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林望
林望「林望のイギリス観察辞典」(平凡社・1400円)
を読む。
イギリス(のようなもの)好き、エッセイ好きの人間は買い。1400円は安い。
エッセイ集ってのはたいてい好きで
買ってるとキリがないので図書館頼みな者ですが、
「イギリス」に弱いオイラは、ましてや林望センセイのエッセイ集となると。
買うだけは買う。読むかどうかは別として・・・
いかに英国が良いか、という事だけをえんえんと書いてあるだけ、という
イギリス好きには読感のいいものであります。
当然英国がこんな良い面ばっかりの国な訳は無いのですが・・・
一種のファンタジー世界のエッセイ集のつもりで読んでも良いかも。
著者の林望(はやし・のぞむ)は日本書誌学者でイギリスフリークで
現在は東京芸術大学助教授という方です。
英国エッセイストとして有名であるようですが・・・
単行本以外ではあまり見かけることも無いのでよく解りません。
文体が楽しくて好感を持ったまま読了できて、
・・清涼剤のような本かしら。
何にしても一度はイギリス行かないと。(英語の勉強しないと)
ではでは。
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林望「ホルムヘッドの謎」文芸春秋/1992
これでハヤシセンセイの主なエッセイは(平凡社のシリーズからはじめて)だいたい
読んだ事になろうかという。
これには何故彼がイギリスへ渡ったのか、その理由などが書かれていて、
書誌学というものに対しての熱い情熱というよりは愛情の様な者を伝えてくれる。
後はもう思いつきの様な者が連鎖的に描かれていて一見無方向のエッセイ集の様な
体裁である。
中では私は「ロシアの憂ウツ」が最高に良かった。
ロシア、という国のイメージが有るとすればまさにそのイメージ通りの
暗く寒くオソロシイスパイの居る国、だったのである。昔は。
フィガロの話、は有名ラシイが(一度だけ隣にKGBが来てフィガロ(暗号名らしい)
にならないか、と誘われたが断り、それっきりになっていた学生が、4年後久々に
ロシアへ来てシベリア鉄道に乗っていると隣に座った男が「やあ、フィガロ」という)
うーん。ロシアはスゲェ。
後個人的に悔しかったというか驚いたのが「便器公論に決すべし」に、女性の立ち小便
の例として「新選犬筑波集」という俳諧集の「佐保姫の春立ちながらしとをして」
という句を引いているのだけれど・・・ワタシもこれはいつかネタにしよーかと思って
いたのになぁ・・何でも先にやってる人は居るものだ。
これ徳島関係者がたくさん居て研究者も割と徳島に多いらしい。
何にせよ一流の(少々ハナにつくところもないではないが)エッセイ。
でもやっぱり「イギリスはおいしい」・・・
ではでは。
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林望「帰らぬ日遠い昔」講談社/1992
が面白かった。
ただつらつらと都立高校時代の事を思い出して書いて有る。
一流のエッセイストというのはこういうのかなぁ、と感じさせてくれて良い。
だいたい恋人のソレでもない限りたいていの場合その過去、というのは
たいして興味はわかないものだと思う。少なくとも面白い!という様な話では無い。
それは内輪が全体を占めるという特殊な空間の話だからであって、
聴き手がウチワでない時余程意識して話さないと何がオモシロイんだ?という
話になりかねない。私もさんざんやって来てしまった。
しかるにこのエッセイたるや。
勿論まるっきりの真実日記で無い事は読めば分かると思うが
フィクションはフィクションなにりに・・・
主人公がラグビーを始める話が有って・・・それがいいの。
スポーツには独特のかけ声なんかがあって、はじめは結構恥ずかしいものですが
それを思い切って出せるようになった瞬間というのが
見事に描写されていて感動が伝わります。
男同士のアツい友情、とかそういった体育会系の感動は読む分にはいいですね。
爽やかというか、高校時代独特のなんともボンヤリした
現実感に欠ける楽しげな生活を思い出させてくれました。
ではでは。
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