作者の力量が並でない事を示しているのでは。 で、ギャグ方面担当の防衛庁分室ですが、オシリスについてはもう少し様子を 見たい。奴も又重い背景を背負っている・・筈・・なのだし・・。 イシュタルとは違い、忠誠心をプログラムせず、ただワッハマンを倒すという目的 のみに生み出された「彼女」。造形は「パパ」の好みか。相変わらずあのオヤジは。 そういえば冒頭でのイシュタルとの会話は深いぞ。 一体奴は?オリハルコンのカタマリのワッハマンと戦って額に傷をおわせ、自分も 「怪我」で済む程の「パパ」。その正体は? 進化する敵オシリス!!対するワッハマンは取り戻しかけた記憶を自分のものと 出来るのか!?またワッハマンの技が八極拳ぽいのはどうなのか? そしてレミィは・・・!? ああ続刊が待たれますってアフタヌーン読んでるんですけどね。 立ち読みだけど。重いし。 でもオシリスの造形(いや変形前の方ね)は今一つ燃えないワタシ・・・ああっ・・ @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (1996/08/06)
あさりよしとお「宇宙家族カールビンソン」11巻 徳間書店/1995 先日トモダチにこれを読ませた所、 「ところで何処に「カールビンソン」が出てくるの?」 と問われてハタと気が付いた。 このタイトルって単なるダジャレなだけなのか? それとも・・・ 読み出した頃ってまだ小学生だった様な気がする。キャプテン本誌で読んでたし。 だからそのころは全然疑問無くタイトルを受け入れてたのね。 ・・・・久々に1巻読んでみたら、なんか凄く「パロディ」臭い・・・ パロディ精神は変わってないんだろうけど、やっぱり上手くなってる・・ さて11巻。 徳間内でも「ヤバ過ぎる!」と評判だったという「奇人兵団」が・・・・ いやー、でもやっぱあのアニメはね・・・そんなに兵器に詳しくない僕でも 「せめて資料を見ろよ」とツッコミの一つも入れたくなる出来だったし・・・ 「それ行け!宇宙パトロールの巻け」あたりは、あさり氏元来のSF味が出ていて 凄く好き。猫達も可愛いし。ところで、この「猫の空間把握云々」はやっぱり C.W.スミスですかね。まず間違いないと思うんですけど。ママ・キットン・・・ 猫に恋しちゃいけないぜ。 いやー、やっぱC.W.スミスは凄いよな。星雲賞も3度もとるわなこりゃ。 「ベルカ対ライカ」篇は傑作。特に作者が往々にしてふれてきたライカの背景が 描かれていて素晴らしい。ライカは「未熟」なのが魅力なんですよね。 改めて感じる。 扉のイラストは特に秀逸。この二人、を育てた環境とは・・・ 本当に上手い・・・ しかしトリー准将出たらあかんよなぁ。あの人本当に「宇宙最強」・・ 家族誰も出ないで済むし。 そう言えばアジーンとドワーは何をやっているのだろう? 「やつら」を撃退するにしてもあの星域でなければならない理由は・・・? やはりトリーが気になるのだろうな・・・ もう何処の軍にも所属していない様だけど・・・ 「やつら」に対してもあくまで優しいコロナちゃん。彼女は大物だぜ。 それにしても奥が深いねぇ。いい。 まだまだ続きそうなこの作品。何巻まででるかしらん。 @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (1995/12/13)
あさりよしとお「ワッハマン」6巻 講談社/1995 いやワッハマンオモシロイねぇ。とは野田大元帥のお言葉ですが ホントに面白い。連載でちゃんと読んでてこうして読んでまだ面白い。 キャラクターの造形美(特にイシュタル!!)は極まってるし、レミィはかわいいし 月へは行くし(科学マンガ描きの面目躍如!)、ギャグはますます快調だしあー もうたまらん。 ホントに月へのくだりは科学マンガしすぎかも知れないけど、凄く好き。 これガイナックスでアニメ化しない?絶対(!!)「エヴァ」よりは受けると思うが。 どーせ「使徒」もあさり氏デザインだしさ。イシュタルそくっくりだし。 格好良いシーンとギャグのシーンと、緩急が見事に使い分けられてて、しかも 見事にハマってる。並みの手業じゃこうはいかない。 しかしレミィはいいキャラだわ。あさり氏の描くキャラクター達の中でも、今 いっとう好き。声はかないみか希望。それやると詠美んなっちゃうか。 じゃあこおろぎさとみ。 読んで損無しオススメです。 ただやたら登場する不気味社は・・・(帽子のマークとか) @@@@@@@@@@@@@@@@ [JUN] @@@@@@@@@@@@@@@@ (1995/12/13)

・手持ちのリストです。欠けあるかも。
著者名 タイトル 出版社 初刷 備考
あさりよしとお HALはいぱああかでみっくらぼ1 ワニブックス 2000/12/31
あさりよしとお HALはいぱああかでみっくらぼ2 ワニブックス 2002/2/10
あさりよしとお 地球防衛少女イコちゃん1 角川書店 1990/9/25 原作:川崎実
あさりよしとお まんがサイエンス 学習研究社 1991/7/6
あさりよしとお まんがサイエンスII 学習研究社 1992/6/6
あさりよしとお まんがサイエンスIII 学習研究社 1993/8/6
あさりよしとお まんがサイエンスIV 学習研究社 1994/9/6
あさりよしとお まんがサイエンスV 学習研究社 1996/2/8
あさりよしとお まんがサイエンスVI 学習研究社 1998/3/6
あさりよしとお まんがサイエンスVII 学習研究社 2001/1/1
あさりよしとお まんがサイエンスVIII 学習研究社 2002/8/3
あさりよしとお ワッハマン1 講談社 1991/12/16
あさりよしとお ワッハマン2 講談社 1992/10/23
あさりよしとお ワッハマン3 講談社 1993/6/23
あさりよしとお ワッハマン4 講談社 1994/5/23
あさりよしとお ワッハマン5 講談社 1995/1/23
あさりよしとお ワッハマン6 講談社 1995/8/23
あさりよしとお ワッハマン7 講談社 1996/7/23
あさりよしとお ワッハマン8 講談社 1997/5/23
あさりよしとお ワッハマン9 講談社 1997/11/21
あさりよしとお ワッハマン10 講談社 1998/6/23
あさりよしとお ワッハマン11 講談社 1999/5/21
あさりよしとお 宇宙家族カールビンソン1 講談社 2000/5/24 ロスト・イン・ユニバース
あさりよしとお 細腕三畳紀 講談社 2001/12/21
あさりよしとお 宇宙家族カールビンソン1 徳間書店 1986/4/20
あさりよしとお 宇宙家族カールビンソン2 徳間書店 1986/12/20
あさりよしとお 元祖宇宙家族カールビンソン 徳間書店 1987/6/30
あさりよしとお 宇宙家族カールビンソン3 徳間書店 1987/10/20
あさりよしとお 宇宙家族カールビンソン4 徳間書店 1988/10/20
あさりよしとお あさりよしとお短編集 徳間書店 1989/1/20
あさりよしとお 元祖宇宙家族カールビンソン・新装版 徳間書店 1989/1/20
あさりよしとお 中空知防衛軍 徳間書店 1989/2/25
あさりよしとお 宇宙家族カールビンソン5 徳間書店 1989/7/20
あさりよしとお 宇宙家族カールビンソン6 徳間書店 1990/8/20
あさりよしとお 宇宙家族カールビンソン7 徳間書店 1991/3/20
あさりよしとお 宇宙家族カールビンソン8 徳間書店 1992/8/20
あさりよしとお 宇宙家族カールビンソン9 徳間書店 1993/7/30
あさりよしとお あさりよしとお短編集 徳間書店 1994/5/20
あさりよしとお 宇宙家族カールビンソン10 徳間書店 1994/11/20
あさりよしとお 宇宙家族カールビンソン11 徳間書店 1995/9/25
あさりよしとお 宇宙家族カールビンソン12 徳間書店 1996/7/30
あさりよしとお 宇宙家族カールビンソン13 徳間書店 1997/7/15
あさりよしとお ただいま寄生虫 白泉社 1999/5/5
あさりよしとお 地球防衛少女イコちゃん1 白泉社 1999/12/25 原作:川崎実
あさりよしとお 地球防衛少女イコちゃん2 白泉社 1999/12/25 原作:川崎実
あさりよしとお なつのロケット 白泉社 2001/8/1
あさりよしとお ヴィスタフカ ガイナックス 1999/7/28 CD-ROM画集

白炭屋カウンターへ

本棚・メインへ inserted by FC2 system